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がん治療と仕事の両立 がん患者が必要とするのは周囲の理解と環境整備
2016.04.14
 正社員の時にがんを発症し転職した人のうち、パートや派遣などの非正規社員になった人が43.8%だったことが、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが実施した「がん治療と仕事の両立」調査で明らかになった。
 内閣の目玉プランである「一億総活躍社会」の実現に向けて、がん患者が同じ職場で働き続けられるよう、周囲の理解や環境整備が必要とされている。
「がん」を罹患した後の仕事はどうなる?
 調査は昨年8月、がん罹患時に正社員として働いており、現在も仕事をしている65歳以下の男女にインターネットで実施し、計978人(男性670人、女性308人)が回答。

 調査では、男性は50歳代での罹患が多く(50.6%)、40歳代(35.1%)を合わせると85.7%に上った。女性は40歳代での罹患が約半数(47.7%)であり、30歳代(29.9%)を合わせると77.6%が40歳代以下で罹患した。

 がんの種別では、男性は「大腸がん」が最も多く(27.3%)、「胃がん」(17.8%)「肺がん」(9.1%)と続いた。女性は「乳がん」が約半数(45.5%)を占め、次に「子宮頸がん」(19.5%)と続いた。

 がんになった後に転職した人は14.0%。転職先で正社員だった人は56.2%、非正規社員は43.8%だった。前の職場を辞めた理由は「体力面から継続して就労することが困難であったため」が24.8%、「治療と仕事を両立するために活用できる制度が勤務先に整っていなかったため」が11.7%と多かった。

 一方、転職せずに同じ会社で働き続けている人は86.0%。同じ職場で働き続けられた理由は、「職場の上司の理解・協力があったため」(46.4%)が最多で、「同僚の理解・協力があったため」(32.7%)、「労働時間や勤務場所が柔軟だったため」(23.3%)と続く。
勤務先には経済的支援と環境整備を期待
 勤務先に期待する支援としては「出社・退社時刻を自分の都合で変えられる仕組み」(36.6%)、「がん治療に関する費用の助成」(35.6%)を挙げる患者が多く、次いで「残業をなくす/減らす仕組み」(23.3%)、「1日単位の傷病休暇の仕組み」(22.9%)が上位に挙がった。

 経済的支援とともに、治療のスケジュールに応じて柔軟に勤務時間を調整できる仕組みや、短いスパンで必要な時に休みを取ることができる仕組みなどが求められている。

 がんの種類によって、体調への影響で気をつけるべきポイントは異なってくる。「例えば、乳がんは手のしびれによりパソコン業務が負担になる、子宮がんは下肢のむくみが生じるといった症状があらわれやすい。社員自身から訴えが出ることは少ないため、保健師からそのような状況がないかをたずね、必要な対応を考えていく」と回答した企業もあった。
がん患者が利用できる経済的な保障制度
 がん治療に際して利用できる経済的な保障制度について、会社から説明があったかどうかをみると、説明のあった割合は「高額療養費制度」(48.1%)がもっとも多く、「傷病手当金制度」(34.7%)、「障害者手帳」(4.9%)、「障害年金」(4.1%)と続いた。

<< がん患者が利用できる公的制度 >>

 がん医療は進歩しており、患者にとって長期生存が実現しつつあるが、同時に長期的な経済的負担という問題を起きている。経済的負担を軽減するため、がん患者が利用できる主な公的制度として以下がある。

● 傷病手当金制度
 病気やけがで働けなくなった場合に、被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度。業務外の病気・けがによる療養のために会社を休み、給与を受けられないときに支給される。

● 高額療養費制度
 同1月(1日から月末まで)にかかった医療費が一定の金額(自己負担限度額)を超えた場合に、その超えた部分が払い戻される制度。がんの治療では医療費の自己負担額が高額になることがあるが、そのようなときに経済的負担を軽減することができる。

● 身体障害者手帳
 身体に不自由があり、その状態が身体障害者福祉法に定められている障害に該当すると認められる場合に交付される。手帳を取得することによって、各種福祉サービスを受けることができる。

● 障害年金
 病気やけがなどによって障害が生じたときに支給される。がんや糖尿病など、病気で生活や仕事が制限されるようになった場合にも支給対象となる。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング
(Terahata)
©2017 日本医療・健康情報研究所. 掲載記事・図表の無断転用を禁じます。

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