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日本の喫煙対策は遅れている 屋内では100%禁煙に たばこ白書を改定
2016.09.15
 厚生労働省の検討会(座長:祖父江友孝・大阪大学教授)は「喫煙と健康影響」に関する報告書(たばこ白書)をまとめた。日本の受動喫煙対策を「世界最低レベル」とし、公共施設や飲食店など不特定多数が利用する室内の全面禁煙を提言した。白書の改定は15年ぶり。
喫煙が15のがんの原因に
心疾患・脳卒中・糖尿病のリスクも上昇
 今回、白書としてはじめて、日本人での喫煙と病気の因果関係を、「レベル1(十分)」「レベル2(示唆的)」「レベル3(不十分)」「レベル4(ないことを示唆)」の4段階で科学的に判定した。
 喫煙が原因の年間死亡数は世界では約500万人、受動喫煙では約60万人と報告されている。日本人の喫煙による年間死亡者は約13万人、受動喫煙では約1万5,000人と推計されている。

 がんを部位別にみると、肺がん、口腔・咽頭がん、喉頭がん、鼻腔・副鼻腔がん、食道がん、胃がん、肝がん、膵がん、膀胱がん、子宮頸部がんについては、喫煙との因果関係が「レベル1(十分)」と判定した。

 喫煙と大腸がん、乳がん、子宮体がん、腎盂尿管・腎細胞がん、前立腺がん死亡、急性骨髄性白血病については「レベル2(示唆的)」と判定。

 また、喫煙は循環器疾患も引き起こす。3つの疾患(虚血性心疾患、脳卒中、アテローム性動脈硬化症)について評価したところ、虚血性心疾患、脳卒中、腹部大動脈瘤、末梢性動脈硬化症について、「レベル1(十分)」と判定した。

 喫煙は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、呼吸機能低下、結核死亡も引き起こす。それぞれ「レベル1(十分)」と判定。

 たばこは、2型糖尿病の発症とも関連がある。禁煙による糖尿病のリスクの減少について日本人を対象とした研究は多くないが、禁煙によって耐糖能異常が改善するなど、リスクが減少するのは明らかで、「レベル1(十分)」と判定された。

 たばこは喫煙者以外にも受動喫煙の弊害をもたらす。受動喫煙によって肺がん(レベル1)、乳がん、鼻腔・副鼻腔がん(レベル2)のリスクがそれぞれ高まる。受動喫煙は虚血性心疾患と脳卒中のリスクも上昇させる(レベル1)。
喫煙室を設置せず、屋内の100%禁煙化を目指すべき
 2013年の国民健康・栄養調査によると、成人の喫煙率は約19%と近年減少傾向にあるが、若年者や女性では喫煙率が高い。

 また、飲食店や職場などで受動喫煙する機会が多い。たばこを吸わない人の33%が職場で、47%が飲食店で、月1回以上受動喫煙すると回答した。家庭内でほぼ毎日受動喫煙している20歳以上の割合は9%に上る。

 世界保健機関(WHO)は「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」(FCTC)を2005年に制定、2008年にはたばこ対策を7項目にまとめた「MPOWER」を作成した。

 それによると、日本で達成度が高いのは「たばこの使用と予防政策のモニター」のみで、「受動喫煙の防止」「脱たばこ・メディアキャンペーン」「たばこの広告・販売・後援の禁止」の3項目は「最低」だ。

 日本では、2013年の健康増進法や2015年の労働安全衛生法の改正により受動喫煙を防止することが「努力義務」とされた。学校や病院、官公庁などの禁煙化が進んできたが、喫煙室を設置してもたばこ煙の漏れが防止できないことや、喫煙可能な店舗での受動喫煙などの問題はいまだ残っている。

 世界の49ヵ国では、医療機関や大学・学校、飲食店、公共交通機関などの公共の場で「屋内全面禁煙」とする法規制をしている。そうした国では、喫煙関連の疾患による入院リスクが減少したことが報告されている。

 報告書では受動喫煙対策として「日本でも喫煙室を設置することなく、屋内の100%禁煙化を目指すべきだ」と強調している。
喫煙対策は自治体の取り組みが先行
 喫煙対策では地方自治体の取り組みが先行している。神奈川県は、2010年に「受動喫煙防止条例」を全国に先駆けて施行した。官公庁、病院、学校、物品販売店などを原則として「禁煙」として、飲食店、宿泊施設、娯楽施設などでは「禁煙」または「分煙」の措置を義務付けている。

 兵庫県は2004年に「受動喫煙防止対策指針」を策定し、建物内禁煙または完全分煙の100%実施を目標に掲げた。2013年には「受動喫煙防止条例」を施行。2012~2014年の調査では、飲食店の9割が、対応済みまたは対応予定と回答した。

「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」について(厚生労働省2016年9月2日)
(Terahata)
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