タバコを1本吸うごとに寿命は20分短縮 若い世代はタバコ規制を歓迎 「タバコ広告も禁止すべき」

タバコを1本吸うごとに、寿命は男性で17分、女性で22分、それぞれ短くなることが、最新の調査で明らかになった。
禁煙を早期に開始し、喫煙の期間と本数を減らせば減らすほど、寿命は長くなる可能性がある。
若い世代の人の多くは、禁煙政策を歓迎しており、自分たちの世代をタバコの害から守るためのチャンスと考えているという調査結果も発表された。
タバコ製品の広告や宣伝など禁止すると、喫煙の可能性が20%低下し、喫煙習慣のリスクが37%低下すると指摘されている。
タバコを1本吸うごとに寿命は20分短くなる
紙巻きタバコを1本吸うごとに、寿命は最大で22分短縮する可能性があることが、英国の最新の研究で明らかになった。
「喫煙者の多くは、喫煙習慣が寿命を縮める原因になることを理解していますが、タバコ1本吸っただけでも、寿命が短縮する可能性があることは知りません」と、ユニバーシティ カレッジ ロンドンの行動科学・健康学部のサラ ジャクソン氏は言う。
「最新の調査により、タバコを1本吸うごとに、寿命は男性で17分、女性で22分、それぞれ短くなることが示されました」としている。
研究グループは、1991年までの40年にわたり男性の喫煙と死亡リスクの関連を調べたコホート研究や、2011年まで女性の死亡リスクとの関連を追跡して調べた研究などのデータを解析した。
英国では、タバコの1日の平均消費量は、2000年以降に減っており、男性で15.8本から11.5本に、女性で13.6本から9.5本に減少したとしている。
「禁煙を早期に開始し、喫煙の期間と本数を減らせば減らすほど、寿命は長くなる可能性があります。20代か30代前半までの若い頃に禁煙した人の平均寿命は、喫煙したことのない人と同等に近付くと考えられます」と、研究者は述べている。
禁煙への取り組みは若い頃に開始すると効果的 若い世代は禁煙政策を歓迎
若い世代の人の多くは、政府が掲げる禁煙政策を歓迎しており、自分たちの世代をタバコの害から守るためのチャンスと考えていることが、英国のノッティンガム大学による別の研究で示された。
英国政府は、喫煙者を2030年までに100人に5人未満に減らすことを目標にしているが、18~25歳の若者のうち毎年12万7,500人が、喫煙をはじめていることが調査で示されている。
そこで英国では昨年、とくに若い世代にタバコ製品を販売するのを禁止するタバコ規制法が可決された。
「喫煙者のほとんどは、若い頃から喫煙をはじめています。若い人の喫煙を防ぐことができれば、年齢を重ねてから喫煙を続ける可能性は低くなると考えられます」と、同大学公衆衛生疫学センターのネイサン デイヴィス氏は言う。
研究グループは、イングランドの12~21歳の若年者36人を対象に、ビデオ通話と対面により、政府の禁煙政策について、若い世代の人がどう考えているかを調査した。
その結果、参加した若者の大半は、政府のタバコ規制の政策や目標は、タバコ依存症の害から自分たちの健康を守るために有用と思っていることが分かった。電子タバコや加熱式タバコも規制の対象にするべきだと答えた若者もいた。
たとえば、調査に協力した13歳の少女は、家庭で受動喫煙の経験があり、「母の喫煙について心配しています。母はよく"禁煙したい"と言っていますが、実際にはタバコをやめられていません。母は私たちにあまり話してくれませんが、タバコは負担になっていると思います」と答えたという。
研究グループは、喫煙習慣が原因で、世界中で2019年だけでも800万人近くが死亡していると指摘している。
「タバコの広告と宣伝は、タバコに対する認識と受容性を高め、喫煙に対する肯定的な態度を喚起します」と、研究者は述べている。
「とくに若年成人は、タバコのマーケティングにさらされると、喫煙を開始する可能性が2倍以上と高く、タバコ広告の悪影響を受けやすいとみられます」としている。
研究グループは、2024年までに発表された最新の研究から、タバコ製品の広告、宣伝、スポンサーシップの禁止が喫煙の普及に与える影響を調査した、約50万人を対象とした16件の研究を解析した。
世界保健総会(WHO総会)で1999年に、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(FCTC)が定められたが、「関係する182の団体のうち、タバコの広告、宣伝、スポンサーシップの包括的な禁止を実施しているのは17団体のみであり、37団体はまったく禁止していない」と指摘している。
One in 20 adults in England both smoke and vape (ユニバーシティ カレッジ ロンドン 2025年1月22日)
The price of a cigarette: 20 minutes of life? (Addiction 2024年12月29日)
Young people support the idea of a smokefree generation, according to a new study (ノッティンガム大学 2025年1月29日)
Perceptions of Children and Young People in England on the Smokefree Generation Policy: A Focus Group Study (Nicotine & Tobacco Research 2024年12月17日)
Tobacco advertising + sponsorship bans linked to 20% lower odds of smoking (BMJ Group 2025年1月13日)
Effectiveness of tobacco advertising, promotion and sponsorship bans on smoking prevalence, initiation and cessation: a systematic review and meta-analysis (Tobacco Control 2025年1月13日)


「特定保健指導」に関するニュース
- 2025年02月25日
- 【国際女性デー】女性と男性はストレスに対する反応が違う メンタルヘルス対策では性差も考慮したアプローチを
- 2025年02月25日
- 【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
- 2025年02月25日
- ストレスは「脂肪肝」のリスクを高める 肥満やメタボとも関連 孤独や社会的孤立も高リスク
- 2025年02月25日
- 緑茶を飲むと脂肪肝リスクが軽減 緑茶が脂肪燃焼を高める? 茶カテキンは新型コロナの予防にも役立つ可能性が
- 2025年02月17日
- 働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
- 2025年02月17日
- 肥満やメタボの人に「不規則な生活」はなぜNG? 概日リズムが乱れて食べすぎに 太陽光を浴びて体内時計をリセット
- 2025年02月17日
- 中年期にウォーキングなどの運動を習慣にして認知症を予防 運動を50歳前にはじめると脳の健康を高められる
- 2025年02月17日
- 高齢になっても働き続けるのは心身の健康に良いと多くの人が実感 高齢者のウェルビーイングを高める施策
- 2025年02月12日
-
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より - 2025年02月10日
- 【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」