ニュース

脳の健康を守る8つの生活習慣 脳卒中・認知症・うつ病などが減少 良い睡眠をとることも大切

 中年期に、不健康な食事・運動不足・睡眠障害など、悪い生活スタイルが続くと、とくに高血圧・高コレステロール・糖尿病などのリスクのある人は、年齢を重ねると脳卒中・認知症・うつ病など、脳の健康が損なわれる可能性が高くなることが明らかになった。

 中年期に寝つきが悪い、眠りが浅いなど、睡眠の質が悪い人は、年齢を重ねると、脳の健康状態が悪い兆候があらわれやすいことも分かった。

 健康的な生活スタイルを8項目にまとめた「ライフ エッセンシャル 8」を実行している項目が多い人ほど、脳の健康が保たれており、脳卒中、認知症、老年期うつ病などの神経疾患の発症が少ないことが明らかになった。

健康的な生活スタイルによりで脳の健康が改善

 中年期に、不健康な食事・運動不足・睡眠障害など、悪い生活スタイルが続くと、とくに高血圧・高コレステロール・糖尿病などのリスクのある人は、年齢を重ねると脳卒中・認知症・うつ病など、脳の健康が損なわれる可能性が高くなることが明らかになった。

 研究は、米国神経学会(AAN)が発表したもので、米国国立衛生研究所(NIH)の支援を得て行われた。研究グループは、平均年齢56歳の31万6,127人の中高年を5年間追跡して調査した。

 「すべての人にとって脳の健康を維持することは、幸福に年齢を重ねるために必要です。中年期に健康的な生活スタイルを選ぶと、その後の人生で脳の健康に好ましい影響があらわれます」と、米イェール大学で老年学を研究しているサンティアゴ クロッキアッティ-トゥオッツォ氏は言う。

8つの健康的な生活スタイル「ライフ エッセンシャル 8」

 米国心臓学会(AHA)は、健康的な生活スタイルを8項目にまとめた「ライフ エッセンシャル 8」を提案している。その8項目とは、▼食事を改善する、▼運動不足を解消する、▼健康的な体重を維持する、▼コレステロールを下げる、▼血圧値を下げる、▼血糖値を下げる、▼睡眠の質を高める、▼タバコを吸わない。

 研究グループは、この「ライフ エッセンシャル 8」の実行度が、中高年者の健康にどのように影響するかを調べた。

 その結果、8項目のうち実行している項目が多い人ほど、脳の健康が保たれており、脳卒中、認知症、老年期うつ病などの神経疾患の発症が少ないことが明らかになった。

 もっとも多く実行している人は、神経疾患の発症する可能性が0.7%に抑えられていたが、もっとも実行していない人は、リスクは1.8%と2倍以上に上昇した。

 「8つの健康習慣は、脳の健康に潜在的なメリットをもたらすことが示されました。脳の健康を守るための取り組みは、すぐにはじめることができます」と、クロッキアッティ-トゥオッツォ氏は指摘している。

 なお、今回の研究は観察研究で、「ライフ エッセンシャル 8」の実行度と神経疾患の発症の関連について、因果関係が証明されたわけではなく、社会環境や人種・民族などの社会的要因の影響も考えられるので、今後さらに研究を続ける必要があるとしている。

睡眠を改善することも大切
中年期の睡眠不足は脳の老化を早める

 米国神経学会が発表した別の新しい研究では、中年期に寝つきが悪い、眠りが浅いなど、睡眠の質が悪い人は、年齢を重ねると、脳の健康状態が悪い兆候があらわれやすいことが明らかになった。

 「睡眠障害を放置していると、中年期の早い段階で、脳の老化が3年近く早まることが分かりました」と、米カリフォルニア大学で精神医学を研究しているクレマンス カヴァイレス氏は言う。

 「脳の健康を保つために、睡眠を改善することが大切です。睡眠障害が、老後の思考力や記憶力の低下と関連し、認知症のリスクが高めることは、これまでの研究でも示されています」としている。

 研究グループは、研究開始時に平均年齢が40歳だった589人の成人を対象に、睡眠に関するアンケート調査に答えてもらい、脳スキャンなどの検査も行い、15年間追跡して調査した。

 参加者に、「ふだん寝つきが悪いですか?」「夜中に何度も目が覚めますか?」「とても早い時間に目覚めることがありますか?」といった質問に答えてもらい、▼睡眠時間が短い、▼睡眠の質が悪い、▼寝つきが悪い、▼眠り続けるのが難しい、▼早朝に目が覚める、▼日中に眠気があるという6つの睡眠障害の特徴を特定した。

 その結果、5年間にわたり一貫して睡眠の質が悪かった人は、睡眠を十分にとれている人に比べ、脳の老化が平均して2.6年近く早まることが明らかになった。

 「睡眠を改善し脳の健康を保つために、睡眠スケジュールを調整する、運動を習慣化する、就寝前にカフェインやアルコールを摂取しない、ストレス解消やリラクゼーションの方法を学ぶなど、若いうちから対策することが重要です」と、同大学神経科学研究所のクリスティン ヤッフェ氏は述べている。

 「今後の研究では、睡眠の質を改善する新しい方法の開発や、とくに若い人の脳の健康に対する睡眠の長期的な影響などを調査する予定です」としている。

Live Well, Think Well: Research Shows Healthy Habits Tied to Brain Health (米国神経学会 2024年10月23日)
Life's Essential 8 and Poor Brain Health Outcomes in Middle-Aged Adults (Neurology 2024年11月26日)
Could Poor Sleep in Middle Age Speed Up Brain Aging? (米国神経学会 2024年10月23日)
Association of Self-Reported Sleep Characteristics With Neuroimaging Markers of Brain Aging Years Later in Middle-Aged Adults (Neurology 2024年10月23日)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「特定保健指導」に関するニュース

2025年02月25日
【国際女性デー】女性と男性はストレスに対する反応が違う メンタルヘルス対策では性差も考慮したアプローチを
2025年02月25日
【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
2025年02月25日
ストレスは「脂肪肝」のリスクを高める 肥満やメタボとも関連 孤独や社会的孤立も高リスク
2025年02月25日
緑茶を飲むと脂肪肝リスクが軽減 緑茶が脂肪燃焼を高める? 茶カテキンは新型コロナの予防にも役立つ可能性が
2025年02月17日
働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
2025年02月17日
肥満やメタボの人に「不規則な生活」はなぜNG? 概日リズムが乱れて食べすぎに 太陽光を浴びて体内時計をリセット
2025年02月17日
中年期にウォーキングなどの運動を習慣にして認知症を予防 運動を50歳前にはじめると脳の健康を高められる
2025年02月17日
高齢になっても働き続けるのは心身の健康に良いと多くの人が実感 高齢者のウェルビーイングを高める施策
2025年02月12日
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より
2025年02月10日
【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」
2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶