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「加熱式タバコ」もやはり危険 従来のタバコと同様に健康リスクが がん細胞の増殖を促進 細胞死も
2024年11月11日
横浜市立大学が、加熱式タバコを調査した結果、加熱式タバコの煙は低濃度でもがん細胞の増殖を促進させる可能性があり、高濃度では細胞死を引き起こすことが明らかになった。
加熱式タバコは「紙巻タバコより有害性が低い」という印象があり、利用者は増えているが、「加熱式タバコも健康リスクをともなう可能性がある」と、研究者は注意を促している。
加熱式タバコも健康被害のリスクがある可能性が
横浜市立大学が、加熱式タバコの煙を調査した結果、高濃度で細胞死を引き起こすことが分かり、紙巻タバコと同様に細胞毒性があることが明らかになった。 研究グループは今回、従来の紙巻きタバコと加熱式タバコから、ニコチンとタールを取り除いた成分(ガス相抽出物)を抽出し、ヒトの細胞に対する毒性を比較した。 その結果、加熱式タバコは高濃度で細胞死を引き起こすことが分かり、紙巻タバコと同様に細胞毒性をもつことが明らかになった。 また、この細胞への毒性は活性酸素種や細胞内カルシウムのシグナル伝達経路によって引き起こされる可能性が示された。 さらに、加熱式タバコは低濃度の場合は、がん細胞の増殖を促進する可能性が示された。 「今回の研究は、加熱式タバコも健康リスクをともなう可能性があることを示しており、今後さらに詳細な研究が必要であることを示唆しています」と、研究者は述べている。 研究は、横浜市立大学大学院医学研究科循環制御医学の梅村将就准教授、長尾景充助手、永迫茜助手らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Physiological Sciences」に掲載された。
加熱式タバコも紙巻きタバコも細胞毒性があることを確認
カルシウムシグナル伝達経路や活性酸素が関与
カルシウムシグナル伝達経路や活性酸素が関与
出典:横浜市立大学、2024年
関連情報
加熱式タバコも細胞毒性とがん増殖を引き起こす 従来のタバコと比較
加熱式タバコは、従来の紙巻きタバコと異なり、比較的安全なデバイスとして近年若者を中心に急速に広まっている。しかし、その安全性については十分な研究が行われていないため、健康への影響が懸念されている。 加熱式タバコはニコチンが少ないとされているが、タバコの煙には5,000種類以上の化学物質が含まれ、なかには加熱式タバコにより多く含まれる物質もある。 加熱式タバコを吸った日本人若年男性が、急性好酸球性肺炎を発症し、人工心肺を要した報告もある。 そこで研究グループは、加熱式タバコから、ニコチンとタールを取り除いたガス相抽出物がどのような影響を及ぼすのかを調査した。 まず、喫煙や飲酒が主なリスク要因となるヒト口腔扁平上皮がん細胞を用いて、加熱式タバコと従来のタバコの煙が細胞に与える影響を比較した。両者の煙を細胞培養液中に抽出し、細胞の生存率、アポトーシス(細胞死)、Ca2++シグナル伝達経路の変化及び活性酸素種を観察した。 その結果、加熱式タバコは低濃度でもがん細胞の増殖を促進させる可能性があり、高濃度では細胞死を引き起こすことが明らかになった。 加熱式タバコのガス相抽出物の毒性についてさらに研究したところ、加熱式タバコのガス相抽出物の刺激により細胞内Ca2++濃度が上昇し、その結果、細胞内Ca2++シグナル、とくに細胞の増殖、代謝、アポトーシスなどを調節しているCaMKK2が活性化され、その結果、活性酸素が生成されることでアポトーシスが引き起こされることが示された。 「加熱式タバコでも、従来の紙巻きタバコでも、CaMKK2を介した活性酸素産生が毒性の一因であることを、はじめて明らかにしました」と、研究者は述べている。 「加熱式タバコも、従来のタバコと同様に健康被害のリスクがある可能性があります。今後、加熱式タバコががん細胞を増やすメカニズムについてのさらなる研究が求められます」としている。 横浜市立大学大学院医学研究科循環制御医学Cytotoxic effects of the cigarette smoke extract of heated tobacco products on human oral squamous cell carcinoma: the role of reactive oxygen species and CaMKK2 (Journal of Physiological Sciences 2024年6月25日)
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