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日本食の理想形は「1975年型」 4週間食べるとどうなる? 東北大
2016年10月13日
ユネスコの世界無形文化遺産に登録されたのを機に「日本食」への注目が世界的に高まるなか、東北大学の研究グループが、1975年頃に食べられていた日本食を食べると、肥満の解消や、悪玉コレステロールや血糖値の低下、ストレスの軽減、運動機能の向上などの効果を得られることを確認したと発表した。
日本人の寿命が延びたのは日本食のおかげ
日本は世界が認める長寿国であり、日本人が日常とっている食事である「日本食」の健康効果がその理由のひとつと考えられている。
東北大学の研究グループが過去の研究で、現代と過去の日本食をマウスに摂取させ、もっとも健康効果の高い日本食をどれかを調べたところ、1975年頃の日本食が肥満を抑制し、加齢にともない増える2型糖尿病、脂肪肝、認知症を予防し、寿命を延伸することが判明した。
今回のヒトを対象とした実験で、1975年頃の日本食には現代食に比べて、健常人に対してストレス軽減、運動機能向上、軽度肥満者に対してはBMIの低下や、悪玉コレステロールや血糖値を低下の効果があることが明らかになった。
1975年の日本食の5つの特徴
研究チームによると、1975年の日本食の特徴は、5つの要素に分けられる。
(1)多様性さまざまな食材を少しずつ食べる。主菜と副菜を合わせて3品以上を揃える。 (2)調理法
「煮る」「蒸す」「生」を優先し、次いで「茹でる」「焼く」を使う。「揚げる」「炒める」は控えめに。カロリーや脂肪を抑える調理法を工夫する。 (3)食材
大豆製品や魚介類、野菜(漬物を含む)、果物、海藻、きのこ、緑茶を積極的に摂取し、卵、乳製品、肉も適度に(食べ過ぎにならないように)摂取する。 (4)調味料
だしや発酵系調味料(醤油、味噌、酢、みりん、お酒)を上手に使用し、塩や糖分(砂糖)の摂取量を抑える。 (5)形式
一汁三菜[主食(米)、汁物、主菜、副菜×2]を基本として、さまざまな食材を摂取する。
ご飯、みそ汁(キャベツ、玉ネギ、シメジ)、卵焼き、納豆、ひじきの煮物(ひじき、ニンジン、油揚げ) | |
きつねうどん(油揚げ、ホウレンソウ、刻みネギ、カマボコ)、果物(リンゴ、ブドウ) | |
ご飯、すまし汁(ハクサイとワカメ)、サバのみそ煮、カボチャの煮物(サヤエンドウ)、冷奴(豆腐、ネギ、ニンニク) |
1975年の日本食で悪玉コレステロールや血糖値を低下
今回の研究は、この1975年の日本食の特徴を明らかにし、健常人や軽度肥満者に与える影響を検討したもの。研究は、東北大学大学院農学研究科食品化学分野の都築毅准教授らのグループが、同大学院医学系研究科公衆衛生学分野の辻一郎教授、遠又靖丈講師らと共同で行った。
研究チームはヒト介入試験を行い、1975年頃に食べられていた献立の特徴がある食事(1975年型日本食)と現代食の体への影響を比較した。
実験では、年齢20~70歳のBMI(体格指数)が24~30の軽度肥満者(60人)と健康な人(32人)の計92人を対象に、次の2つの実験を行い、1975年型日本食と現代の食事を比較した。
(実験1)
年齢20~70歳のBMI(体格指数)が24~30の軽度肥満者を、現代食群(30人)と1975年型日本食群(30人)に分け、それぞれの食事を1日3食、28日間摂取してもらった。
(実験2)
年齢20~30歳のBMI(体格指数)が18.5~25の軽度肥満者を、現代食群(16人)と1975年型日本食群(16人)に分け、それぞれの食事を1日3食、28日間摂取してもらった。期間中に週3回、1日1時間以上の中程度の運動を行ってもらった。
その結果、次の結果が得られた。
年齢20~70歳のBMI(体格指数)が24~30の軽度肥満者を、現代食群(30人)と1975年型日本食群(30人)に分け、それぞれの食事を1日3食、28日間摂取してもらった。
(実験2)
年齢20~30歳のBMI(体格指数)が18.5~25の軽度肥満者を、現代食群(16人)と1975年型日本食群(16人)に分け、それぞれの食事を1日3食、28日間摂取してもらった。期間中に週3回、1日1時間以上の中程度の運動を行ってもらった。
(実験1)
1975年型日本食群では、現代食群と比べて、BMIや体重が有意に減少し、悪玉のLDLコレステロールや血糖値の平均を示すHbA1cが低下、ウェスト周囲径の減少傾向や、善玉のHDLコレステロールの増加傾向が示された。
(実験2)
1975年型日本食群では、現代食群と比べて、ストレスの有意な軽減、運動能力の有意な増加がみられた。
1975年型日本食群では、現代食群と比べて、BMIや体重が有意に減少し、悪玉のLDLコレステロールや血糖値の平均を示すHbA1cが低下、ウェスト周囲径の減少傾向や、善玉のHDLコレステロールの増加傾向が示された。
(実験2)
1975年型日本食群では、現代食群と比べて、ストレスの有意な軽減、運動能力の有意な増加がみられた。
日本食はこの50年で大きく変化した
日本食の内容はこの50年で大きく様変わりし、また、食の欧米化とともに生活習慣病の発症率が増加している。
「1975年型日本食に健康に良い効果があることが、ヒトを対象とした試験で確かめられた。この時代の日本食の特徴を社会に発信することが、現在の食生活を見直すきっかけになる。また、高齢社会で増加している老化性疾患の予防に役立つ"日本食"を世界へアピールすることが期待できる」と、実験を行った都築准教授は述べている。
研究結果は、9月の第68回日本生物工学会大会、10月の日本農芸化学会創立100周年に向けたシンポジウムで発表された。
東北大学大学院農学研究科食品化学分野東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野
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