緑茶やコーヒーを飲む習慣は認知症リスクの低下と関連 朝にコーヒーを飲むと心血管疾患リスクも低下

緑茶やコーヒーを飲んでいる人は20年後に認知機能障害のリスクが低下
中年期に緑茶やコーヒーを飲む習慣があった人は、20年後に認知機能障害のリスクが低下することが、日本人を対象とした調査で示された。
認知機能とは、人間がものを認識するために必要な知的な能力のこと。50歳を超えるあたりから、認知機能は徐々に低下していくが、年齢を重ねて脳の情報処理の能力が低下し、記憶を呼びだせない「物忘れ」などが多くなると、認知症のはじまりが疑われる。
「JPHC研究」は、全国の保健所管内の約14万人の地域住民を対象に、生活習慣とがん・脳卒中・心筋梗塞などの病気との関連について長期追跡している多目的コホート研究で、国立がん研究センターを中心に行われている。
研究グループは今回、JPHC研究に参加した、長野県に在住していた1,155人の参加者を対象に、約20年間追跡して調査した。参加者の年齢は、研究開始時点で44〜66歳だった。
緑茶・コーヒーの摂取について、2回の生活習慣調査アンケートを実施し平均値を算出した。
その結果、次のことが明らかになった――。
緑茶を2〜3杯飲んでいる人は認知機能障害のリスクが44%低下 |
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緑茶を1日に2〜3杯飲んでいる人では認知機能障害のリスクが44%低下した。とくに男性では62%低下し、効果が高かった。 |
年齢の高い人ではコーヒーを飲んでいると認知機能障害のリスクが低下 |
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コーヒーを飲む習慣については、より年齢の高い群で関連がみられた。年齢が53歳以上の人では、認知機能障害のリスクは、コーヒーを1杯以上飲む群では46%低下した。 |
中年期の健康的な生活がヘルシーエイジングにつながる

これまでの調査でも、緑茶やコーヒーの摂取が、認知機能の低下を予防する効果がある可能性が指摘されている。
近年の研究で、認知症を引き起こす脳内の異常タンパクの蓄積や脳血管の老化は、中年期からはじまることが明らかになっている。中年期に健康的なライフスタイルを身につけることが、年齢を重ねてからの認知機能の低下を予防できる可能性がある。
今回の結果は、緑茶に含まれるポリフェノールの一種であるカテキンの抗酸化作用、抗炎症作用、血管保護作用、異常タンパク質の蓄積阻害などの神経保護作用による可能性が考えられる。緑茶に含まれるテアニンやアルギニンといったアミノ酸も、リラックス効果があるとされている。
コーヒーについても、コーヒーの抗酸化作用、抗炎症作用、血管保護作用などに加え、コーヒーの認知機能への刺激作用も重要な役割を果たしている可能性が考えられる。高齢者に対してとくに効果があるとした先行研究もある。
一方で、緑茶やコーヒーを飲みすぎると、カフェインなどの影響により有益な効果が打ち消される可能性も考えられる。
緑茶やコーヒーは、カフェインも含まれるので、飲みすぎに注意が必要になる場合もあるが、適度に飲む習慣は健康維持に役立ちそうだ。
コーヒーの飲みすぎにも注意が必要
多目的コホート研究(JPHC Study) 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト
A longitudinal cohort study demonstrating the beneficial effect of moderate consumption of green tea and coffee on the prevention of dementia: The JPHC Saku Mental Health Study (Journal of Alzheimer's Disease 2025年1月8日)
Morning coffee may protect the heart better than all-day coffee drinking (欧州心臓病学会 2025年1月8日)
Coffee drinking timing and mortality in US adults (European Heart Journal 2025年1月8日)


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