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ストレスは「脂肪肝」のリスクを高める 肥満やメタボとも関連 孤独や社会的孤立も高リスク

 脂肪肝は、肝臓に脂肪が異常に蓄積されている状態。脂肪肝に、不健康な食事や運動不足だけでなく、ストレスも深く関係していることが明らかになった。

 ストレスレベルの高い人は、脂肪性肝疾患のリスクが1.2倍近くに上昇することが、大規模な調査で分かった。男性や肥満のある人でこの傾向はより強いという。

 孤独と社会的孤立も、脂肪性肝疾患のリスクを高めることが、新たな調査で分かった。

 「ストレスを軽減するために、運動を習慣として行うことや、ヨガや瞑想などのマインドフルネスにもとづく取り組み、専門家や家族・友人からの支援なども役にたちます」と、専門家はアドバイスしている。

不健康な食事・運動不足・ストレスが脂肪肝に影響

 脂肪肝は、肝臓に脂肪が異常に蓄積されている状態。アルコールを飲みすぎている人は、とくに肝臓に脂肪がたまりやすいが、アルコールを飲まない人や、肥満のない人、女性などの脂肪肝も増えている。

 不健康な食事や運動不足が、脂肪性肝疾患の発症と進行の原因であることが知られているが、ストレスも深く関係していることが、韓国の調査で明らかになった。

 ストレスレベルの高い人は低い人に比べて、脂肪性肝疾患のリスクが1.2倍近くに上昇することが分かった。男性や肥満のある人で、この傾向はより強いことも示された。

 肝疾患を早期に発見して、原因となる食事や運動などライフスタイルを改善し、健康的な体重を維持すると改善できるが、適切な管理をしないでいると肝臓の働きが悪くなり、肝硬変や肝臓がんに進行するおそれもある。

ストレスが肝臓のインスリン抵抗性や炎症を引き起こす

 脂肪性肝疾患は、肥満・メタボ、脂質異常症、高血圧、糖尿病(高血糖)などと関連が深く、それらが重なると、血糖値を下げるインスリンが働きにくくなるインスリン抵抗性が進行しやすくなり、狭心症や心筋梗塞などの心疾患や、脳卒中のリスクが高くなる。

 肥満や2型糖尿病の増加や、高齢化により、脂肪肝は増えており、世界の成人の30%が罹患しているとみられている。日本でも、健康診断の受診者の20~30%が脂肪肝をともなうという報告がある。

 食事で脂質や糖質をとりすぎていて、運動不足が続くと、使いきれなかった脂肪酸やブドウ糖が中性脂肪として肝臓に蓄えられる。

 不健康なライフスタイルが、脂肪性肝疾患の発症と進行の原因であることが知られているが、ストレスも深く関係していることが、韓国の調査で明らかになった。

 ストレスを感じると、コルチゾールと呼ばれるホルモンの分泌が増える。こうしたストレスホルモンは、肥満や高血圧、糖尿病などの代謝障害に影響するだけではなく、肝臓のインスリン抵抗性や炎症も引き起こし、肝臓に蓄積される脂肪をさらに増やすおそれがある。

ストレスを管理するための戦略が必要

 研究グループは、韓国の健康診断センターで検査を受けた平均年齢が39.8歳の17万1,321人の成人を対象に横断研究を実施した。うち、27.8%に脂肪肝が認められた。

 解析した結果、ストレスレベルの高い人は低い人に比べて、脂肪性肝疾患のリスクが1.17倍に上昇することが分かった。男性や肥満のある人で、この傾向はより強いことも示された。

 研究は、韓国の成均館大学校医学部のダンビー カン氏や、ソン・ウンジュ氏らによるもの。「多くのストレスを経験している人は、肥満やメタボリックシンドロームのリスクも高く、心血管疾患の発症が1.5倍に増えるという報告もあります」と、研究者は述べている。

 「健康的なライフスタイルによりストレスを管理することは、脂肪性肝疾患を予防・改善するためにも重要です」としている。

 「ストレスを管理するのに役立つ戦略は多くあります。ストレスを軽減するために、運動を習慣として行うことや、ヨガや瞑想などのマインドフルネスにもとづく取り組み、専門家や家族・友人からの支援なども役にたちます」としている。

孤独や社会的孤立も脂肪性肝疾患のリスクを高める
メンタルヘルス対策が必要
 孤独と社会的孤立は、脂肪性肝疾患(SLD)のリスクを高めることが、大規模研究であるUKバイオバンクに参加した40万5,073人の成人を対象とした調査でも明らかになった。

 研究は、中国の陸軍医科大学、中南大学、スウェーデンのカロリンスカ研究所が共同で実施したもの。

 研究グループは今回、参加者の社会的つながりや感情的ウェルビーイングについて評価し、孤独と社会的孤立という2つの社会的決定要因が、脂肪性肝疾患のリスクにどのように関連するかを調査した。

 その結果、肥満、糖尿病、ライフスタイルの行動などのリスク要因とは関係なく、孤独は脂肪性肝疾患の発症リスクを22%増加させ、社会的孤立はリスクを13%増加させることが明らかになった。

 詳細に分析した結果、肝疾患に不健康なライフスタイル、うつ病、体の炎症反応などの要因が関連していることも分かった。

 さらに、肥満、喫煙、運動不足などの不健康なライフスタイルは、孤独に関連する脂肪性肝疾患の原因の最大30%を占め、うつ病との関連では33%を占めることも示された。

 「孤独と社会的孤立はメンタルヘルスに悪影響をもたらすだけでなく、肝疾患のような代謝性疾患の発症にも影響することが分かりました」と、陸軍医科大学肝疾患センターおよび消化器科のジン チャイ教授は言う。

 「生活指導や保健指導では、健康的なライフスタイルへの取り組みを促すだけでなく、孤独や社会的孤立という社会的決定要因を標的とした介入も必要です」としている。

脂肪性肝疾患のリスクを、孤独は22%増し、社会的孤立は13%増やすことが判明
出典:Health Data Science、2025年

* 脂肪性肝疾患は、海外では「SLD:Steatotic Liver Disease」と呼ばれており、日本では日本消化器病学会と日本肝臓学会がその日本語病名を「脂肪性肝疾患」に定めると2024年に発表した。「MASH:Metabolic Dysfunction Associated Steatohepatitis」は、「代謝機能障害関連脂肪肝炎」。

Stress as a Potential Driver for MASLD? (脂肪肝同盟 2023年3月31日)
Perceived stress and non-alcoholic fatty liver disease in apparently healthy men and women (Scientific reports 2020年1月8日)
Non-Alcoholic Fatty Liver Disease (NAFLD) and Potential Links to Depression, Anxiety, and Chronic Stress (Biomedicines 2021年11月16日)
Loneliness and social isolation linked to increased risk of non-alcoholic fatty liver disease, study finds (Health Data Science 2025年1月12日)
Loneliness and Social Isolation with Risk of Incident Non-alcoholic Fatty Liver Disease, UK Biobank 2006 to 2022 (Health Data Science 2025年1月7日)

[Terahata]