ニュース
がん死亡率が10年間で16%低下 肝臓がんや胃がんが大きく改善
2017年01月11日
75歳未満のがん死亡率が2005年から15年までの10年間で約16%下がったと、国立がん研究センターが発表した。肝臓がんや胃がんなどの死亡率(調整死亡率)が大きく下がった一方、乳がんや子宮頸がんやなどは上昇するなど部位別で大きな差が出た。
肝臓がんが49%、胃がんが33%、それぞれ低下
年齢調整死亡率は、年齢構成が異なる集団での死亡率の比較や、同じ集団の死亡率年次推移をみる場合に用いられ、がん対策の評価指標としては、「75歳未満年齢調整死亡率」が活用されている。年齢調整率を用いることで高齢化の影響を除去し、75歳以上の死亡を除くことで壮年期死亡の減少を高い精度で評価することができる。
国立がん研究センターは2015年の人口動態統計をもとに、がんによる75歳未満年齢調整死亡率を計算した。その結果、2015年は人口10万人当たり78人で2005年の92人より約16%下がっていた。部位別では、肝臓がんが約49%も下がり、胃がんも約33%低下。一方、子宮頸(けい)がんは約10%上昇、乳がんも約3%上がっていた。大腸がんや肺がんは7%前後の低下にとどまった。
乳がんは死亡率の増加が止まる
同センターは、がん種別に基本計画の前後10年間で死亡率の減少率を比較した。その結果、次のことが判明した。
・ 肝臓がんで死亡率減少が加速し、女性乳がんで死亡率増加が止まった一方、大腸がんおよび肺がんで死亡率の減少が鈍化し、子宮頸がんで死亡率の増加が加速した。・ 胃がんの減少率は大きく変わらなかった。
・ 肝臓がんは死亡率減少が加速しているが、これはC型肝炎ウィルスの感染率が世代的に減少している影響が大きい。
・ 同様に、胃がんの死亡率の減少はヘリコバクターピロリ菌の感染率が世代的に減少している影響が大きい。
・ 女性の乳がんは死亡率の増加が止まり、がん検診の普及や治療効果の向上の効果であると推察できるが、まだ明瞭な減少局面には入っていない。
・ 大腸がん、肺がん、子宮頸がんはがん対策推進基本計画前と比べて死亡率の減少が鈍化、あるいは死亡率の増加が加速している。
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「がん」に関するニュース
- 2024年04月22日
- 【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
- 2024年04月09日
- 子宮の日 もっと知ってほしい子宮頸がんワクチンのこと 予防啓発キャンペーンを展開
- 2024年03月25日
- 【乳がん検診】40歳になったら毎年受けるとリスクは最小限に 乳がん検診は進歩している
- 2024年03月18日
- がん予防で1兆円超の経済負担を軽減 生活スタイルや環境の改善が必要 子宮頸がんはHPVワクチンで予防できる
- 2024年03月05日
- 業態別の健康課題を見える化 「働き世代の健康データブック」を公開 企業の健康経営を支援 協会けんぽ京都支部
- 2024年03月05日
- 【横浜市】がん検診の充実などの対策を加速 高齢者だけでなく女性や若い人のがん対策も推進 自治体初の試みも
- 2024年03月04日
- 中年成人の肥満・メタボの解消にオンラインの保健指導が役立つ 社会的サポートは多ければ多いほど嬉しい
- 2024年02月16日
-
「HPV検査単独法」子宮頸がん検診に4月から導入
厚生労働省「がん検診検討会」より - 2024年02月13日
- 早期の腎臓病の段階から医療費は増加 健診受診者の5.3%が早期慢性腎臓病 就労世代8万人の健診データを分析
- 2024年02月05日
- 大腸がんは早期発見でほぼ100%治療できる 検査や治療は進歩 検診を受けることが大切