HPVワクチンのキャッチアップ対象接種者は2024年9月までに接種開始を 東京都はポータルサイト「はじめてのHPVワクチン」を開設

子宮頸がんなどの予防につながるHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン接種は、小6から高1相当の女性を対象に現在、定期接種が行われている。
一方、積極的勧奨の差し控えの影響で、1997年度~2007年度生まれで接種機会を逃した女性についても、今年度末までは「キャッチアップ接種対象者」となっている。
今年度中に接種を完了するためには1回目を9月までに受ける必要があり、自治体などが広報を強化。東京都もこのほど開設したポータルサイト「はじめてのHPVワクチン」で広く情報を発信するとともに、対象者に早期の接種を促している。
HPVは性行為で女性の多くが生涯で一度は感染する一般的なウイルスだが、子宮頸がんや尖圭コンジローマなど、多くの病気の発生に関わっているとされる。特に若い女性が子宮頸がんに罹患するケースが多いことから、HPVワクチンは小6から高1相当の女性を対象に定期接種が行われている。
日本において公費で受けられるHPVワクチンは2価ワクチン(サーバリックス®)、4価ワクチン(ガーダシル®)、9価ワクチン(シルガード®9)の3種類がある。一定の間隔をあけて同じワクチンを合計2回か3回接種するが、接種するワクチンや年齢によって接種のタイミングや回数が異なる。
一方、厚生労働省はHPVワクチンについて接種後に報告された多様な症状について調査するため、2013年6月から積極的な勧奨を一時的に差し控えていた。2021年11月には専門家の評価で「HPVワクチンの積極的勧奨を差し控えている状態を終了させることが妥当」とされたため、2022年4月からは、ほかの定期接種と同様、個別に勧奨している。
そのため、積極的勧奨の差し控え期間に接種機会を逃した1997年度~2007年度生まれの女性には2022年4月から2025年3月の3年間、公費で接種できるようにした。
ただし注意点があり、キャッチアップ対象者が接種するワクチンは合計3回、決められた間隔をあける必要があるため、無料で受けられる期間内に接種を完了するには、2024年9月までに1回目の接種を終えていなければならない。
自治体は対象者に個別で案内を出すなど啓発に努めている。東京都では7月に開設したHPVワクチンと接種の情報をわかりやすくまとめたポータルサイト「はじめてのHPVワクチン」でも呼びかけを強化。
「高校1年生・1997年~2007年度生まれの女性が公費(無料)で受けられるのは2025年3月末まで! 3回接種(約6か月)が必要なので、第1回の接種は9月までに!」とトップページに掲載している。
同サイトは接種対象者のほか、接種対象者の保護者や、ワクチン接種に関心のある男性も対象とし、「HPVワクチンと子宮頸がんの情報」や「HPVワクチンに関する相談先」などについて情報をわかりやすく掲載。このうち男性については、男性でも任意接種できる旨を説明している。
HPVワクチンの普及啓発のため、今後、動画も配信する予定だという。
ポータルサイト「はじめてのHPVワクチン」を開設(東京都/2024年7月9日) ポータルサイト「はじめてのHPVワクチン」

「産業保健」に関するニュース
- 2025年02月25日
- 【国際女性デー】女性と男性はストレスに対する反応が違う メンタルヘルス対策では性差も考慮したアプローチを
- 2025年02月25日
- 【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
- 2025年02月25日
- ストレスは「脂肪肝」のリスクを高める 肥満やメタボとも関連 孤独や社会的孤立も高リスク
- 2025年02月25日
- 緑茶を飲むと脂肪肝リスクが軽減 緑茶が脂肪燃焼を高める? 茶カテキンは新型コロナの予防にも役立つ可能性が
- 2025年02月17日
- 働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
- 2025年02月17日
- 肥満やメタボの人に「不規則な生活」はなぜNG? 概日リズムが乱れて食べすぎに 太陽光を浴びて体内時計をリセット
- 2025年02月17日
- 中年期にウォーキングなどの運動を習慣にして認知症を予防 運動を50歳前にはじめると脳の健康を高められる
- 2025年02月17日
- 高齢になっても働き続けるのは心身の健康に良いと多くの人が実感 高齢者のウェルビーイングを高める施策
- 2025年02月12日
-
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より - 2025年02月10日
- 緑茶やコーヒーを飲む習慣は認知症リスクの低下と関連 朝にコーヒーを飲むと心血管疾患リスクも低下