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「肺がん検診」の受診率は50%前後 7割の若者は「受けたい」と意欲的 がん検診の受診率を高めるプラス要因とは?
2024年06月24日

肺がんは早期の発見と治療が大切だが、若い人のがん検診の受診の意欲は高く、約70%に将来に受診したいという気持ちがあることが分かった。
「将来のがん罹患への不安」や「肺がん検診受診のメリット」を理解してもらうことが、肺がん検診の受診意思につながるプラス要因であることも明らかになった。
若い人のがん検診の受診意欲は高い 7割は「肺がん検診を受けたい」
肺がんは日本人に多いがんだ。「2022年の人口動態統計(確定数)」をもとに、日本対がん協会がまとめた部位別がん死亡者数の順位は、肺がんが男性では1位、女性でも大腸がんに続いて2位になっている。 初期の肺がんは自覚症状をともなうことが少ないので、早期の発見と治療が不可欠だが、日本で40歳以上に推奨されている肺がん検診の受診率は50%前後で、決して高くない。 日本では、40歳以上を対象に胸部レントゲン撮影による肺がん検診が全国で実施されており、ヘビースモーカーには喀痰細胞診が追加実施されている。要精密検査と判定された場合は、胸部CT(コンピュータ断層撮影)や気管支鏡検査が行われる。 肺がん検診の受診率を高めるために、若いうちから将来に「肺がん検診を受診しよう」という意思を高めることが重要となる。 そこで中部大学は、同大学の1年生から4年生を対象に、「将来に肺がん検診を受診する意思があるか」という意識調査を実施した。 その結果、若い人のがん検診の受診の意欲は高く、アンケートに回答した約6,500人のうち、約70%が受診する意思があることが分かった。がん検診の受診率を高めるために必要なことは?
一方で、喫煙する習慣のある学生は、喫煙しない学生に比べて、「将来に肺がん検診を受ける意思がない」と回答する比率が高かった。 今回の調査結果は、喫煙している若者に対して、喫煙が肺がんの重要な危険因子であることや、肺がんに罹患するリスクを理解してもらう教育を行う必要があることを示している。 研究は、中部大学生命健康科学部保健看護学科の森幸弘氏、スポーツ保健医療学科の伊藤守弘教授らの研究グループによるもの。 研究グループは、いくつかの要因からある事象が起こる確率を予測できる統計手法であるロジスティック回帰分析により、大学生が将来肺がん検診を受診する意思に関連する要因を分析した。 「調査では、"将来のがん罹患への不安"や"肺がん検診受診のメリット"を認識してもらうことが、肺がん検診の受診意思につながるプラス要因であることも明らかになりました」と、研究者は述べている。がん検診の受診を妨げるマイナス要因 若い人にも教育が必要
一方で、「肺がん検診受診によるがん発見の可能性に対する不安」「受診年齢を先延ばしにしようとする意識」「検査内容への不安」など、肺がん検診の受診意思に対するマイナス要因があることも判明した。
将来に肺がん検診を受診しようという意思に関連する因子
肺がん検診を受診するメリットは分かっているが、「がん発見に対する不安」「検査内容への不安」などのマイナス要因もある

出典:中部大学、2024年
「これらの結果は、若年層が将来の検診受診に対する不安と利点の間のジレンマを克服できるような教育を提供することの重要性を強調するものです」と、研究者は指摘している。
日本では近年、AYA(思春期・若年成人)世代のがん対策のあり方が、報道でもクローズアップされている。
若年層では、上の年齢層に比べて、全体的にがんの発生頻度が低く、発見・診断が遅れる可能性が高い。そのため、できるだけ若い年齢から、継続した受診行動につなげられるような環境作りと、教育支援体制を構築することが課題になっているとしている。
さらに、「肺がん検診の内容は、一般には認知されていないことも多いため、安心して受けられるような取り組みも必要です。日本では依然として肺がん検診が十分に活用されていない現状があります」としている。
「一般的に若い人は肺がん検診の存在を知らない可能性もあります。大学生は、肺がん検診の推奨年齢に達していませんが、がん予防の実践に関する意識や知識を高めることができる重要な集団のひとつです」と指摘している。
中部大学生命健康科学部Factors Influencing Willingness to Undergo Lung Cancer Screening in the Future: A Cross-Sectional Study of Japanese University Students (Healthcare 2024年4月17日)
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