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脳卒中の後遺症マヒを改善 脳波を利用するリハビリを慶大などが開発
2017.01.26
 慶応義塾大学やパナソニックなどは、脳卒中の後遺症で手に麻痺が残った患者の治療に使う医療機器を共同開発すると発表した。2019年度を目途に医療機器の実用化を目指す。
脳波のメカニズムを利用する「BMI療法」
 慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室の里宇明元教授を中心とする医工連携チームが実現を目指しているのは、非侵襲的な脳活動計測である頭皮脳波を用い、麻痺そのものの回復を促す「BMI療法」だ。

 BMIはブレイン マシン インターフェースの略。脳波などを読みとってその命令で機械を動かす最先端技術をリハビリテーションに応用する。臨床試験では7割の患者で効果があらわれているという。

 脳卒中は脳の血管が詰まったり破れたりする病気の総称で、大きく脳梗塞、脳出血、くも膜下出血に分かれる。脳卒中の後遺症では手や足に麻痺が残るケースが多い。

 脳卒中の患者数は約350万人に上り、麻痺が残った場合、上肢が実用レベルまで回復する割合は15~20%にとどまるという。

 現状では、手指伸筋活動もみられない重度麻痺患者に対しては有効な治療法はなく、現在のリハビリでは、麻痺手の回復そのものを指向した治療よりも、利手交換、片手動作の習得などの代償的治療が中心になっている。
手や指を動かす脳波を読み取り回復を促す
 「BMI療法」療法のシステムは、脳の運動野での脳活動を測定する専用の脳波ホルダーと、手指伸筋への電気刺激装置、さらに手指を伸展させる電動装具(ロボット)から構成されている。

 手指の伸展をイメージすると、脳の運動に関連した部分の活動が活発になる。この脳波の変化を装置が読み取り、手指への電気刺激と電動装具による他動運動を行う。さらに、脳に体性感覚のフィードバックを与えることにより、新たな運動指令の神経回路を形成する。

 「BMI療法」は、障害脳の可塑性によって麻痺自体を回復させる画期的な治療法で、対象となるのは、脳卒中片麻痺患者のうち、発症後90日以上の慢性期で、手指伸展不能となった、他の方法では効果が得られない重度の患者。

 この治療法により、手指伸筋の筋活動があらわれ、脳皮質運動領域の血流が増加し、結果として運動麻痺の改善につながり、日常生活での上肢使用の増加が期待でるという。

 この医療機器を慶應大学との連携によりパナソニックが開発し製品化する。医師主導の治験終了した後の2019年に薬機法承認を目指している。

 脳波のメカニズムを利用する「BMI療法」で、脳卒中による麻痺自体の回復に成功すれば、世界ではじめての治療法となるという。「リハビリの可能性を広げる有力な選択肢となる」と、里宇教授は述べている。

慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
(Terahata)
©2017 日本医療・健康情報研究所. 掲載記事・図表の無断転用を禁じます。

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