ニュース

肺の生活習慣病「COPD」 運動と野菜の摂取でリスクを下げられる

 喫煙者に多いことから「肺の生活習慣病」とも言われる「COPD」(慢性閉塞性肺疾患)は、運動をして、野菜を十分に食べることで予防・改善が可能だという研究が発表された。
COPDの国内患者数は500万人
息切れが出てきたら要注意
 COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、主にたばこが原因で起きる肺の病気で、国内の患者数は約500万人と推定されている。「階段や坂道をあがったときに息切れを起こす」などが典型的な初期症状だ。

 たばこの煙には、ニコチンやタール、PM2.5の粒子など、さまざまな有害物質が含まれている。吸い続けていると、気管支や肺胞に炎症が起き、炎症が進むと肺胞が壊れ、酸素が十分に取り込めなくなり、息苦しさが出てくる。

 症状としては、咳が続く咳嗽(がいそう)や、痰を吐く喀痰(かくたん)、進行性の息切れなどが生じる。治療法として、気管支拡張剤に肺機能の部分的な改善があるが、重症化すると息切れのために在宅酸素療法が必要となる。

 COPDは、日本人の死因の10位、世界ではがん、心疾患、脳血管障害、に次ぐ4位になっている。進行性の病気なので、早めの対策が必要だ。
運動すればCOPDを予防・改善できる
 大阪市立大学の研究グループは、運動をすることでCOPDを予防・改善できる可能性があるという研究結果を発表した。

 運動により脂質異常症、2型糖尿病などの代謝性疾患の病状が改善することが知られており、最近の研究で、そのメカニズムのひとつに筋肉から分泌される「マイオカイン」の働きがあることが分かってきた。

 筋肉から分泌されるホルモンは「マイオカイン」と総称されており、そのうち「アイリシン」には、白色脂肪に対して働きかけ、褐色細胞と同じようなカロリー燃焼効果をもたせてくれたり、褐色細胞を増やす作用があると考えられている。

 ウォーキングなどの運動をするとアイリシンが増え、貯められている脂肪をエネルギーとして燃焼するのを促す。アイリシン運動による2型糖尿病や肥満の改善作用の一端を明らかにするものだ。

運動をすると筋肉から分泌されるホルモンが増加
 研究グループは、COPD患者(平均年齢73歳)40人を対象に、血中アイリシン濃度と肺機能検査、胸部CTにて気腫化の程度を測定した。すると、血中アイリシン濃度は運動量が多い人ほど高く、気腫化が進んでいる人ほど低いことが分かった。

 COPD患者では肺胞細胞が壊れる細胞死が起こりやすい。研究グループは、人の肺胞上皮細胞を使った実験で、アイリシンを加えると酸化を防ぐタンパク質が増加し、たばこの煙に含まれるオキシダント(酸化物質)による細胞死を抑えられることも突き止めた。

 酸化ストレス状態におちいると、それを解消するために抗酸化作用をもつ遺伝子が体内で活性化される。この活性化には、「Nrf2」とよばれる分子が必要となる。研究グループは、アイリシンによりNrf2の発現が増強されていることも確かめた。

 運動・身体活動には、2型糖尿病などの代謝性疾患の改善効果があることはよく知られているが、呼吸器疾患であるCOPDでも改善効果を期待できることが示された。
野菜や果物をたくさん食べるとCOPDを予防できる
 食事で野菜や果物を十分に摂ると、COPDの発症リスクを抑制できるという研究も発表された。

 研究は、スウェーデンのカロリンスカ研究所などによるもの。研究グループは、2012年まで13年間、45~79歳の男性4万4,000人以上の呼吸器の健康について追跡して調査した。期間中にCOPDと診断されたのは1,918人だった。

 喫煙をしている人では、果物と野菜の摂取量が1日の推奨量の半分未満の場合では、推奨量を満たしている場合に比べ、COPDの発症率が2倍以上に増えていた。

 過去に喫煙がしていたが現在はやめているという人では、COPDの発症率はおよそ2分の1に低下したが、それでも果物と野菜の摂取量が1日の推奨量の半分未満の場合では、推奨量を満たしている場合に比べ、発症率が2倍に増えた。

 これまで喫煙習慣がなく果物と野菜の推奨量を満たしている人では、喫煙習慣があり果物と野菜の推奨量の半分未満しか食べていない人に比べ、COPDの発症リスクが13.5倍に跳ね上がった。たばこをやめたという人でも6倍に上昇した。

 野菜や果物などに含まれる栄養成分が、Nrf2が分解されるのを防ぎ、抗酸化作用をもつ遺伝子の活性化が強く促され、結果として酸化作用によりダメージを受けた細胞を修復できると考えられている。
COPDの患者ほど運動し、野菜を食べることが必要
 COPDを発症した患者は、運動をすると息切れが起こりやすいので、体を動かさないで家に閉じこもりがちになる傾向がある。

 しかし、運動をしないと筋肉が減り、心肺機能がさらに低下して、ますます息切れが強くなってしまう。

 ウォーキングなどを習慣化した場合は、筋肉が増えて骨も強くなり、心肺機能が向上して息切れも軽減するといった効果も得られる。

 「COPDの危険性が高い」と指摘された人は、なるべくウォーキングを習慣化し、栄養バランスの良い食事を摂ることが必要だ。

大阪市立大学 医学研究科 呼吸器内科学
Fruit and vegetable consumption and risk of COPD: a prospective cohort study of men(Thorax 2017年2月22日)
[Terahata]

「健診・検診」に関するニュース

2018年05月25日
2歳までの抗菌薬使用歴が5歳時のアレルギー疾患リスクに関連か―成育医療研究センター調査
2018年05月24日
2018年度東京CDE・CDS受験者用講習会7月より募集開始
2018年05月23日
「子宮頸がん」の抗ウイルス薬の開発に成功 年内に治験を開始する予定
2018年05月23日
「ミドリムシ」からメタボを改善する成分 「痩せるホルモン」を促進
2018年05月23日
「高血圧」の治療で伝わらない説明 コミュニケーションのズレは深刻
2018年05月23日
「遺伝子検査」で糖尿病リスクが分かる 日本人4700人超を調査
2018年05月22日
【報告】産保PCのこれまで活動内容をポスター発表しました(第91回日本産業衛生学会)
2018年05月22日
【書籍プレゼント】『集団分析・職場環境改善版 産業医・産業保健スタッフのための ストレスチェック実務Q&A』を5名様にプレゼント
2018年05月21日
「血糖トレンドの"読み方":AGP」を公開 血糖トレンドの情報ファイル
2018年05月17日
敗血症性AKIにおける急性腎障害マーカー L-FABPの可能性

最新ニュース

2018年05月25日
2歳までの抗菌薬使用歴が5歳時のアレルギー疾患リスクに関連か―成育医療研究センター調査
2018年05月24日
【健やか21】シンポジウム「スマホから離れて、夏休みを楽しもう」
2018年05月24日
2018年度東京CDE・CDS受験者用講習会7月より募集開始
2018年05月23日
「子宮頸がん」の抗ウイルス薬の開発に成功 年内に治験を開始する予定
2018年05月23日
「ミドリムシ」からメタボを改善する成分 「痩せるホルモン」を促進
2018年05月23日
「ヒアリ」の早期発見のためのキットを開発 水際対策での効果に期待
2018年05月23日
「高血圧」の治療で伝わらない説明 コミュニケーションのズレは深刻
2018年05月23日
「遺伝子検査」で糖尿病リスクが分かる 日本人4700人超を調査
2018年05月22日
【報告】産保PCのこれまで活動内容をポスター発表しました(第91回日本産業衛生学会)
2018年05月22日
【書籍プレゼント】『集団分析・職場環境改善版 産業医・産業保健スタッフのための ストレスチェック実務Q&A』を5名様にプレゼント
2018年05月22日
食育の取り組みをエビデンスに基づいて整理、解説―農林水産省がパンフレット作成
2018年05月21日
「血糖トレンドの"読み方":AGP」を公開 血糖トレンドの情報ファイル
2018年05月17日
敗血症性AKIにおける急性腎障害マーカー L-FABPの可能性
2018年05月17日
【健やか21】パンフレット『「食育」ってどんないいことがあるの?』
2018年05月16日
体重コントロールを成功させるシンプルな方法 必要なことは1つだけ
2018年05月16日
SNSの「自殺防止相談」に月に1万件以上 「対策強化月間」に実施
2018年05月16日
早期のアルツハイマー病「軽度認知障害」 日本人対象の研究で解明
2018年05月16日
やせていても糖尿病に? 筋肉が少なく脂肪がたまると高血糖に
2018年05月16日
「睡眠障害」が高血圧・糖尿病に関連 日本で最大規模の研究
2018年05月16日
トマトのリコピンはニンニクやタマネギで調理すると吸収されやすくなる
2018年05月15日
6割強が食中毒予防で「肉は水で洗う」に効果があると誤解-東京都の実態調査
2018年05月11日
【新連載】イラストで魅せる!健康啓発「見せ方」の工夫
2018年05月10日
【健やか21】SNS等に起因する被害児童の現状と対策の掲載(警察庁)
2018年05月08日
元気高齢者を「介護サポーター」に 介護予防の観点から社会参加を促進
2018年05月08日
米国糖尿病学会「立ち上がって運動しようデー」 8つの対策で運動推進
2018年05月08日
「鰹だし」で抗がん剤の副作用を予防 血管を拡張する作用を確認
2018年05月08日
【投票企画】プルーンレシピコンテスト開催中! 栄養を効率よく吸収できる「食べ合わせ」
2018年05月07日
大豆から食べる「大豆ファースト」で食後の血糖値の急上昇を改善
2018年05月07日
従業員のいる飲食店は屋内禁煙に~東京都・受動喫煙防止条例の骨子案
2018年05月02日
新入社員の健康教育や女性の健康啓発に最適 「働く人のための健康づくりシリーズ」指導箋
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 7,145 人(2018年05月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶