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何歳頃から高齢者だと思いますか? 高齢期のはじまりは遅くなっている 「高齢者は75歳以上」と提案

 「何歳頃から高齢者だと思いますか?」という質問に対し、高齢期がはじまると認識される年齢は「74歳から」と答える人が増えていることが分かった。

 平均寿命の延伸と、働いている高齢者が増えていることが影響しているとみられている。

 日本でも、高齢者の半数以上は、「高齢者は70歳以上から」と感じている。「働けるうちはいつまでも働きたい」という人も3割に上る

これまで「老人」とみなされていた人がそう思われなくなってきた

 「何歳頃から高齢者だと思いますか?」という質問に対し、高齢期がはじまると認識される年齢は「74歳から」と答える人が増えているという調査結果を、米国心理学会(APA)が発表した。

 「平均寿命が延伸していることが、多くの人が高齢期のはじまりを遅く感じるようになったことに影響していると考えられます」と、フンボルト大学 ベルリンで教育心理学などを研究しているマルクス ヴェットシュタイン氏は言う。

 「実際に高齢者の健康状態は、いくつかの側面で時間の経過とともに改善しており、これまで老人とみなされていた年齢の人々は、もはや老人とはみなされなくなってきました」としている。

 研究グループは今回、1911年~1974年に生まれたドイツ在住者を対象とした縦断的研究である「ドイツ高齢者調査」の参加者1万4,056人のデータを解析した。さらに研究期間を通じて40~85歳の参加者を調査に追加した。

働いている高齢者が増えていることが背景に

 その結果、「一般的に何歳頃から高齢者だと思いますか?」という質問では、高齢期がはじまると認識される年齢は、年を追うごとに遅くなっていることが示された。

 たとえば、1911年生まれの参加者は65歳だったときに、高齢期のはじまりは平均して71歳からと回答したが、1956年生まれの参加者は65歳だったときに、高齢期は74歳からはじまると回答した。

 「高齢期がはじまると認識する年齢が、年々遅くなっている傾向には、働いている高齢者が増えていることが影響しているとみられます」と、ヴェットシュタイン氏は述べている。

 ドイツでは、高齢者の退職年齢は65歳から徐々に引き上げられ、2031年までに67歳になる予定だ。「多くの高齢者が長く働くのが普通になると、さらに年齢を重ねるまで、ご自分が"高齢者である"と思わなくなるのは当然です」としている。

 ただし、高齢期がはじまる年齢の遅延はこの数十年で加速しているものの、現在は頭打ちになっている傾向も示された。1911~1951年に生まれた人は、高齢期のはじまりは遅くなっていると感じているが、1936~1974年に生まれた人ではほとんど差はない。

 これは、年代によって平均寿命の延伸が鈍化していることが原因である可能性があるとしている。

日本でも3割が「働けるうちはいつまでも仕事をしたい」と回答
高齢者の日常生活に関する意識調査

 日本では、65歳以上を高齢者、そのうち65~74歳を前期高齢者、75歳以上は後期高齢者とされており、高齢者に関する制度の多くは、高齢者は65歳以上と定義され運用されている。

 一方で、定年の引き上げ、定年後の再雇用は進んでおり、60歳代はまだまだ現役世代だ。70歳が古希と言われるのも現実にそぐわなくなっている。

 内閣府の2014年度の「高齢者の日常生活に関する意識調査」でも、「あなたは何歳頃から"高齢者"だと思いますか?」という問いに対して、「70歳以上」(29%)、「75歳以上」(28%)と回答した人が多く、60歳代は1割未満だった。

 さらに「何歳ごろまで収入をともなう仕事をしたいですか?」という問いには、3割の人が「働けるうちはいつまでも」と回答した。

 日本老年学会・日本老年医学会の報告書によると、65~74歳の人の多くは心身の健康が保たれており、活発な社会活動が可能だ。

 日本の65歳以上の人口が総人口に占める割合(高齢化率)は29%。75歳以上を高齢者の新たな定義とすることが提案されている。

People think 'old age' starts later than it used to, study finds (米国心理学会 2024年4月22日)
Postponing old age: Evidence for historical change toward a later perceived onset of old age (Psychology and Aging 2024年4月)
平成26年度 高齢者の日常生活に関する意識調査結果 (内閣府)
令和5年版 高齢社会白書 (内閣府)
[Terahata]
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