ニュース

ブロッコリーで糖尿病を改善? 「スルフォラファン」が血糖値を下げる

 ブロッコリーの新芽(ブロッコリースプラウト)に多く含まれる「スルフォラファン」が、血糖コントロールを改善し、2型糖尿病の治療に利用できるという研究が発表された。
 高脂肪の食事を摂っている人は、キャベツ、白菜などに加えて、ブリッコリースプラウトを多めに摂ると良さそうだ。
ブロッコリーのスルフォラファンが血糖値を下げる
 ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜に含まれる「スルフォラファン」は、注目されている栄養成分だ。体内に取り込まれた化学物質の解毒や抗酸化力を高め、がんを予防する効果があることが知られている。

 スルフォラファンは、カリフラワー、キャベツ、芽キャベツ、ケール、白菜、菜の花などに含まれるが、ブリッコリーのスプラウト(新芽)は特に含有量が多い。

 ブロッコリーのスルフォラファンを濃縮したエキスを摂取した2型糖尿病患者は、グルコースの産生が抑えられ、血糖コントロールが改善することが、スウェーデンのイェーテボリ大学の助教授であるアンデルス ローゼンガレン氏らがルンド大学糖尿病センターと共同で行った研究で明らかになった。

 インスリンは、全身のほぼすべての臓器細胞にブドウ糖をとり込ませ、肝臓や筋肉でブドウ糖からグリコーゲン(貯蔵糖)が合成される(糖新生)のを促進する。さらに、脂肪組織で脂肪が合成されるのを促進したり、脂肪の分解を抑制する。

 一方で、肥満はインスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」が引き起こす。インスリン抵抗性が起こると、血中に十分な量のインスリンがあるにもかかわらず、インスリンが正常に働かなくなり糖利用が低下し、2型糖尿病を発症することが知られている。

ビグアナイド薬の代替となる治療薬を探す研究
 血糖コントロールを改善するために食事療法が必要だ。「食事を中心とする生活スタイルの改善は2型糖尿病の治療で中心的な役割に担います。しかし、多くの患者ではそれだけでは十分な治療効果を得られないので、薬物療法が必要となります」とローゼンガレン氏は言う。

 欧米では「ビグアナイド薬」が2型糖尿病の第一選択薬となっている。ビグアナイド薬は主に肝臓に作用する薬だ。空腹時に肝臓はエネルギーを供給するため、血液中にブドウ糖を放出する。糖尿病のある人では、このブドウ糖の放出が過剰になることがある。これを抑えることで血糖値を下げる効果を得られる。

 この薬は、インスリンの働きを良くするが、インスリン分泌量を増やさないので、体重が増えにくいという利点がある。また、単剤使用では低血糖はほとんど起こらない。

 しかし、2型糖尿病患者の約15%で腎機能が低下しており、ビグアナイド薬を服用すると乳酸アシドーシスという副作用があらわれるおそれがある。この副作用の症状は吐き気や腹痛などの胃腸症状、倦怠感、過呼吸などだ。
スルフォラファンがグルコースの産生を阻害
 ローゼンガレン氏は、ビグアナイド薬の代替となる治療薬を見つけることを目標としたが、臨床研究で共通した認識として、研究室での研究だけでは新しい血糖降下薬を開発するのが難しいことが分かっていた。

 課題となっているのは、新薬の開発に取り組む研究者の多くが単一の遺伝子または個々のタンパク質を研究してきたことだ。しかし、糖尿病はとても複雑な病気であり、遺伝子の大規模なネットワークが関わっており、この病気の全体像をみつけて、体系的にアプローチするのは難しかった。

 研究チームは、42%の脂肪と0.15%のコレステロールを含む「西欧食」で飼育された糖尿病のマウスの肝臓組織を分析し、高血糖を引き起こす1,720の遺伝子を同定した。さらに解析し、これを50個の連鎖した遺伝子ネットワークに絞り込んだ。このネットワークが2型糖尿病を発症する原因であることを突き止めた。

 次に既存の薬物化合物のデータベースに含まれる約2,800種類の化合物を調査し、数学モデリングプログラムによって、遺伝子ネットワークが発現するのを防ぐ化合物を見つけていった。そのランク付けでもっとも上位に上がったのがスルフォラファンだった。

 そこで、細胞の培養皿で試験をして、生体においてスルフォラファンが実際に血糖値を下げることを確かめた。スルフォラファンはグルコースの産生を阻害し、高脂肪や高糖質の餌を与えた動物でも、スルフォラファンが耐糖能を改善することを明らかにした。
スルフォラファンの機能性食品を開発
 研究チームは最後に、スルフォラファンをヒトに摂取してもらう試験を行った。2型糖尿病97人が12週間にわたり、ブロッコリースプラウトの粉末状の濃縮物を1日1回摂取した。用量は、天然のブロッコリー含まれる量の約100倍だった。

 肥満を伴う2型糖尿病患者の多くは空腹時血糖値が高いが、スルフォラファンはプラセボを服用した対照群に比べ、空腹時血糖値を10%低下させ、スルフォラファンが効果的であることが明らかになった。

 「スルフォラファンには糖尿病合併症の発症リスクを下げる十分な効果があることが分かりました。しかも、ビグアナイド薬のように胃腸障害などの副作用を起こしません」と、ローゼンガレン氏は言う。

 ローゼンガレン氏はスルフォラファンを利用した機能性食品の開発の準備も進めている。次の段階の試験で、2型糖尿病を発症するリスクの高い糖尿病予備群を対象に、スルフォラファンの効果を検証したいと考えているという。

Broccoli in focus when new substance against diabetes has been identified(ルンド大学 2017年6月15日)
Sulforaphane reduces hepatic glucose production and improves glucose control in patients with type 2 diabetes(Science Translational Medicine 2017年6月14日)
[Terahata]

「健診・検診」に関するニュース

2018年07月18日
高血圧に特化した「治療アプリ」を開発 介入の難しい生活習慣改善を支援
2018年07月18日
脳卒中は暑い夏に増える 日常生活の注意点と脳卒中予防10ヵ条
2018年07月18日
ワカメに食後血糖値の上昇を抑制する効果 白飯のGI値を低下
2018年07月18日
世界の8.5億人が「腎臓病」 腎臓病の恐ろしさを知らない人が大半
2018年07月18日
高血圧・糖尿病が「認知症」を加速させる 女性の腎臓病はリスクが高い
2018年07月13日
街のみんなで子育てを! そんな想いを伝えてみませんか?
2018年07月13日
過労死等の労災補償状況を公表 -裁量労働制対象者の決定件数も
2018年07月12日
運転中にたばこを吸うと交通事故による死亡リスクが1.5倍超に上昇
2018年07月11日
健診・検診/保健指導実施機関 集計結果と解説(2017年度版)
2018年07月10日
「熱中症」と「エコノミークラス症候群」を予防する方法 被災地で緊急課題に

最新ニュース

2018年07月18日
高血圧に特化した「治療アプリ」を開発 介入の難しい生活習慣改善を支援
2018年07月18日
脳卒中は暑い夏に増える 日常生活の注意点と脳卒中予防10ヵ条
2018年07月18日
ワカメに食後血糖値の上昇を抑制する効果 白飯のGI値を低下
2018年07月18日
世界の8.5億人が「腎臓病」 腎臓病の恐ろしさを知らない人が大半
2018年07月18日
「入浴」に健康増進のプラス効果 週5回以上の入浴が心血管を保護
2018年07月18日
高血圧・糖尿病が「認知症」を加速させる 女性の腎臓病はリスクが高い
2018年07月17日
【新連載】「産業看護職のための地域保健との連携マニュアル」のご紹介
2018年07月17日
農林水産省が官民協働の「Let's!和ごはんプロジェクト」を開始
2018年07月13日
【健やか21】平成30年度 家族や地域の大切さに関する作品コンクール
2018年07月13日
街のみんなで子育てを! そんな想いを伝えてみませんか?
2018年07月13日
過労死等の労災補償状況を公表 -裁量労働制対象者の決定件数も
2018年07月12日
運転中にたばこを吸うと交通事故による死亡リスクが1.5倍超に上昇
2018年07月11日
健診・検診/保健指導実施機関 集計結果と解説(2017年度版)
2018年07月11日
【連載更新】中年期の健康運動の考え方~ありたい体と心を創る~
2018年07月10日
「熱中症」と「エコノミークラス症候群」を予防する方法 被災地で緊急課題に
2018年07月10日
高血圧・メタボは要注意 腎臓学会が「CKD診療ガイドライン2018」を発表
2018年07月10日
多用な暮らしに対応した食育の推進を~平成29年度食育白書
2018年07月10日
ママとパパが一緒に読める、育児学級テキストの決定版「子育ち支援テキスト」(書籍)
2018年07月06日
【健やか21】キャンペーンサイト『SNS被害 気づいて!SNS出会いにひそむワナ』(内閣府)
2018年07月05日
【メンバー募集】保健指導スタッフみんなで"創る"「HRG Labo」始動!
2018年07月04日
日本腎臓病協会が設立「腎臓病の克服を目指す」 成人の8人に1人がCKD
2018年07月04日
厚労省「健康寿命をのばそう!アワード 第7回 <母子保健分野>」の応募受付を開始
2018年07月03日
「ベジファースト」で肥満・メタボ対策 東京・足立区の取り組みが奏功
2018年07月03日
子育て中の親のスマホ依存が子どもに悪影響 スマホを置いて対話を
2018年07月03日
メタボや高血糖の原因は「恒常性維持機構」の異常 新たな治療法を開発
2018年07月01日
「どう防ぐ?どう対応する?職場のパワハラ」へるすあっぷ21 7月号
2018年06月29日
【健やか21】危害・危険情報「ジャンプ式折りたたみ傘でのけが」(東京都)
2018年06月29日
食卓から始めるお母さんと赤ちゃんの健康!「妊娠中に食べたいもの控えたいもの」(指導箋)
2018年06月28日
「こどもとおとなのワクチンサイト」を開設~日本プライマリ・ケア連合学会
2018年06月27日
「グループ運動」は継続するのに効果的 「プラス・テン」で運動促進
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 7,349 人(2018年07月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶