ニュース

新しいことへのチャレンジが脳が活性化 脳を若く保つための5つのヒント

 4月から仕事や環境が変わり、新しい生活が始まるという人が多い。最近の研究で、新しいことにチャレンジすることが、脳を若く保つために効果的だと分かってきた。
 年齢を重ねても脳を若く保っている人には共通する生活スタイルがあるという。どれも簡単に実行できることなので、今日からでも試してみてはいかがだろう。
「脳の老化」には個人差がある
 年齢を重ねるにつれ、多くの人では認知力が低下していく。思考の速度が遅くなり、忘れやすくなり、新しいことを学ぶのが苦手になっていく。

 しかし、この「脳の老化」には個人差があり、歳をとっても思考力があまり低下しない人がいる。中には60歳代、70歳代になっても思考力が鋭く、若い頃とあまり変わらない人もいる。

 齢をとっても認知力が低下しない人は、どのような生活スタイルをもっているのか。その秘訣を探る研究が世界中で行われている。平均寿命が延びて、長生きするのが当たり前になった現在において、加齢に伴う認知力の衰えを少なくする方法を開発することが切実な課題になっている。

 米国のマサチューセッツ総合病院のブラッドフォード ディッカーソン氏らは、年齢は60~80歳と高齢だが、思考力は20~30歳代の若者のレベルを維持している「スーパーエイジャー」に焦点を当てた研究をしている。

 通常は齢をとるとメンタル面での能力が衰えていくが、スーパーエイジャーは脳の萎縮が少なく、記憶力、学習力、注意力、判断力といった脳の重要な働きが衰えていないという。

関連情報
新しいことへのチャレンジが脳の老化を防ぐ
 年齢が進むにつれてまず衰えるのは、情報を迅速に処理したり、環境の変化に対応する能力だ。こうした思考力は20歳代前半をピークに、少しずつ低下していく。それを補うようにして、中年期から高齢期に経験したことが知識として蓄えられ、メンタル面でのスキルとして役立てられるようになる。

 「多くの人は、脳の能力が低下することに恐怖を感じています。しかし、脳の健康を保つために効果的な生活スタイルがあることも明らかになってきました。年齢を重ねても脳が衰えない人には、共通する生活スタイルがあるのです。それは、新しいことにチャレンジすることを恐れないということです」と、ディッカーソン氏は言う。

 「人生には環境が大きく変わり、変化への順応に手間どることがあります。そうしたときには、新しい難しいことにチャレンジすることが、脳の活性化につながります。このことは40~50歳の若い人にもあてはまることと言えます」と、ディッカーソン氏は指摘する。
スーパーエイジャーの脳は活発に活動
 ディッカーソン氏らは、18〜35歳の若者41人と、60〜80歳の高齢者40人を対象に、記憶力をテストし、核磁気共鳴画像法(MRI)で脳をスキャンし検査した。

 16の名詞のリストを1秒間隔で読み上げ、20分後にどれだけの単語を覚えているかをテストした。高齢者は平均で8〜9語しか覚えていなかったが、スーパーエイジャーは14~16語を覚えていた。これは若い参加者のパフォーマンスと同じレベルだ。

 大脳皮質の内側にある白質や灰白質は、大脳皮質の神経と他の神経をつないでいる。知覚や運動、思考、推理、記憶など、人間が生きていくうえで必要な高次機能を司る司令塔の役割を果たしている。このうち白質は脳のさまざまな領域をつなぐ重要な役割を果たしている。

 齢をとると、多くのは場合で脳が少しずつ委縮していく。脳の萎縮は認知力の低下と関連していると考えられている。最近の研究によると、高齢になると1年間に白質を約1%ずつ、灰白質を約0.7%ずつ、それぞれ喪失するという。

 脳スキャンの結果は、記憶力の衰えの少ないスーパーエイジャーでは、白質や灰白質が活発に活動していることが分かった。
脳を若々しく保つための5つのヒント
 米国のマサチューセッツ総合病院や英国のヘリオット ワット大学の研究で、スーパーエイジャーには、共通する生活スタイルがあることが浮き彫りになった。

● 脳を若々しく保つための5つのヒント

1. ウォーキングなどの運動を習慣として続ける

 運動を習慣として続けると、脳の記憶を司る領域の収縮を防ぐのに役立つことが、多くの研究で示されている。最近の研究では、ウォーキングなどの運動を6ヵ月続けたグループは、脳の記憶領域を最大で2%拡張したが、坐ったまま過ごしたグループは、逆に1%収縮したと報告されている。

 運動は脳だけでなく、心臓にも良い。1時間のウォーキングを毎日続けた人では、脳梗塞で死亡するリスクが3割近く減少し、心筋梗塞を含む心血管疾患で死亡するリスクが2割近く減少するという結果が出ている。

 18歳から64歳の人は、「30分の中強度以上のウォーキングを週5回」、「汗をかくような強度の運動を週に60分」行うことが推奨されている。

2. 健康的な食事は脳にも良い

 体に良い食事は脳の健康にも良い。健康的な食事は脳のパフォーマンスを引き上げる。

 脳の栄養源である糖質には注意が必要で、加工されて精製された糖質を大量に摂ると、食後に血糖値が上昇し血糖変動が大きくなり、脳にも良くない。未精製の糖質であれば、ゆっくりとした安定的な上昇になるため、一定のエネルギーが維持された状態が続き、脳にもやさしい。

 また、サンマ・ブリ・イワシなどの青魚、ナッツ類などに含まれる多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、脳の神経細胞に取り込まれ、脂肪の流れを良くし、余分なコレステロールを取り除く作用をする。PUFAには過剰な糖質が脳にもたらたす悪影響を修復する働きもあるとみられている。

 逆に肉の動物性脂肪には、飽和脂肪酸が多く含まれていて、これが悪玉のLDLコレステロールを増やしてしまう。飽和脂肪酸が特に多いのは、牛や豚のバラ肉、鶏肉の皮、加工肉などだ。

 穀物や豆など、植物性のタンパク質も十分に摂りたい。植物性の食品は動物性食品に比べて、神経細胞の生成に必要なビタミンやミネラルが多く、脳の働きの改善につながる。

3. 社会的な活動をしネットワークを開拓する

 社会的な活動は脳の働きを活性化する。そうした活動を続けている人では、認知機能の低下を抑えられることが多くの研究で確かめられている。逆に、社会的に孤立していると、脳の働きが緩慢になり、やる気がなくなる、怒りやすくなるなどの障害が出やすくなる。

 昔の知り合いと連絡をとる、新しい友達を作る、ソーシャル グループに参加しネットワークを開拓する、地域のプロジェクトに参加するなど、積極的に交流しよう。

 チームで行うスポーツや競技スポーツへの参加は、運動不足の解消と新しい人脈作りにつながり一石二鳥だ。

4. 知的な活動をする

 知的な活動が記憶力と認知力を引き上げる。新しいことに挑戦したり、新しいことを学ぶと、脳内の神経ネットワークが増える。知的な活動を活発にしている高齢者では、認知能力の衰えが少ないことが知られている。

 以前に音楽を演奏していたのなら新しい楽器に挑戦してみる、インターネットで知識を増やす、アートを制作してみる、語学学習を始めるなど、脳を活性化する活動に取り組むと、認知力を向上できる。

 古いスキルを磨くのも脳の活性化につながる。学生時代に習った語学や数学など再学習しブラッシュアップするのは良い頭の運動になる。新しいスキルを覚えるのであれば、それが難しいものであるほど、脳を活性化できる。

5. リラックスする時間を作る

 ストレスは体と心のさまざまな病気や症状に影響を与える。ストレスが関係して病気が引き起こされているのなら、ストレスにどう対処するかが治療としても大切になる。

 糖尿病、高血圧、心臓病、胃痛、下痢・便秘、腰痛、更年期障害など、さまざまな病気がストレスの影響を受けている。大きなストレスがかかることで脳の機能に失調が起こることもある。うつ病や不安障害といった心の病気にも、さまざまなストレスが関係している。

 リラックスする時間を作り、疲れたこころと身体を十分に休めることが重要だ。症状があらわれて、医学的な治療が必要な場合には、医師による診察の後に、時間をかけて必要に応じた治療を受けることが大事だ。

5 Ways to Maintain a Youthful Brain(マサチューセッツ総合病院 2017年10月17日)
When it comes to keeping our brains young, we need to rise to new challenges(ヘリオット ワット大学 2017年9月4日)
Youthful Brains in Older Adults: Preserved Neuroanatomy in the Default Mode and Salience Networks Contributes to Youthful Memory in Superaging(Journal of Neuroscience 2016年9月14日)
[Terahata]

「健診・検診」に関するニュース

2018年06月22日
「葉酸」は妊娠"前"からの摂取が重要です!「妊活中から葉酸をとろう」(指導箋)
2018年06月20日
「老年医学推進5ヵ年計画」を学会が発表 人生100年時代の高齢者医療
2018年06月20日
低脂肪の食事で女性の「乳がん」リスクが低下 死亡リスクも低下
2018年06月20日
アブラナ科野菜は「台所のドクター」 心疾患、脳卒中、がんのリスクを低下
2018年06月20日
女性に多い「下肢静脈瘤」のリスク 認知度が低く受診放置が多い
2018年06月15日
女性の「やせ」をテーマにした教材が登場!「気にしてますか?やせすぎ注意」(指導箋)
2018年06月13日
「早期乳がん」の70%は化学療法は不必要 乳がん治療に明るい選択肢
2018年06月13日
「女性特有の遺伝子」を発見 バストの大きさ、月経痛の重さに関連
2018年06月13日
水虫に対策するための8つの方法 高齢者の「白癬菌」は要介護のリスクに
2018年06月07日
対談「女性と生活習慣病予防」一無、二少、三多で健康長寿

最新ニュース

2018年06月22日
「葉酸」は妊娠"前"からの摂取が重要です!「妊活中から葉酸をとろう」(指導箋)
2018年06月22日
【健やか21】母子保健指導者養成研修会 受講申込 受付開始
2018年06月20日
「老年医学推進5ヵ年計画」を学会が発表 人生100年時代の高齢者医療
2018年06月20日
低脂肪の食事で女性の「乳がん」リスクが低下 死亡リスクも低下
2018年06月20日
アブラナ科野菜は「台所のドクター」 心疾患、脳卒中、がんのリスクを低下
2018年06月20日
メタボや肥満の人が「睡眠不足」を感じたら放置してはいけない理由
2018年06月20日
女性に多い「下肢静脈瘤」のリスク 認知度が低く受診放置が多い
2018年06月20日
梅雨に多い「梅雨だる」を6割が実感 症状を深刻化させないポイント
2018年06月20日
6月20日から「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動」を全国各地で実施
2018年06月15日
女性の「やせ」をテーマにした教材が登場!「気にしてますか?やせすぎ注意」(指導箋)
2018年06月15日
【健やか21】イクメン企業・イクボスアワード2018募集中!
2018年06月13日
「早期乳がん」の70%は化学療法は不必要 乳がん治療に明るい選択肢
2018年06月13日
「女性特有の遺伝子」を発見 バストの大きさ、月経痛の重さに関連
2018年06月13日
日本の給食が「肥満」を減らす 給食実施率の増加で肥満が低下
2018年06月13日
水虫に対策するための8つの方法 高齢者の「白癬菌」は要介護のリスクに
2018年06月13日
糖尿病学会でウォークイベントを開催 特別な運動でなくとも効果的
2018年06月12日
厚労省が禁煙支援マニュアルを増補改訂―社会情勢の変化に合わせて内容をアップデート
2018年06月08日
食育指導で使えるイラスト提供します(健やか親子21食育プロジェクト)
2018年06月08日
【連載更新】成人期の健康運動の考え方~体と心を感じる習慣づくり~
2018年06月07日
対談「女性と生活習慣病予防」一無、二少、三多で健康長寿
2018年06月06日
「笑い」が糖尿病やメタボ、がんを改善 よく笑うと健康効果を得られる
2018年06月06日
「高齢者」に医薬品を処方するときには注意が必要 厚労省が指針を通知
2018年06月06日
「高血圧」の治療がインフルエンザ対策に ウイルスの感染を防ぐ効果が
2018年06月06日
「子どもの貧困」が発育異常にも影響 子どもへの社会的な支援が必要
2018年06月06日
「歯周病」に対策 3ヵ月のプロジェクトでタクシー乗務員を意識改革
2018年06月05日
【連載更新】「今日は〇〇の日」「○○週間」を活用していますか?
2018年06月04日
【応募受付中】「でかメモ」アンバサダー募集!
2018年06月04日
健康スコアリングの詳細設計に関する報告書を公表―日本健康会議
2018年06月01日
プルーン食べ合わせレシピコンテスト実施中!骨の健康(プルーン × カルシウム) 
2018年06月01日
「健康・医療・介護の新潮流」へるすあっぷ21 6月号
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 7,257 人(2018年06月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶