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生薬に使われる和製ハーブ「クロモジ」に風邪やインフルエンザの予防効果 養命酒と愛媛大学の共同研究

 「クロモジエキス」を配合した飴に、風邪やインフルエンザの予防効果がある――。愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センターと養命酒製造の共同研究グループが発表した。
クロモジの抗ウイルス作用を検証
 「クロモジ」(黒文字、烏樟[うしょう])は、日本の産地に自生するクスノキ科の落葉低木。クロモジから得られる精油はリラックス作用が期待されるリナロールを主成分とし、良い香りがあることから、古くから楊枝や香木などに使用されてきた。

 また、耐久性もあるため、桂離宮の垣根や天皇の即位式後の大嘗祭でも使用されている。

 クロモジは、近年では加工抽出される精油やアロマウォーターとして活用されている。近年ではさまざまな機能性研究がなされており、今回は抗ウイルス作用に着目した研究が行われた。
クロモジエキスがウイルスを不活化し増殖を抑制
 研究グループは、クロモジを煮出して濃縮、乾燥させて作られるエキス剤を使用し、二重盲検試験を実施した。

 愛媛大学医学部附属病院に勤務する看護師ら男女134人を対象に、二重盲検試験を実施。1日3回、12週間を試験期間とし、クロモジエキスを67mg配合した飴を摂取したグループと、プラセボ飴を摂取したグループで、インフルエンザ罹患の有無、風邪症状(発熱、喉症状、鼻症状の有無および有症日数)の調査結果を比較した。

 その結果、クロモジ摂取群の風邪症状の有症期間は、プラセボ摂取群に比べ有意に少なく、症状別では喉症状および鼻症状が少なかった。また、風邪症状に似た花粉症症状の影響を受ける前の75日までの集計では有症期間の差はより顕著だった。

 これまでの基礎研究により、クロモジエキスには、(1)ウイルスの不活化作用と、(2)感染後の増殖を抑える作用があることが報告されており、その作用はウイルスの特性に依らない「非特異的」であることが分かっている。
手洗い・マスクに加える新たな予防対策
 研究成果は、2019年9月に開催された日本防菌防黴学会第46回年次大会で発表された。  研究を主導した愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センターの伊賀瀬道也センター長は次のように述べている。

 「今回の解析により、インフルエンザのみならず風邪症状についても有症期間が短くなっていたことが新たに判明しました。風邪に感染してしまった後でも、クロモジエキス配合飴を摂取することでウイルスの増殖が抑えられ、予後が良好となったのではないかと考えられます」。

 今年9月には、養命酒と信州大学農学部の共同研究グループが、クロモジエキスのインフルエンザウイルス増殖抑制効果の長時間持続に関する可能性を示唆する研究を発表している。

 風邪はインフルエンザ同様、主にのどなどの上気道で感染するウイルス性の感染症だ。今回の試験では、クロモジエキスを飴に配合して摂取してもらったが、飴をなめている数分間、クロモジのエキス成分がのどを通り過ぎながら作用することが、結果に寄与したと考えられるという。

 風邪は毎年多くの人が罹患するが、ワクチンや抗ウイルス薬など、直接的に予防できる手段がない。ふだんの手洗い・マスクなど基本的な予防対策に加え、手軽に始められるのど飴習慣をプラスしてみてはいかがだろうか。

クロモジ研究会(養命酒製造)
和製ハーブ「クロモジ」エキス配合飴の摂取により風邪症状が低減(愛媛大学 2019年11月11日)
和製ハーブ「クロモジ」エキスの、インフルエンザウイルス増殖抑制効果は、長時間持続する可能性があることを解明(信州大学 2019年9月20日)
[Terahata]
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