ニュース
【新型コロナ】日本のワクチン開発はここまで進んでいる 日常での感染防止をしっかり続ける必要が
2020年12月18日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンの開発が世界各国で進められている。
英国では2020年12月2日に、米国では12月11日に、開発した新型コロナのワクチンの緊急使用の許可がそれぞれ出され、接種が開始された。
日本でも臨床試験が最終段階に入っているワクチンがある。
一方で、日本医師会は、国内のCOVID-19の感染者増加によって、「医療従事者の心身の疲弊もピークに達している」と強調。
あらためて国民に対して、日常生活での基本的な感染防止対策の励行を呼びかけている。
英国では2020年12月2日に、米国では12月11日に、開発した新型コロナのワクチンの緊急使用の許可がそれぞれ出され、接種が開始された。
日本でも臨床試験が最終段階に入っているワクチンがある。
一方で、日本医師会は、国内のCOVID-19の感染者増加によって、「医療従事者の心身の疲弊もピークに達している」と強調。
あらためて国民に対して、日常生活での基本的な感染防止対策の励行を呼びかけている。
日本でmRNAワクチンの臨床試験が進行中
ファイザーとビオンテックの開発中の新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンについて、同社は2020年10月に日本での第1/2相試験を開始したと発表。20~85歳の日本人160例を対象に接種を行っている。
このワクチンについて、世界で4万人以上を対象に国際共同第2/3相試験を実施しており、95%の有効率があることを確認している。日本での第1/2相試験の主要なデータは2021年2月までにまとまる見込みだが、同社は12月18日に厚生労働省に承認を申請した。
臨床開発が成功し、承認が得られた場合、1億2,000万回(6,000人)分のCOVID-19ワクチンを2021年上半期に日本に供給することを日本政府と合意している。
両社の開発しているmRNAワクチンは、マイナス70度という超低温での管理(コールドチェーン)が必要で、流通面で課題がある。
両社はドライアイスを充填することで、推奨される保存条件を維持できる温度管理付きの保冷箱を開発している。日本では-75°C±15°Cでの保存を計画しているが、最終的には規制当局の審査を経て決定するという。
関連情報
ウイルスベクターワクチンの臨床試験も進行中
アストラゼネカが英オックスフォード大学と共同で開発している新型コロナウイルスワクチンについても、日本で臨床試験が実施されている。
このワクチンは、複製できないように処理をした弱毒化されたチンパンジー由来の風邪のアデノウイルスに、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の遺伝物質を含んだもの。ワクチン接種後、表面スパイクタンパク質が産生され、免疫系を刺激して、後で体が感染した場合に新型コロナウイルスを攻撃する。
同社は、国内で承認が得られた際にできるだけ早く接種を開始できるよう、生産能力の増強に取り組んでいるという。12月には、日本での1億2,000万回(6,000人)分のワクチンの供給について、日本政府と最終合意を締結した。
日本でもワクチンを独自に開発 試験を開始
開発したワクチンを国内に安定供給するためには、日本で開発・製造されたワクチンが有利だ。日本でも、新型コロナウイルスワクチンの開発が独自に進められている。
塩野義製薬は、新型コロナウイルスに対する予防ワクチンについて、国内で200例以上の日本人成人を対象とした第1/2相臨床試験を開始し、12月16日に初回投与を行ったと発表。
国立感染症研究所などと開発を進めている、ウイルスの遺伝子情報から目的とする抗原タンパクを発現・精製後に投与する遺伝子組換えタンパクワクチンで、昆虫細胞などを用いたタンパク発現技術(BEVS)により開発。速報データは、2021年2月末より取得できる見込み。
アンジェスも、大阪大学などと開発を進めている新型コロナウイルスに対するワクチンの第2/3相臨床試験を開始しており、12月8日に初回投与を開始した。関西および関東エリアの8施設で500症例に接種を行い、ワクチンの用法および用量における安全性と免疫原性を評価し、2021年3月頃に完了する見込み。
これは、DNAを投与するDNAワクチンで、体中でDNAからmRNAを介して、コロナウイルスのタンパク質(抗原)が合成され、免疫が誘導される仕組み。
日本には、東京大学医科学研究所と第一三共が開発を進めている、メッセンジャーRNAを投与するワクチンもある。体中でコロナウイルスのタンパク質(抗原)が合成され、免疫が誘導される仕組み。2021年3月頃の臨床試験開始に向け準備が進められている。
日常生活での基本的な感染防止対策を徹底
中川俊男会長

旅行をするときは"今でなければならないのか"を考えて
また、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード会議で、20~50代の人が県をまたいで移動し、他地域へ感染を広げている例が多いと報告されたのを受け、誰もが感染している可能性があることをふまえ、「"うつらない"だけでなく"うつさない"ことも大切だという初心に立ち返るべきです」とした。
さらに、「年末年始などに旅行などを計画されている方は、それが今でなければならないのか、もう一度考えていただきたい。仕事などで移動される方や、とくに、若い世代の方々には、移動先での行動や所作、立ち振る舞いにも、十分気をつけていただきたい」と呼びかけた。
感染者数が増えるか、減少するか、今が正念場
最強の感染拡大防止策は、1人ひとりの日常の慎重な所作と行動であるとして、▼「人との距離」「手洗い」「マスク着用」などの基本的な感染防止対策と、▼感染リスクが高まる場面の回避、▼換気などの徹底をあらためて求めている。
「このまま感染者数が増え続けるのか、減少に転じるのかは、この師走が正念場です。日本国民の公衆衛生意識の高さ、感染予防意識の高さは、必ず収束へ反転するきっかけとなり、最終的な終息への突破口につながると信じています」と述べた。
さらに、感染者への誹謗中傷や風評被害にも言及し、「新型コロナウイルス感染症が日本に上陸し、感染が広がったことについて、感染者本人や家族には何の落ち度もありません。感染者への非難や中傷はしないでいただきたい」と理解を求めた。



出典:厚生労働省、2020年
新型コロナウイルス感染症について(厚生労働省)新型コロナウイルス感染症のワクチンについて(厚生労働省) Safety and efficacy of the ChAdOx1 nCoV-19 vaccine (AZD1222) against SARS-CoV-2: an interim analysis of four randomised controlled trials in Brazil, South Africa, and the UK(Lancet 2020年12月8日)
Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine(New England Journal of Medicine 2020年12月10日)
Safety and Immunogenicity of SARS-CoV-2 mRNA-1273 Vaccine in Older Adults2(New England Journal of Medicine 2020年12月17日) 東京大学医科学研究所 ウイルス感染分野 新型コロナウイルス感染症の感染状況を受けて(日本医師会 定例記者会見 12月16日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2021 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「新型コロナ」に関するニュース
- 2021年01月26日
- スマホの運動アプリで1日の歩数を2000歩増やせる 新型コロナをきっかけに、運動への関心は世界中で拡大
- 2021年01月22日
- 【健やか21】日本医学会連合が新型コロナ「重症化リスクをお持ちの皆様へ」注意喚起
- 2021年01月19日
- 【新型コロナ】「自然」の豊かな環境でストレスを解消 心の元気を保つために「行動の活性化」を
- 2021年01月18日
- 【新型コロナ】ワクチンの利益とリスク 正しく評価し、接種の判断を 日本感染症学会が提言「ゼロリスクはありえない」
- 2021年01月15日
- 【新型コロナ】医療現場での感染リスクと予防効果を解明 医療者への感染を防ぐために 健診・保健指導にも応用
- 2021年01月08日
- 【新型コロナ】日本でワクチン接種はいつ開始される? COVID-19ワクチンは本当に安全?
- 2021年01月05日
- 【新型コロナ】「新宿歌舞伎町のホストクラブで感染拡大」は本当か? 従業員対象の実態調査 国立感染研が中間報告
- 2021年01月05日
- 【新型コロナ】高齢で基礎疾患があると死亡リスクは上昇 80歳以上で基礎疾患のある患者では致命率は20%超 国立感染症研
- 2020年12月28日
- 【新型コロナ】米を主食とした「日本型食生活」で感染症に負けない 食育健康サミットをWeb開催
- 2020年12月24日
- 【新型コロナ】年末年始は「真剣勝負の3週間」 みんなで危機感を共有しコロナ収束の突破口に
最新ニュース
- 2021年01月26日
- 【新型コロナ】接触確認アプリ「COCOA」がコロナ禍の心理的ストレスを減らす? 企業従業員の心の健康をどう守るか
- 2021年01月26日
- スマホの運動アプリで1日の歩数を2000歩増やせる 新型コロナをきっかけに、運動への関心は世界中で拡大
- 2021年01月26日
- 「脂肪肝」が手遅れになる前にスマホで早期発見 病気と認識してきちんと対策 「脂肪肝プロジェクト」を始動
- 2021年01月26日
- 人工知能(AI)を活用して大腸がんを高精度に発見 医師とAIが一体となり、がん検査の見逃しをなくす
- 2021年01月25日
- 「内臓脂肪」と「腸内細菌」の関係を解明 肥満の人で足りない菌とは? 腸内細菌のバランスが肥満やメタボに影響
~保健指導・健康事業用 教材~
-
アイテム数は3,000以上! 保健指導マーケットは、健診・保健指導に役立つ教材・備品などを取り揃えたオンラインストアです。 保健指導マーケットへ