ニュース

コロナ過をきっかけに家族のつながりが深まった 家族と過ごす夕食の時間の質が向上 悪いことばかりではなかった

 新型コロナのパンデミックにともなうロックダウンをきっかけに、多くの人が自宅で食事をするようになり、家族と過ごす夕食の時間の質が向上したという調査結果が発表された。

 「新型コロナの流行は悪いことばかりをもたらしたわけでなく、家族と食卓を囲む頻度が増えたことが、家族の関係に継続的なプラスの影響を与えた可能性があります」と、研究者は指摘している。

コロナ禍をきっかけに家族と過ごす夕食の質が向上

 新型コロナが流行したときに、多くの人が生活の行動や意識の変化を経験した。しかし、悪いことばかりがあったわけではない。

 新型コロナのパンデミックにともなうロックダウンをきっかけに、多くの人が自宅で食事をするようになった。

 その結果、家族と過ごす夕食の時間の質が向上するというベネフィットがもたらされたという調査結果を、米国心理学会(APA)が発表した。

 パンデミック中に、家族がいっしょに食事をする頻度が増えたという人は、より前向きな交流をして、ニュースや学校や仕事などでの出来事などの情報を家族と共有するようになった。

 遠く離れた家族や親戚などとつながるために、ビデオ会議などのテクノロジーを活用していることも分かった。

家族とのポジティブな交流が大幅に増加

 「家族での夕食に関するこれまでの研究の多くは、子供や若者に与えるメリットを予測する主な因子として、食事の頻度に焦点をあててきました」と、マサチューセッツ総合病院で家族医療を研究しているアン フィシェル氏は言う。

 「今回の調査で、家族といっしょに食べる食事の影響を理解するために、食事の頻度と質の両方を調べることが重要であることが示されました」としている。

 研究グループは、2021年に米国各地で、民族・社会経済的に多様な517人の親を対象に実施された調査のデータを解析した。その目的は、新型コロナのパンデミック中の家族の夕食の頻度と質の変化を調べることだった。

 その結果、回答者の60%以上が、「家族といっしょに夕食をとる頻度が、パンデミック前に比べて増えた」と回答した。また、家族との食事中に、感謝の気持ちをあらわしたり、笑ったり、つながりを感じるなど、ポジティブな交流が大幅に増加していた。

人とのつながりをより強く感じるようになった人が6割

 「調査に回答した人の56%は夕食時にその日の出来事について話すことが増えたと答え、60%は家族としてのアイデンティティについて話すことが増えたと答えました」と、フィシェル氏は言う。

 「60%の人は感謝の気持ちをあらわすことが増え、67%はいっしょに笑うことが増えたと答えました。59%の人は食卓を囲んで人とのつながりをより強く感じるようになりました」としている。

 こうした肯定的な関係性の変化は、所得水準、教育、年齢、性別、人種を問わず共通してみられた。

 新型コロナのパンデミックにより、家族がビデオ会議を利用して、遠く離れた親戚などと食事や時事問題などについて話しあうようになり、つながりを深め、より大きな家族の一員としての帰属意識を強めたという人もいる。

 パンデミック中に夕食時に、インターネットのテクノロジーを利用し、オンラインでの交流を増やしたという親のほとんどは、パンデミックが収束した後もこの習慣を続けていると回答した。

 夕食時の会話に、外の世界のニュースなどの話題を取り入れる家族が増えたことも分かった。これは、子供たちが感じている疑問や不安について、両親と話しあうための安全な場を提供している可能性があるしている。

新型コロナ時代の家庭のありかたに大きく影響

 「今回の研究は全体的に、新型コロナの流行は悪いことばかりをもたらしたわけでなく、パンデミック中に家族と食卓を囲む頻度が増えたことが、家族の関係に継続的なプラスの影響を与えた可能性が示唆されました」と、フィシェル氏は指摘している。

 「パンデミックは、私たちの生活を多くの面で変えましたが、良い方向に変わったものもいくつかあります。親が意図的に子供といっしょに食事をする時間を増やしたわけではありませんが、家族とともに夕食をとる頻度が増えたことは、新型コロナ時代の家庭のありかたに大きく影響しています」としている。

 調査結果はまた、テクノロジーを利用して親戚などとつながり、夕食の会話に時事問題を盛り込むことの潜在的なベネフィットも浮き彫りにしている。

 「物理的にその場にいない人々とつながるために、遠隔通信のテクノロジーを継続的に利用することで、家族のきずなを深める機会が継続的に生まれ、子供たちはより大きな集団に属しているという意識を抱くようになります。これは、子供たちの幸福を守るために効果的である可能性があります」と、フィシェル氏は述べている。

How COVID-19 transformed family dinners (米国心理学会 2024年10月31日)
How COVID-19 expanded the family dinner table: Greater frequency linked with improved quality and new ways of eating together (Couple and Family Psychology: Research and Practice 2024年10月)
[Terahata]
side_メルマガバナー

「特定保健指導」に関するニュース

2024年11月18日
インフルエンザ流行に備えて 「予防のための最善の方法はワクチン接種を受けること」と専門家は指摘
2024年11月18日
犬の散歩や家事は運動になる? 体を活発に動かすと脳が4歳若返る 心房細動のリスクも減少
2024年11月18日
コロナ過をきっかけに家族のつながりが深まった 家族と過ごす夕食の時間の質が向上 悪いことばかりではなかった
2024年11月18日
【新型コロナ】ワクチン接種を受けた人は罹患後症状の頻度が約半分に減少 ワクチンの効果は高い
2024年11月11日
脳の健康を守る8つの生活習慣 脳卒中・認知症・うつ病などが減少 良い睡眠をとることも大切
2024年11月11日
「加熱式タバコ」もやはり危険 従来のタバコと同様に健康リスクが がん細胞の増殖を促進 細胞死も
2024年11月11日
9割が歩きスマホによる危険を経験・目撃 歩きスマホはなぜ危険? メカニズムを解明
2024年11月05日
職場でのストレス反応が高い職員ほど体重増加のリスクが高い 職場環境を改善して肥満に対策 1万人強を調査
2024年11月05日
高断熱で暖かい家での暮らしにより医療費を低減 暖かい家は高血圧・循環器疾患の予防や健康寿命の延伸につながる 費用対効果も高い
2024年11月05日
階段の上り下りも立派な運動に 心筋梗塞や脳卒中のリスクが減少 短時間の活発な運動でメンタルヘルスも高められる
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶