ニュース
肥満は新型コロナの感染リスクを高める 運動を続けている人の体脂肪は健康 適正体重を維持することが大切
2024年09月24日

肥満は新型コロナの感染の重要な危険因子であることが明らかになった。
肥満は、新型コロナの重症化リスクを高めるだけでなく、ウイルスに感染するリスクも高めることが示された。
ウォーキングや筋トレなどの運動を長期にわたり続けている人は、腹部にたまった脂肪が健康であることも分かった。
「脂肪の不健康な蓄積は、肥満や糖尿病などのリスクを高めます。さらには、肝臓に余分な脂肪が蓄積される非アルコール性脂肪性肝疾患への関心も高まっています」と、研究者は述べている。
肥満は新型コロナの感染リスクを高める 重症化リスクも上昇
肥満は新型コロナの感染の重要な危険因子であることが、米マサチューセッツ総合病院(MGH)の研究で明らかになった。 肥満のある人は、ない人に比べて、新型コロナが陽性になる可能性が34%高いという。肥満は、ウイルス感染症の重症化を引き起こす危険因子であるだけでなく、感染リスクを高める可能性もあるとしている。 研究グループは今回、米国人の電子医療記録(EHR)データを分析した。そのなかには、2020~2022年に新型コロナの検査を受けた68万7,813人のデータや、感染者と接触したり感染の疑いがあると報告された7万2,000人以上のデータが含まれていた。健康的な体重を維持することが重要
「肥満が新型コロナの重症化リスクを高めることは分かっていましたが、それだけでなくウイルスに感染するリスクも高めることが示されました」と、ハーバード大学ブリガム アンド ウィメンズ病院の心臓血管学研究所の相川眞範所長はMass General Brighamが公表したリリースで述べている。 「健康的な体重を維持することが、健康全般にとって非常に重要であることを示した報告は増えています」としている。 体重などのリスクの軽減に関係なく、ワクチン接種を受けることが、新型コロナの発症と重篤な転帰を防ぐもっとも効果的で安全な方法だとしている。肥満のある人もウォーキングなどの運動を続けると腹部脂肪が健康に
運動を長期にわたり続けている人は体脂肪が改善

脂肪の不健康な蓄積は生活習慣病のリスクを高める
肥満のタイプは、「内臓脂肪型肥満」と「皮下脂肪型肥満」に分けられる。内臓脂肪型の人は、食べすぎや運動不足が原因で体重が増えると、余分な脂肪は腹腔内にたまるほか(内臓脂肪)、肝臓や心臓などの臓器にも蓄積される。 一方、皮下脂肪型の人は、腰まわりや太ももなど下半身を中心に皮下脂肪がたまっているが、内臓脂肪は少ない。そうした人は高血圧、脂質異常症、2型糖尿病などを発症するリスクは比較的低いとみられている。 研究では運動している人は、皮下脂肪が多く、血管は健康で、エネルギーを作りだすミトコンドリアや有益なタンパク質が多く、代謝を妨げるコラーゲンの種類が少なく、炎症を引き起こす細胞も少ない傾向がみられた。 「脂肪の不健康な蓄積は、肥満や糖尿病などのリスクを高めます。さらには、肝臓に余分な脂肪が蓄積される非アルコール性脂肪性肝疾患への関心も高まっています」と、ホロウィッツ教授は言う。 「この疾患は太りすぎや肥満の人に多くみられ、肝硬変やがんなどの病気のリスクを高めます」。 「運動に取り組むことで、脂肪組織の量は変わらない場合でも、その質に好ましい変化があらわれると考えられます。今後の研究で、運動をする人としない人の脂肪組織の機能に違いがあるかや、脂肪組織の変化にもっと良い反応を示す運動の種類や強度などについて調査する予定です」としている。Obesity and age are transmission risk factors for SARS-CoV-2 infection among exposed individuals (PNAS Nexus 2024年8月27日)
Long-term exercisers have 'healthier' belly fat (ミシガン大学 2024年9月10日)
Years of endurance exercise training remodel abdominal subcutaneous adipose tissue in adults with overweight or obesity (Nature Metabolism 2024年9月10日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「特定保健指導」に関するニュース
- 2025年06月10日
- 【アプリ活用で運動不足を解消】1日の歩数を増やすのに効果的 大阪府健康アプリの効果を8万人超で検証
- 2025年06月09日
- 【睡眠改善の最新情報】大人も子供も睡眠不足 スマホと専用アプリで睡眠を改善 良い睡眠をとるためのポイントは?
- 2025年06月09日
- 健康状態が良好で職場で働きがいがあると仕事のパフォーマンスが向上 労働者の健康を良好に維持する取り組みが必要
- 2025年06月09日
- ヨガは肥満・メタボのある人の体重管理に役立つ ヨガは暑い夏にも涼しい部屋でできる ひざの痛みも軽減
- 2025年06月05日
- 【専門職向けアンケート】飲酒量低減・減酒に向けた酒類メーカーの取り組みについての意識調査(第2回)
- 2025年06月02日
- 【熱中症予防の最新情報】職場の熱中症対策に取り組む企業が増加 全国の熱中症搬送者数を予測するサイトを公開
- 2025年06月02日
- 【勤労者の長期病休を調査】長期病休の年齢にともなう変化は男女で異なる 産業保健では性差や年齢差を考慮した支援が必要
- 2025年06月02日
- 女性の月経不順リスクに職場の心身ストレスが影響 ストレスチェック活用により女性の健康を支援
- 2025年06月02日
- 自然とのふれあいがメンタルヘルスを改善 森が人間の健康とウェルビーイングを高める
- 2025年05月30日
- 都民の健康意識は高まるも特定健診の受診率は66% 「都民の健康と医療に関する実態と意識」調査