ニュース
乳がんのマンモグラフィ検診 女性の半数は偽陽性を10年間で1回は経験 実はほとんどは陰性
2022年07月11日

すべての女性のうち半数は10年間で、乳がんの3Dマンモグラフィ検診を受けた後で、がんではないのにがん疑いと診断される偽陽性を1回は経験していることが、米カリフォルニア大学の調査で明らかになった。
ただし、2Dマンモグラフィ検診を受けた女性の12%は、陽性と判定され、より多くの精密検査を求められるものの、最終的に乳がんと診断される女性は、そのうちの4.4%、全体では0.5%と少ないという。
「乳がんを早期に発見するためには、異常な可能性のある所見を注意深く検査する必要があります。そのため、追加の画像検査や生検が必要と言われても、女性はそれほど心配する必要はありません。これらの大部分は、良性の結果になることが示されています」と、研究者は述べている。
マンモグラフィによる乳がんの早期発見は重要な戦略
すべての女性のうち半数は10年間で、乳がんの3Dマンモグラフィ検診を受けた後で、がんではないのにがん疑いと診断される偽陽性を1回は経験していることが、米カリフォルニア大学の調査で明らかになった。 偽陽性は、実際にはがんではないのに、がんの疑いがあると診断されること。陽性と判定されると、より多くの乳がんの精密検査が求められる。 3Dマンモグラフィによる乳がん検診を繰り返し受けると、標準的な2Dマンモグラフィにくらべ、偽陽性の結果が出る可能性がわずかに低下することも分かった。 3Dマンモグラフィは、1回の撮影で連続的にX線を照射し、たくさんの断面の画像を作成するレントゲン検査。通常の2Dに比べ、より多くの乳がんを発見できるとされている。 また、2年ごとにマンモグラフィ検診を受けた女性や、低濃度乳房の女性では、偽陽性は少なかった。さらに、高齢の女性も、偽陽性の結果がもたらされる可能性は低かった。 「女性1人ひとりが、検査機関や医師らとよく話し合うことが重要です。検査の間隔と方法については、女性が望んでいることと、がん検診にともなうリスクについても配慮する必要があります」と、同大学公衆衛生科学部のマイケル ビッセル氏は言う。 「乳がんは、米国の女性のがん関連死の原因として2番目に多いのです。マンモグラフィ検診による乳がんの早期発見は、乳がんが進行性になり死亡リスクが上昇するのを防ぐための重要な戦略です」としている。マンモグラフィで陽性と判定されても心配する必要はない
マンモグラフィ検診で陽性と判定されても、その時点で乳がんの診断が行われるわけではない。多くの精密検査を行った結果、1年後に乳がんがないことが判明すると、マンモグラフィ検診で偽陽性の判定がされたことが分かる。 偽陽性は一般的によくみられる。2Dマンモグラフィ検診を受けた女性の12%が、陽性とされ、より多くの精密検査を求められるが、最終的に乳がんと診断される女性は、そのうちの4.4%、全体では0.5%に過ぎないという。 「乳がんを早期に発見するためには、異常な可能性のある所見を注意深く検査する必要があります。そのため、追加の画像検査や生検が必要と言われても、女性はそれほど心配する必要はありません。これらの大部分は、良性の結果になることが分かっています」と、同大学総合がんセンターおよび公衆衛生学部のダイアナ ミリオレッティ氏は述べている。検査を隔年で受けている女性は偽陽性は少ない
研究グループは、乳がんサーベイランスコンソーシアムが収集した、40~79歳の女性90万3,495人が受けた約300万件のマンモグラフィ検診のデータを解析した。マンモグラフィ検診は、2005年~2018年に126ヵ所の検査施設で実施された。 研究では、10年間に1回以上の偽陽性の判定を受ける確率は、3Dマンモグラフィの方が、2Dマンモグラフィよりもわずかに低いことが分かった。3Dも2Dも、乳がん検診を毎年受けている女性や、若い年齢層の女性、高濃度乳房の女性で、偽陽性が出る確率は高くなった。 マンモグラフィ検査のX線撮影技術であるトモシンセシスによる検査を受けた女性は、50%が10年間で偽陽性の判定を1回以上受けており、17%が6ヵ月以内に精密検査を受けることを勧められ、11%が生検を推奨された経験をもっていた。 一方、従来の2Dマンモグラフィで検査を受けた女性は、56%が偽陽性の判定を受け、精密検査を求められ、12%は生検が推奨された。 偽陽性が10年間で1回以上出た女性の割合は、3Dマンモグラフィによる検査を毎年受けている女性では17%だったが、隔年で受けている女性ではわずか10%だった。偽陽性が出たことで、精密検査である生検を受けることを推奨された女性は、3Dマンモグラフィを毎年受けている女性では11%だったが、2年ごとに受けている女性では7%だった。 「乳がん検診の新しい3D技術は、検診後に偽陽性の結果が出るリスクが、10年間で大幅に低下しないという結果が出たことに驚いています。ただし、隔年の検診を繰り返すと、偽陽性の可能性はかなり低くなります」と、ミリオレッティ氏は述べている。 Half of all women experience false positive mammograms after 10 years of annual screening (カリフォルニア大学デイビス校 2022年3月25日)Cumulative Probability of False-Positive Results After 10 Years of Screening With Digital Breast Tomosynthesis vs Digital Mammography (JAMA Network Open 2022年3月25日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「特定保健指導」に関するニュース
- 2025年02月25日
- 【国際女性デー】女性と男性はストレスに対する反応が違う メンタルヘルス対策では性差も考慮したアプローチを
- 2025年02月25日
- 【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
- 2025年02月25日
- ストレスは「脂肪肝」のリスクを高める 肥満やメタボとも関連 孤独や社会的孤立も高リスク
- 2025年02月25日
- 緑茶を飲むと脂肪肝リスクが軽減 緑茶が脂肪燃焼を高める? 茶カテキンは新型コロナの予防にも役立つ可能性が
- 2025年02月17日
- 働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
- 2025年02月17日
- 肥満やメタボの人に「不規則な生活」はなぜNG? 概日リズムが乱れて食べすぎに 太陽光を浴びて体内時計をリセット
- 2025年02月17日
- 中年期にウォーキングなどの運動を習慣にして認知症を予防 運動を50歳前にはじめると脳の健康を高められる
- 2025年02月17日
- 高齢になっても働き続けるのは心身の健康に良いと多くの人が実感 高齢者のウェルビーイングを高める施策
- 2025年02月12日
-
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より - 2025年02月10日
- 【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」