オピニオン/保健指導あれこれ
住み慣れた地域で最期まで暮らすことを目指した「暮らしの保健室」~医療・看護・介護を通じた住みよいまちづくりの試み~

No.1 暮らしの保健室「しょうとく*まちかどステーション」設立の背景と概要

看護師、社会福祉士、介護支援専門員、MBA(経営学修士)
神山 欣子

みんなが知っているところに、いつでも相談に行ける場所

 学校には保健室があり、健康に関する予防検診や検査、学生の悩みの相談まで聞いてくれる場所がありますが、社会に出て地域に暮らす高齢者や就労していない女性は自己管理が求められます。「住み慣れた地域にも、色々なことが相談できる場所があれば、安心して暮らせるのではないか」そんな思いで保健室の立ち上げにチャレンジしました。

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大阪府枚方市香里ケ丘、コリオ商店街の一角の店舗を借りています。
近隣には大型スーパー、銀行、郵便局、図書館などがありにぎやかな地域にあります。

 近年、地域包括ケアシステムの構築が求められ、住まいを中心に医療機関や介護施設がつながり、自治会・老人会などのコミュニティの活性化が望まれています。しかし、核家族化、一人暮らし世帯の増加により近所付き合いが希薄化し、誰かに助けを求めることさえ難しい現状です。

 国は地域包括支援センターが核となる地域づくりを推進していますが、介護予防から困難事例まで対応する地域包括支援センターの職員は多忙を極めています。みんなが知っている所に、いつでも相談に行ける場所があり、顔見知りの保健師や看護師などがいることで人々の暮らしを支えるサポートができると考えています。

 しょうとく*まちかどステーションは平成29年6月に開設してから1年10か月で延べ5,000人ほどの人が、様々な目的で利用しています。この保健室の活動を通して、多くの方に暮らしの保健室の成果や課題について発信していきたいと思います。

しょうとく*まちかどステーションの概要

1. 設置の背景・目的
 日本の人口構成は他国に類を見ないスピードで少子高齢化が進んでおり、2025(平成37)年には、いわゆる「団塊の世代」がすべて75 歳以上となり、高齢者の中でより高齢の者が増える超高齢社会になっていきます。

 一方で、支え手である生産年齢人口は少なくなっていきます。また、核家族化や生活様式の多様化により家族や親族の支え合いの機能が希薄化し、地域の支え合いの機能も低下していくことを免れない状況にあります。

 そこですべての人が安心して子育てを行い、住み慣れた地域で健やかに暮らせるよう、つながりの場を提供し、医療・看護・介護を通して最期まで良質な生活ができるように支援し、住み良いまちづくりに貢献したいと考えます。

 地域の住民が健やかに安心して暮らせるまちづくりに向けて、地域包括ケアシステムの構築に役立てたいと考えています。

2. 利用の対象となる方
 赤ちゃんから高齢者まで、疾病や障がいのある方はもちろん、まだ介護保険を利用していない元気な高齢者、地域の方々にご参加いただき助け合いの場づくりにも役立てたいとい思います。

3. 今後の事業の運営方針
 開設したばかりで地域住民の方に知っていただくことが大切だと思っています。そして、地域住民が主体的に集まるサークル活動やボランティア活動を通じて、つながりの輪が広がることを期待しています。現在の利用時間は10:00から18:30で木曜日と日曜日をお休みとさせていただいています。

4. アピールポイント
 全国で保健室の活動が注目されていますが、常設で運営できているところは少なく、また、商店街の一角にあり、商業施設(スーパーマーケット、ピーコックストア)に隣接しているという立地条件は人が集まる場として大いに期待できると考えます。看護師又は保健師が常駐し、毎週水曜日は医師が医療相談を受け付けます。

5. ミッション
 まちかどステーションは健康と暮らしをサポートすることを使命としています。すべての人が安心して子育てを行い、住み慣れた地域で健やかに暮らせるよう、つながりの場を提供し、医療・看護・介護を通して最期まで良質な生活ができるように支援し、住み良いまちづくりに貢献することをミッションとしています。

6. 組織
 社会福祉の法人聖徳園の社会貢献事業の一つとして位置づけ、香里ケ丘の商業施設の一角に開設し、無料でご利用いただけるサービスを提供しています。所長は長年訪問看護ステーションで活動し、特別養護老人ホームの施設長代理を経験、スタッフは保健師をはじめ、訪問看護ステーションのスタッフが兼務する形で常駐しています。

 在宅療養をしていた、がん末期や難病の患者さんから学ばせていただいたことは多く、家族の思いなども次の患者さんに活かしてもらえるよう、地域に還元していくことが大切だと考えています。

地域の人々の拠り所に~しょうとく*まちかどステーションの事業内容~

①暮らしの保健室
 10:00~18:30(木曜日・日曜日)よろず相談、(妊娠・育児に関する相談も含む)子どもの発達相談、一人暮らしや高齢世帯の困りごと相談、健康チェック、身体の痛み緩和や運動によるフレイルの予防を目標とした取組。

②医療相談
 毎週水曜日14:00~15:00 医師によるなんでも医療相談として自分や家族の病気や治療の相談、検査結果の詳しい見方などの説明。

③子育て世代おうえん隊
 月1回親子広場、親子の休憩場所としても利用いただけます。子どもライブラリー、言語聴覚士や管理栄養士さんへの相談も随時受け付けます。

④まちかどラーニング(無料講座)
 月5回、身近な話題で健康や病気の予防に役立つ学び場で、予約なし、無料で参加できる地域住民向け講座を開催しています。話を聞くだけでなく、参加者同士が自らの経験を話し合い、学びあうことを目的としています。講師は近隣のかかりつけ医、薬剤師、保健師など専門職から、また永代供養や樹木葬などのお墓の話や生命保険会社のプランナーまで多種多様な人材が協力しています。

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医師による無料講座(肺炎について)みなさんとても熱心に参加されています。

⑤医療・介護の専門職ネットワーク
 勉強会や専門職研究発表会などだけでなく仕事の悩みや相談、サービス担当者プレ会議などにも活用しています。

⑥みんなのより所
 2つの元気クラブ(体操と認知症予防プログラムなど)が週1回90分の活動を継続的に実施しており、自主的な運営が継続できるよう間接的なサポートを行っています。最近では一人暮らしの方のランチスペースとして職員と一緒にお昼ご飯を食べるなどの機会もあります。

⑦生活の困りごとサポート
 一人暮らしや高齢世帯の相談から、ちょっとした支援を行います。「電気がつかない」「何かを無くした」などのときは自宅に伺って、対処法を一緒に考えます。地域包括支援センターにつなぐこともありますが、家族がいればすぐに解決できることも高齢世帯では難しい場合があり、支えの対象となります。

 次回は、よろず相談から見えてきた課題についてご説明します。

「住み慣れた地域で最期まで暮らすことを目指した「暮らしの保健室」~医療・看護・介護を通じた住みよいまちづくりの試み~」もくじ

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