No.3 医療相談
しょうとく*まちかどステーションが毎週水曜日に行っている「医療相談」での、利用者の傾向や相談内容をまとめました。
医療相談の意義
医療相談と言えば、自治体や医師会、健康保険組合などがホットラインとして案内しているものが多いと思います。しかし、どんな人が対応してくれるのか分からないし、電話で上手く伝えるのが難しいと感じる人は多いのではないかと感じます。
そこで保健室では週1回、医師に対面でどんなことでも気軽に話ができる「医療相談」窓口を開設することにしました。
予約なしで相談時間の設定もしていません。個室はありませんが、パーティションなどで少しプライベートが保てるように配慮しています。診察ではなく、セカンドオピニオンでもなく、家族のように話を聞いてくれるお医者さんというイメージです。
(所要時間は30分ほど)
医療相談の実績・内容
医療相談は毎週水曜日の14時~15時までの1時間です。予約を受け付けていないので、その日来られた順にお話を伺うようにしています。先に相談者がいると少し待っていただくことになりますが、その間もスタッフが世間話などをしながらリラックスしていただくよう努めています。
たまには、誰も来られない日もありますが、大抵は1~2名の方が相談に見えます。平均すると1人30分位が相談時間となっています。
相談は保健室の一番奥のテーブルで行われ、医師と90度で向き合う角度に相談者に座っていただきます。基本的には保健師が医師の向かい側で一緒にお話をお聞きしながら、メモを取らせていただき、介護保険利用や生活習慣改善、医療機関受診など具体的な相談になった場合は保健師からアドバイスをしています。
相談件数は、まちかど*ステーションを開設した平成29年6月から平成31年3月末までの約1年10カ月で89件です。相談者の性別は女性が51名(57%)、男性が38名(43%)で、やや女性が多くなっています。
相談者の年齢は70歳以上の方が70%を超えています。やはり高齢者は様々な病気になるリスクが高く、病気に関することが気がかりの一つと考えられます。
相談内容は重複してカウントすると症状や治療に関するものが多く83%を占めています。その他は、検査結果の意味を詳しく聞きたい、診断された内容を確認・整理したいなどがあります。
ご自身のことだけでなく、家族のことについて相談される方もあります。世帯状況の確認は必須ではなく、お聞きすることもありますが、調査にならないよう出来るだけご本人のお話を傾聴することを心掛け、プライバシー保護のため話したくない事には触れないよう配慮しています。
相談者の思い
医療相談の内容は様々ですが、皆さん医師とゆっくり話が出来ることに満足感を感じておられます。相談者は「医療機関はいつも患者さんが多くて、聞きたいと思っても聞けないので・・・」とおっしゃいます。
例えば、82歳 女性 Oさんは、4カ月前、特定健診にて肺癌疑いと言われ相談に来られました。全く無自覚だったが、気になり本日再検査をしたところ、医師から「少し腫瘍が大きくなってきている」と言われました。
「これから3か月おきに検査し経過をみることになったが、治療もしんどいと聞くのでこのまま死にたい」「主治医から癌専門医の紹介を言われたが一度断った」「毎日健康に気を配った生活をしているのに、一方でこのまま死んでもよいと思う自分が矛盾していてよくわからない。これからどうしたらよいのか悩んでいる」というお話でした。
対応としては、まずは辛い気持ちを傾聴し、早期癌は無自覚なことが多いので見つかって良かったことを伝えました。
胸部レントゲンのみでの診断は難しいため、一度専門医にCT検査をしてもらうことを勧め、専門病院の紹介は一度断っても、気になるなら再度紹介してもらって大丈夫であること、専門病院の受診に気が進まないのであれば、主治医のもとで定期検査に行く方法があることを伝えました。
現在は癌治療も様々なので、専門医の意見を聞いて考えてみてもよい。今後、同じ年数生きるなら健康に気を使い、前向きに自分に出来ることをやっていた方がよいのではないかと伝えました。
相談者は、色々な気持ちが混ざっていたので少し気持ちが楽になったと言われ安心した表情で帰られました。
医師はどのような相談であっても、まずはしっかり話を聞くことを心掛けています。その上で、相談内容の整理、ご自身が問題と向き合い、納得できるよう情報提供と最小限のアドバイスに努めています。
相談者は、自身の話をゆっくりと聴いてもらえているという安心感で不安が和らぎ、ひとつひとつ自分で話をすることで混乱していた気持ちを整理し、向き合っていくことができます。
また、医療相談を通じて医師だけでなく保健師や看護師などの他のスタッフとの信頼関係が構築され、スタッフへの日常生活の些細な相談につながっていきます。相談だけに終わらず、経過を報告するために再び保健室を訪ねてくださる方もおられます。
「住み慣れた地域で最期まで暮らすことを目指した「暮らしの保健室」~医療・看護・介護を通じた住みよいまちづくりの試み~」もくじ
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