オピニオン/保健指導あれこれ
住み慣れた地域で最期まで暮らすことを目指した「暮らしの保健室」~医療・看護・介護を通じた住みよいまちづくりの試み~
No.9 ママたちの心のよりどころを目指して「子育て応援隊」としての活動をご紹介
看護師、社会福祉士、介護支援専門員、MBA(経営学修士)
2020年07月02日
お母さん同士の情報共有の場にもなれる「子育て広場」
筆者が所属する社会福祉法人聖徳園における3つの保育所(香里敬愛保育所・中振敬愛保育所・みずき敬愛保育園)は、日々の保育だけでなく地域のスマイルサポーターとして地域貢献支援員としての活動も行っています。ベテラン保育士さんが地域の子育てや保育所の一時開放、ふれあい体験など多岐に渡り子育て支援を実施しています。 暮らしの保健室は保育士さんと協働し、子育て広場を月1回開催しています。就園前の地域の子育て中の親子を対象としているので1~2歳ぐらいの小さいお子さんが多く参加します。絵本の読み聞かせや歌と手遊びなど様々なメニューを準備しています。参加者には最近引っ越してきてあまり地域の事がわからない人や初めてのお子さんで不安に思うことが多い方などもいます。 子どもと一緒に遊ぶだけでなくお母さん同士の情報共有の場にもなり、子育てが弧育てにならない取り組みにしていきたいと思っています。「えほんのお部屋 ひまわり畑」さんとの出会い
ひまわり畑の代表をされている中谷さんは、同じ香里ケ丘地域で特定非営利活動法人として子育て支援をしている方です。 「毎日精一杯頑張っているお母さんを応援したい・・・そんな想いでひまわりママがお待ちしています」というキャッチフレーズで、「ほっとルーム(親子でほっこりできるお部屋の開放)」「おるすばんルーム(家庭的な保育で、お母さんがご用事の時安心して預けられる一時保育)」「子ども食堂」など、様々な形で地域の子育て支援をされています。 保健室が出来てすぐ代表の中谷さんが人通りの多い場所で新しい出会いを求めて依頼に来られました。ひまわり畑のチラシを保健室に置くと、まだ知らなかった方が興味を持って持ち帰られ、新しい利用者に繋がっていきました。 地域には色々なニーズがありますが必要な情報に辿りつくのは難しく必要な人に必要な情報を届けるのが暮らしの保健室としての大きな役割だと実感しています。 中谷さんは保健室で月1回「おやこの広場りっぷる」という名称で地域の親子に絵本の楽しさにふれてもらうと共に親子で笑い合える時間をつくったり、家に帰ってからも少し楽しめる手作りおもちゃの紹介をするなどの活動をしています。 参加者はその後も保健室を利用し、地域の高齢者とも顔なじみになるなど多世代交流がはかれています。ママたちからのよろず相談
0歳から1~2歳のママがお散歩ついでに保健室に立ち寄ってくださることが多く、「なかなか行くところがないんです・・・特に雨の日はずっと家に引きこもって誰とも話をしていないなあと思うんです」と何か話をしたい気持ちで来られます。実家が遠い方や近隣に知り合いがないなど孤独を感じている人もいます。 子どもの成長について情報がありすぎて、かえってこれでいいのかと不安になることも多いようです。〇〇か月になったらこうでなければいけないと思い込み、「〇〇が出来ていないんです。」と成長発達に関する相談が一番多いです。 個人差があることや今の状態が普通であると解っていただくと安心されます。産後のママの体調のことや精神面のことも気になるためいつでも保健室に立ち寄っていただくように説明しています。マタニティカフェの開催
2019年4月からマタニティカフェを保健室で開催し始めました。主謀の加籠六さんはマタニティチャームズを立ち上げ枚方市の各地でマタニティカフェを開催しておられます。 助産院や産婦人科の助産師さんともつながりのある子育て中のお母さんで、自分も妊娠中が不安だったことや2人目だけど上の子どもと同じように育てることができるか悩んだりした経験を持ち、妊娠中から子育てを応援したいと願っています。新米ママたちにとってとても頼もしい先輩ママさんです。 まだまだ参加者は少ないですがこれから定期的に開催し、地域に浸透していくことを願っています。最近は働いているママも多くマタニティカフェへの参加が少ない傾向にあり開催日時や広報の仕方を工夫していきたいと思っています。 実際にカフェでは、「第2子妊娠中のママは出産後に上の子どもを預かってくれるところを探しているがなかなか見つからないと不安でいっぱい。自分の母親に手伝ってもらう事も考えましたが第1子出産後に手伝ってもらう中、喧嘩したこともあり、実の親にも頼らず乗り切りたいと考えています。」といった切実なご相談が寄せられました。 市役所や各保育所に相談するにも多くのエネルギーが必要で一緒に考えてくれる人の存在は大きいと思います。ひとり一人の悩みに寄り添い共に解決方法を考え、課題を乗り越える手助けが必要だと思います。「住み慣れた地域で最期まで暮らすことを目指した「暮らしの保健室」~医療・看護・介護を通じた住みよいまちづくりの試み~」もくじ
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