ニュース
1日10分間の運動でも毎日続ければ効果がある
2013年01月17日

10分間の短時間の運動であっても、毎日積み重ねていけば、フィットネスクラブでの数時間の運動と同じくらいの健康上の便益をもたらし、メタボリックシンドロームの予防効果を得られるという研究が発表された。
部屋の掃除や庭の草刈り、荷物運び、ウォーキングやサイクリング、子供との遊びなど、日常生活での1回10分程度のちょっとした活動であっても、積み重ねればエネルギー代謝を向上させ、肥満予防につながるという研究が、米国で発表された。 「体重を減らし、コレステロール値や血糖値を下げ、心筋梗塞などを予防するために、運動は有用です。まとまった時間にしっかりとした運動を行わないと効果がないと思われがちですが、実際には10分程度の身体活動であっても、効果があることが分かりました」と、ボストン大学医学部のニコル グラザー氏(予防医学)は話す。 小さい身体活動であっても、積み重ねれば大きな効果をもたらす。「何もしないで過ごすよりも、どんなことであっても体を動かすことは良いことです。ただし、毎日続けることが大切です」(グラザー氏)。 この研究は、心筋梗塞や脳卒中の効果的な予防策を調べるために行われている大規模研究である「フラミンガム心臓研究(Framingham Heart Study)」の一環として行われた。 研究チームは、平均47歳の2,109人の男女(55%が女性)を対象に調査した。身体活動を持続的に測定できる、3次元加速度計を内臓した活動量計を装着してもらい、24時間の活動を5 ∼ 7日間記録した。 適度な運動から強い運動や身体活動の総時間、10分間以上続けた時間、10分間未満の時間を算出した。身体活動には、ウォーキング、ジョギング、ゴルフ、ハイキング、バドミントンのような運動から、釣り、掃除、庭の芝刈りなどの身体活動まで、全ての活動が含まれていた。 総運動時間は、HDLコレステロールの高値、中性脂肪、体格指数(BMI)、腹囲径などの低値に有意に関連していた。運動時間が長くなると、心筋梗塞などの冠動脈疾患の発症リスクを示す「フラミンガムリスクスコア」も低値になった。 興味深いことに、10分間未満の身体活動の総時間が長いと、これらのリスク要因が抑えられることが示された。 健康増進のための運動としては、適度なウォーキングなどの運動を週に150分間以上、ジョギングや水泳やのような強い運動を週に75分間行うことが勧められている。 研究では、10分未満の短時間の運動であっても、総時間が長い人は、激しい運動をしている人と同じくらい、肥満度や腹囲径、フラミンガムリスクスコアなどが低く抑えられていることが分かった。 「運動をする時間をとれなかったり、1日の仕事が終わった後にジムに行って運動をする余力が残っていない人であっても、小さい身体活動を積み重ねれば、運動の便益を得られます。運動のためにできることは、フィットネスクラブへ行くことだけではありません」と、グラザー氏は強調する。 「エレベーターではなく階段を使ったり、車を使わずに駅まで歩くといった日常での工夫を積み重ねていけば、運動をする時間がない場合でも、運動の便益を得られることが確かめられました」としている。 Sustained and Shorter Bouts of Physical Activity Are Related to Cardiovascular Health(米国スポーツ医学会 2013年1月)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2021 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「運動」に関するニュース
- 2021年01月26日
- スマホの運動アプリで1日の歩数を2000歩増やせる 新型コロナをきっかけに、運動への関心は世界中で拡大
- 2021年01月26日
- 「脂肪肝」が手遅れになる前にスマホで早期発見 病気と認識してきちんと対策 「脂肪肝プロジェクト」を始動
- 2021年01月25日
- コレステロール高値で高尿酸血症のリスクが上昇 メタボリックシンドロームと高尿酸血症の関連に新たな知見
- 2021年01月22日
- 1月23日は、健康生活習慣『一無、二少、三多』の日です。 「全国生活習慣病予防月間2021」は2月1日よりスタートします!
- 2021年01月19日
- 【新型コロナ】「自然」の豊かな環境でストレスを解消 心の元気を保つために「行動の活性化」を
- 2021年01月18日
- 冬の「ヒートショック」を防ぐ6つの対策 急激な温度変化は体にとって負担 血圧変動や脱水に注意
- 2021年01月12日
- 犬の散歩は糖尿病予防のための「運動」になる? 糖尿病の犬の飼い主は糖尿病リスクが高い
- 2021年01月12日
- エビデンスに基づく保健指導の実現へ 健康診断のデータから生活習慣病の発症因子を推定 医療ビッグデータを解析する人工知能(AI)を開発
- 2021年01月05日
- WHOが「世界の死因トップ10」を発表 心臓病が1位に 糖尿病と認知症も上位に 食事と運動で予防・改善
- 2021年01月04日
- 保健指導リソースガイド【1年間でもっとも読まれたニュース ベスト15】1位はあの記事
最新ニュース
- 2021年03月02日
- 【新型コロナ】ワクチン接種の利益とリスクを正しく理解し判断を 感染症学会「有効性は高く、副反応は一過性」
- 2021年03月02日
- なぜ体重は正常なのに「代謝異常」に? 体脂肪の「質」が肥満・メタボや糖尿病に影響 順天堂大学
- 2021年03月02日
- 女性が多量飲酒をすると乳がんリスクが1.7倍に上昇 女性ホルモンが影響か 日本人女性16万人対象の大規模調査
- 2021年03月02日
- 人工知能(AI)により生活習慣病の将来リスクを予測 保健指導での意識・行動の改善に貢献 国際医療研究センターなどが共同研究
- 2021年02月26日
- 【新型コロナ】コロナ禍のいまこそ運動を オンライン運動プログラム「こそトレ!」 慶應大学と藤沢市が連携
~保健指導・健康事業用 教材~
-
アイテム数は3,000以上! 保健指導マーケットは、健診・保健指導に役立つ教材・備品などを取り揃えたオンラインストアです。 保健指導マーケットへ