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ファストフードが小児ぜんそくのリスクを高める?
2013年01月17日

ファストフードをよく食べる子供は、果物をよく食べる子どもに比べ、深刻なぜんそくを起こすリスクが高いとする大規模な国際研究の結果が、英医学誌「ソラックス」に発表された。
ファストフードを週3回以上食べると、子供のぜんそくのリスクが上昇
1991年に立ち上げられた「小児ぜんそくとアレルギーに関する国際調査(ISAAC)」は、世界100ヵ国、約200万人の小児が参加している世界最大規模の共同研究だ。
今回発表された研究では、6~7歳の子供と13~14歳の子供合わせて約50万人に食習慣について聞くと同時に、前年風邪やインフルエンザにかかっていない時に胸がゼーゼーしたり、鼻が詰まったこと、湿疹が出たことなどがあるかどうかを尋ねた。
喘息や、鼻炎・結膜炎、湿疹の悪化には食事が重要な役割を果たすことが知られている。研究チームは、食品によってこれらの症状に影響をもたらすものがあるかについて検討した。
調査では母親の妊娠中の喫煙や、運動不足、肥満指数(BMI)などの影響を取り除き、食習慣だけに焦点を絞って解析した。
食事については、肉や魚、野菜や果物、豆、シリアル、バターや卵などの他,ファストフードの摂取頻度に関する質問が行われた。
その結果、ぜんそくの発症に明確に関連があった食品は、ファストフードだけだった。
ファストフードを週に3回以上食べる子供は、ぜんそくの発症が39%増加しており、6歳から7歳の子供に限定すると27%増加することが示された。またファストフードは湿疹や鼻炎のリスクも高めていた。
一方で、果物を食べる子供では、ぜんそくは減少していた。果物を週に3サービング以上食べる子供では、ぜんそくが11%減少しており、重度のぜんそくは14%減少していた。
研究者は、「ファストフードとぜんそくとの関連は、まだ詳しくは分かっていない」としながらも、「ファストフードは脂肪の多い加工肉を使用しているものが多い。ぜんそくなどのアレルギー性疾患の発症と関連があるのではないか」と指摘している。
飽和脂肪酸を多く含む高カロリーの食品が免疫機能に影響し、アレルゲンに対する体の免疫機構を過敏にしているおそれがあるという。また、果物には抗酸化物質が豊富に含まれており、アレルギー反応を抑えている可能性がある。
「ただちにファストフードをやめる必要はないにしても、アレルギーをもつ子供は、野菜や果物を豊富に取り入れたバランスの良い食生活を心がけた方がいい」とアドバイスしている。
Fast food diet linked to asthma and eczema severity in kids(小児ぜんそくとアレルギーに関する国際調査)
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