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アミノ酸サプリの「システイン」に糖尿病を招くおそれ
2015年03月02日
サプリメントや健康食品に含まれるアミノ酸の一種である「L-システイン」が、インスリンの働きを阻害し、糖尿病を悪化させるおそれがあることが、東京大学の研究チームの実験で明らかになった。
システインがβ細胞のインスリン分泌を抑制
L-システインは髪や爪に含まれるアミノ酸の一種で、抗酸化作用があり、シミの原因となるメラニンの生成を抑えたり、二日酔いなどに効果があるとされ、サプリメントとして販売されている。
研究チームは、2型糖尿病患者の一部で、血液中のL-システインが長期的に増えることに着目し、L-システインがβ細胞のインスリン分泌不全に関わっていることを突き止めた。
膵臓のβ細胞を高濃度のブドウ糖で刺激すると、短時間に多量のインスリンを分泌し、続いて少量のインスリン分泌が長時間続く。2型糖尿病では、この二相性のインスリン分泌が失われている。
研究チームは、血液中のL-システインが増えるとβ細胞からのインスリン分泌が抑制されることを、マウスのβ細胞を使った実験で明らかにした。
これが長期に及ぶと、細胞内でL-システインが増え、グルコース分解過程の最終産物であるピルビン酸やクエン酸回路の代謝物量が減少するという。β細胞のインスリン分泌不全を引き起こし、2型糖尿病が悪化するおそれがある。
β細胞を用いた実験では、L-システインを取り除くと、インスリン分泌は1時間半程で回復した。L-システインは、インスリン分泌を調節している新たな制御因子である可能性があるという。
「L-システインは"美肌効果がある""二日酔いを緩和する"などとして、サプリメントなどで幅広く服用されている。糖尿病の人が利用すると、糖尿病の悪化につながる可能性がある。サプリメントや健康食品にどのような成分が含まれるか、よく確かめた方が良い」と研究者は述べている。
研究は、東京大学大学院総合文化研究科の村田昌之教授、中津大貴氏、堀内雄太氏によるもの。「米国科学アカデミー紀要」(PNAS)に発表された。
東京大学 大学院総合文化研究科・教養学部L-cysteine reversibly inhibits glucose-induced biphasic insulin secretion and ATP production by inactivating PKM2(米国科学アカデミー紀要 2015年1月29日)
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