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子宮頸がんワクチン副反応の原因を究明 8割が同じ白血球の型
2016.03.23
 子宮頸がんワクチンの接種後に全身倦怠感や運動機能障害、脳機能障害などの報告が相次いでいる問題で、特定の遺伝子を含む白血球の型が副反応の出やすさに関連していることが、厚生労働省研究班(代表:池田修一・信州大学教授)の調査で判明した。
子宮頸がんワクチンの副反応発症の
8割で共通の白血球型
 子宮頸がんワクチンは、2009年12月~2014年11月に推計338万人(約890万回接種)が接種を受け、2,584人(0.08%)の副作用報告が寄せられている。国は2013年6月から接種の呼び掛けを中止しているが、どういった場合に症状が出るのかは分かっていない。

 研究班が信州大と鹿児島大で、ワクチン接種後に学習障害や過剰な睡眠などの脳機能障害が出た10代の女性らの血液を分析したところ、7~8割の患者で「HLA(ヒト白血球型抗原)型」が一致していることが判明した。

 HLA(ヒト白血球型抗原)はヒト主要組織適合抗原のひとつで、 血小板を含むほとんどの有核細胞にあるHLA-A、B、C抗原と、B細胞、単球、活性化T細胞などの限られた細胞上にあるHLA-DR、DQ抗原などがある。HLA型は血液検査をすれば分かり、それぞれの型は自己免疫疾患と関連があると考えられている。

 調査の結果、「HLA−DPB1」と呼ばれるHLAが「0501」という型だった患者が、信州大学で14人中10人(71%)、鹿児島大学で19人中16人(84%)を占めた。

 「0501」は日本人にもっとも多い型で、全体では4~5割とされる。研究グループは「一般的な割合と比べて高い。まだ調査人数が少ないため断定的なことは言えないが、HLA型が副作用に関連している可能性がある」と述べている。

 この白血球の型の特徴をもつ人の割合は欧米に比べて日本や中国の方が高く、将来的には「ワクチンの接種前に検査を行い、この遺伝子がある人は接種しない」といった予防法の開発につながる可能性がある。
子宮頸がんワクチンの副反応の成因・病態は不明な点が多い
 日本産科婦人科学会などは2014年に「子宮頸がんは20~30歳代の若い女性において、罹患数、死亡数ともに増加傾向にある。その発症を予防するための一次予防として、子宮頸がんワクチン接種は重要。子宮頸がんワクチンは命を救うワクチンであり、女性とその家族の将来を守るための社会防衛上の重要な手段」という主張を発表した。

 厚労省研究班が2013年にまとめた報告書によると、子宮頸がんワクチンの接種後に生じた「広範な疼痛または運動障害」は、ワクチンによる神経障害、薬物中毒、免疫反応によるものではなく、その多くが「心身の反応」と考えられるという。これに対して、免疫機能に働くワクチンの成分や免疫増強剤に原因がある可能性があるという指摘もある。

 世界保健機関(WHO)は2014年に子宮頸がんワクチンの安全宣言を出し、接種を事実上中断している日本の対応を批判している。名古屋市も昨年、7万人対象の調査で接種者と未接種者の間に発症差はなかったと発表しており、接種再開を求める声も強い。

 ただ、患者らが訴える症状の原因は、解明の途上だ。池田教授らの研究班が行った、自己免疫疾患を生じやすいマウスにワクチンを接種した実験で、子宮頸がんワクチンを打ったマウスの脳だけに抗体が作られ、末梢神経障害があらわれた。

 子宮頸がんワクチンの副反応の成因・病態はいまだ不明な点が多く、患者の発症時期と症状も多様だ。「対症療法、免疫療法など、その時期の病態にあった治療を行うことが必要。診療科(神経内科、精神科、婦人科、小児科、麻酔科)などの相互協力、連携が不可欠だ」と、池田教授は言う。

 日本医師会と日本医学会は2015年に「HPVワクチン接種後に生じた症状に対する診療の手引き」をまとめ、インターネットで公開している。
HPVワクチン接種後に生じた症状に対する診療の手引き
ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に生じた症状に関する厚生労働科学研究事業成果発表会(厚生労働省 2016年3月16日)
副反応追跡調査結果について(厚生労働省 2015年9月17日)
(Terahata)
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