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食事管理を成功させるコツは「マインドフルネス」 満足感を得やすい食事
2016年08月10日
食事療法を成功させるコツは、「本当に食べたい食物を、満足感を得やすいように食べる」ことだ。米国のミズーリ大学の臨床心理学者は、食べる行為に意識を向ける「マインドフル食事法」を提唱している。より満足のできる食事ができるようになるという。
食べることに意識を集中する食事法
「マインドフルネス」は、日本の禅などの考え方や瞑想をベースにしたメンタルトレーニングとして米国で発達した。「マインドフルネス」を日本語に訳すと「気付くこと」「意識すること」という意味になる。
「マインドフルネス」を簡潔にあらわすと「今、ここで起きていることを、ありのまま感じて、受け止めること」。自分の体や心の状態を意識することで、ストレスを受ける場面に遭っても、否定的な感情にとらわれることなく、平静を保てるようになるという。
最近は宗教色を一切排除し、科学的な根拠を示した研究が増えている。集中力を高められるとして、米国では「マインドフルネス」をベースにした社員研修プログラムを提供する企業が増えている。「マインドフルネス」を応用した瞑想は認知症やうつ病の症状改善にも効果的と考えられている。
より満足のできる食事を心がけるのがマインドフルな食事
マインドフル食事法の3つのステップ(1)食事をするときに、まず深呼吸をして、自分の空腹感に注意を向ける。自分がどれだけ空腹感であるかをチェックする。体の内側から発する声に耳を傾ける。
(2)食事ではよく味わいながら、食品の味や匂い、色にまで注意し、ゆっくりと食べる。栄養が自分の体に吸収されるのを実感する。食物を飲み込んだ後で、一呼吸おいて食べていることを実感する。
(3)食事が半分ほど済んだあたりで、満腹感を得られているか、惰性で食べ続けていないかどうかをチェックする。満腹感を得られているのなら、食事を残しても良い。次に空腹を感じたときに、また食べれば良い。 「食べたいものを欲しいだけ、食べても良いのです。ただし、食べるという行為に対し注意深くあらねばなりません。自分が本当に空腹なのか、空腹を満たすために何をどれだけ食べればよいのか、注意を向けてみましょう」と、ミズーリ大学のトータル リワード プログラムの臨床心理学者のリン ロッシー氏は言う。 マインドフルな食事の対極に位置するのは、例えばテレビを見たりスマートフォンをいじりながら、空腹でもないのに、高カロリーの菓子類などを食べ続ける行為だ。
満足感を得やすくなり、食事を適量で済ませられるようになる
「マインドフルな食事は、体にどれだけの食物が必要で、満足感を得るためにどれだけ食べればよいかを、注意深く感じながら食べる方法です。食事は本来、あなたの味覚を喜ばせる楽しい行為であるべきです。なぜ食事をするか、どう食事をしたらよいか、常に自分の内的な問いかけに答えながら、より満足のできる食事を心がけながらゆっくり食べるのが、マインドフルな食事です。こうしたことは、流行しているダイエット法では得られないことです」と、ロッシー氏は言う。
空腹、あるいは満腹を感じているかという、体の合図に意識的になることで、食べ過ぎを防ぎ、満足感も得やすくなる。そのためには、食べるスピードを意識的に遅くし、一口一口をよく味わって食べることが必要だ。食事をはじめるとき、半分食べたとき、食べ終わったときに、それぞれ意識して食べるのを中断し、自分が満足感を得ているかを深く感じてみよう。特に半分を過ぎたあたりから、呼吸を整えチェックすることが大切だ。
「もっとも重要なことは、食物をよく噛んで、味わって食べることです。マインドフルな食事を続けていれば、やがて自分の内部から発せられる信号に敏感になり、満足感を得やすくなり、食事を適量で済ませられるようになります」と、ロッシー氏は説明する。
マインドフルネスを実行すると血糖値が正常域に
米国のブラウン大学は「マインドフルネス」を実行している人は、血糖値が正常域にコントロールしやすいという調査結果を発表した。
研究チームは、年齢の中央値が47歳の男女399人を対象に調査を実施。「マインドフルネス注意認識スケール」(MAAS)と呼ばれる「マインドフルネス」の程度を把握するための指標を使い、どの程度実践しているかを調べた。
その結果、MAASのスコアが高く「マインドフルネス」の実践度の高いグループでは、そうでないグループに比べ、血糖値を正常域にコントロールできている割合が35%高く、空腹時血糖値を100mg/dL以下に保っている人が多いことが判明した。
BMI・喫煙習慣・年齢・性別・人種・教育水準・年収・抑鬱の有無・血圧・主観的なストレスのコントロール感などを考慮しても、「マインドフルネス」を実行している人は、血糖値が低い傾向があることが明らかになった。
「マインドフルネスの実践度の高い人は、高カロリーや高脂肪の食事を控えていて、運動に対しても積極的で、医師が推奨する食事療法や運動療法に意欲的である傾向があります」と、ブラウン大学公衆衛生学部のエリック ラウックス氏は言う。
「糖尿病や心疾患などの慢性疾患とマインドフルネスの関連を疫学的に調べた研究はほとんどなく、今回の研究が最初のケースですが、マインドフルネスを治療に取り込むのが効果的であることが示唆されました。今後、さらに大規模の研究を計画しています」と、ラウックス氏は述べている。
Mindfulness Key to Eating What You Want While Preventing Overeating(ミズーリ大学 2016年7月18日)BASICS of Mindful Eating(Mindfulness Practice Center)
Everyday mindfulness linked to healthy glucose levels(ブラウン大学 2016年2月23日)
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