ニュース

「森林セラピー基地」でウォーキング ストレスが減りがん予防の効果も

 森林に身を置くと、心が落ち着き、居心地の良さを感じる――そんな経験をおもちの人は少なくないだろう。最近の研究で、木々に囲まれた自然が豊かな環境でウォーキングをすると、「ストレスホルモンが減少し、免疫力が上がり、がんをはじめとするさまざまな病気の予防につながる」ことが明らかになってきた。
森林ウォーキングには多くの効果がある
 研究は日本医科大学衛生学公衆衛生学の李卿氏らによるもので、科学誌「Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine」に発表された。

 研究には19人の中高年の男性が参加した。参加者は、長野県飯山市の森林環境に2泊3日で滞在し、森林の中を朝と夕方に、80分をかけて2.6kmのウォーキングをした。

 雑木林、ブナ林および杉林の森林遊歩道をウォーキングし、その前後に採血し、NK(ナチュラルキラー)細胞の活性を調べた。

 その結果、森林浴によって抗がんタンパク質が増加し、NK細胞が活性することが確認された。森林からのフィトンチッドと森林浴によるリラックス効果がこの活性化に寄与したと考えられる。

 また、森林をウォーキングすることで、アディポネクチンが増えていた。アディポネクチンは脂肪組織で作られるホルモンで、抗炎症作用とインスリンの効果を高める作用がある。肥満者や2型糖尿病患者ではアディポネクチン血中濃度が低いことが多い。
「森林浴」の3つの効果
 「森林浴」は1980年代に提唱され、それ以来、徐々に国内で普及してきた。森林浴は、血糖値、血圧およびストレスホルモンを低下させ、自律神経のバランスを整え、リラックス効果をもたらすと報告されている。

【森林浴の主な効果】

森林浴効果(1) がんへの抵抗力が高まる

 森林浴によって、3つの抗がんタンパク質(パーフォリン・グランザイム・グラニュライシン)が増加し、がんを破壊するNK(ナチュラルキラー)細胞の活性が上昇する。

森林浴効果(2) ストレスが減少する

 ストレスが増えると収縮期血圧や拡張期血圧が上昇し、脈拍数が増える。森林でウォーキングすると、これらの数値が低下する。また、ストレスホルモンのコルチゾールは、森林にいるときは、都市にいるときに比べて減少することが実証されている。

森林浴効果(3) リラックス効果が高まる

 交感神経は身体の活力が活発なときに高まり、副交感神経は身体がリラックスしているときに高まる。森林では、都市にいるときと比べ、交感神経の活動が抑制され、副交感神経が優位になることが明らかになった。
長野県飯山市の「森林セラピー基地」
 「森林セラピー基地」は、森の香りや空気の清浄さ、美しい森の景観などによるリラックス効果が科学的に実証され、関連施設などの自然・社会条件が一定の水準で整備されていることが認定された地域。全国で62の地域が「森林セラピー基地」として認定されている。

 長野県飯山市は2006年に日本で最初の「森林セラピー基地」の1つとして認定を受けた。飯山市の森林セラピー基地は大きく2つに分かれており、「母の森・神の森」と名付けられている。「母の森」は、なべくら高原、黒岩山、斑尾高原のブナの森一帯と、湿原や湖沼が点在する斑尾高原の2つのエリアがある。

 「神の森」は、市の東側に位置する小菅山麓の小菅神社奥社に続く杉並木の古道と北竜湖畔周遊の道がある。それぞれに拠点施設を設け、2つのエリアを信越トレイルが結ぶ。

 「母の森」と「神の森」2つのエリア合わせて全部で30コースが用意されている「森林セラピーロード(森林浴歩道)」は、時間や体力、目的などに合わせて柔軟に設計されており、初心者から上級者まで幅広く対応している。
「森林セラピー基地」は全国に整備されている
 日本は世界でも有数の森林大国だ。国土の67%を森林が占め、先進国ではフィンランドに次いで2番目に森林率が高い。米国、ドイツ、スイスなどの森林率が30%であることを考えると、日本人がどれだけ豊かな森林に囲まれて生活しているのかが実感できる。

 木々の中に立っているだけで、心がゆったりとやさしい気持ちになったり、疲れが癒されリラックスした気持ちになれる。本来、自然の中で生活してきた私たち人間は、森の中に囲まれているだけでも落ち着く。

 現代社会では生活習慣病やメンタルヘルス(心の健康)の不調が問題になっている。心と身体の健康への関心が高まるにつれ、森林浴に対する期待も「健康になりたい」「ストレスを解消したい」という積極的なものになっている。

 「森林セラピー基地」に認定されている森は歩きやすく、ほとんどが緩やかな勾配で、中には車いすでも入ることのできるバリアフリーのロードもある。近くの「森林セラピー基地」に出かけてみてはいかがだろう。

森林セラピー 総合サイト
日本衛生学会 森林医学研究会
Effects of Forest Bathing on Cardiovascular and Metabolic Parameters in Middle-Aged Males(Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine 2016年6月8日)
[Terahata]

「健診・検診」に関するニュース

2018年05月23日
「子宮頸がん」の抗ウイルス薬の開発に成功 年内に治験を開始する予定
2018年05月23日
「ミドリムシ」からメタボを改善する成分 「痩せるホルモン」を促進
2018年05月23日
「高血圧」の治療で伝わらない説明 コミュニケーションのズレは深刻
2018年05月23日
「遺伝子検査」で糖尿病リスクが分かる 日本人4700人超を調査
2018年05月22日
【書籍プレゼント】『集団分析・職場環境改善版 産業医・産業保健スタッフのための ストレスチェック実務Q&A』を5名様にプレゼント
2018年05月22日
【報告】産保PCのこれまで活動内容をポスター発表しました(第91回日本産業衛生学会)
2018年05月21日
「血糖トレンドの"読み方":AGP」を公開 血糖トレンドの情報ファイル
2018年05月17日
敗血症性AKIにおける急性腎障害マーカー L-FABPの可能性
2018年05月16日
体重コントロールを成功させるシンプルな方法 必要なことは1つだけ
2018年05月16日
早期のアルツハイマー病「軽度認知障害」 日本人対象の研究で解明

最新ニュース

2018年05月23日
「子宮頸がん」の抗ウイルス薬の開発に成功 年内に治験を開始する予定
2018年05月23日
「ミドリムシ」からメタボを改善する成分 「痩せるホルモン」を促進
2018年05月23日
「ヒアリ」の早期発見のためのキットを開発 水際対策での効果に期待
2018年05月23日
「高血圧」の治療で伝わらない説明 コミュニケーションのズレは深刻
2018年05月23日
「遺伝子検査」で糖尿病リスクが分かる 日本人4700人超を調査
2018年05月22日
【書籍プレゼント】『集団分析・職場環境改善版 産業医・産業保健スタッフのための ストレスチェック実務Q&A』を5名様にプレゼント
2018年05月22日
食育の取り組みをエビデンスに基づいて整理、解説―農林水産省がパンフレット作成
2018年05月22日
【報告】産保PCのこれまで活動内容をポスター発表しました(第91回日本産業衛生学会)
2018年05月21日
「血糖トレンドの"読み方":AGP」を公開 血糖トレンドの情報ファイル
2018年05月17日
敗血症性AKIにおける急性腎障害マーカー L-FABPの可能性
2018年05月17日
【健やか21】パンフレット『「食育」ってどんないいことがあるの?』
2018年05月16日
体重コントロールを成功させるシンプルな方法 必要なことは1つだけ
2018年05月16日
SNSの「自殺防止相談」に月に1万件以上 「対策強化月間」に実施
2018年05月16日
早期のアルツハイマー病「軽度認知障害」 日本人対象の研究で解明
2018年05月16日
やせていても糖尿病に? 筋肉が少なく脂肪がたまると高血糖に
2018年05月16日
「睡眠障害」が高血圧・糖尿病に関連 日本で最大規模の研究
2018年05月16日
トマトのリコピンはニンニクやタマネギで調理すると吸収されやすくなる
2018年05月15日
6割強が食中毒予防で「肉は水で洗う」に効果があると誤解-東京都の実態調査
2018年05月11日
【新連載】イラストで魅せる!健康啓発「見せ方」の工夫
2018年05月10日
【健やか21】SNS等に起因する被害児童の現状と対策の掲載(警察庁)
2018年05月08日
元気高齢者を「介護サポーター」に 介護予防の観点から社会参加を促進
2018年05月08日
米国糖尿病学会「立ち上がって運動しようデー」 8つの対策で運動推進
2018年05月08日
「鰹だし」で抗がん剤の副作用を予防 血管を拡張する作用を確認
2018年05月08日
【投票企画】プルーンレシピコンテスト開催中! 栄養を効率よく吸収できる「食べ合わせ」
2018年05月07日
大豆から食べる「大豆ファースト」で食後の血糖値の急上昇を改善
2018年05月07日
従業員のいる飲食店は屋内禁煙に~東京都・受動喫煙防止条例の骨子案
2018年05月02日
新入社員の健康教育や女性の健康啓発に最適 「働く人のための健康づくりシリーズ」指導箋
2018年05月01日
健康イベント、健康教育のお土産に!!(腹囲メジャー)※在庫残り僅か※
2018年05月01日
休日の寝過ぎが体調不良の原因に 「社会的時差ぼけ」を解消
2018年05月01日
「がんとの共生を考える」へるすあっぷ21 5月号
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 7,145 人(2018年05月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶