ニュース

玄米の「オリザノール」が食べ過ぎを抑える 2型糖尿病やメタボを改善

 玄米に含まれる「γ-オリザノール」が、2型糖尿病やメタボリックシンドロームを改善することが、沖縄県の琉球大学の研究で発見された。「γ-オリザノール」を摂取しやすくした健康ドリンクも、産官学共同研究で開発された。
玄米が血糖値の上昇を抑制、体重も減少
 玄米は、稲の果実である籾から籾殻のみを取り除いたもの。これに対して、ふだんよく食べている精白米は、玄米からぬかと胚芽を取り除いて胚乳のみの状態にしたものだ。

 玄米は「完全食」と呼ばれるように、食物繊維やビタミンB群をはじめ、豊富な栄養成分が含まれている。近年では、低GI(グリセミック インデックス)食品としても注目される。

 沖縄県では古くから玄米が食べられており、玄米を食べ続けると血糖値の上昇が抑制されることは従来から知られていた。

 沖縄県のメタボリックシンドロームの人を対象に行われた研究では、玄米が食後の血糖値、インスリン値の上昇を抑えること、さらに、1日3食の主食を2ヵ月間玄米に替えることで、体重減少や糖・脂質代謝の改善、血管機能が改善することが明らかになった。

 研究では、玄米を食べはじめてから2ヵ月後には体重が平均2.7kg減少し、ウエスト周囲径も1.5cm減少することが示された。

 米国で行われた疫学研究でも、玄米が白米に比べ糖尿病の発症リスクを減少させることが報告されている。
玄米の有効成分が食欲を抑制 食べ過ぎを抑えられる
 琉球大学医学部第二内科の益崎裕章教授と、小塚智沙代氏らの研究チームは、玄米に含まれる成分「γ(ガンマ)-オリザノール」に、インスリンの分泌を促進し、血糖値を下げる効果があることを2012年に、世界ではじめて明らかにした。

 研究チームは、γ(ガンマ)-オリザノールが脳の中枢に作用し、食欲を抑えることを解明した。玄米を食べると、自然に食事の好みが変化し、食べ過ぎを抑えられるという。

 細胞小器官のひとつである小胞体は、「タンパク質の加工工場」と呼ばれており、さまざまなタンパク質の合成に関わっている。小胞体の中に役割を終えて不要になったタンパク質や、異常なタンパク質が蓄積すると、機能障害を起こすのが「小胞体ストレス」だ。

 マウスに高脂肪食を与えると、脳の視床下部で小胞体ストレスが起こり、摂食を抑制するホルモンである「レプチン」が効かなくなる状態(レプチン抵抗性)に陥る。

 研究チームは、マウスにγ-オリザノールを投与すると、視床下部の小胞体ストレスが抑制させ、通常食を好むようになることを確認した。γ-オリザノールにより、高脂肪食による血中レプチン値の上昇やレプチン抵抗性が改善する。
玄米の栄養素が糖尿病やメタボを改善、β細胞を保護
 γ-オリザノールには別の作用もある。γ-オリザノールは、体に吸収されにくい植物性ステロールであり、コレステロールの吸収を阻害する作用がある。そのため、食物と同時に摂取すると、消化管からの吸収がゆっくりになる。

 すると、脂肪細胞から分泌されるホルモンであるレプチンが効きやすくなり、脳の視床下部にある満腹中枢が刺激され、満腹感を感じやすくなる。これらの作用により、γ-オリザノールは食欲を抑制する働きをする。

 研究チームは、γ-オリザノールがインスリンを分泌するβ細胞の減少を抑え、回復する作用があることも世界ではじめて明らかにした。

 γ-オリザノールが小胞体ストレスを抑えβ細胞の細胞死を抑制し、インスリン分泌能を高める作用をするという。

 「人類が古来、慣れ親しんできた自然な食品の中に、健康的な食行動への回帰を促し、2型糖尿病やメタボリックシンドロームを改善する栄養素が豊富に含まれていることが発見できたことは画期的だ」と琉球大学の益崎教授は説明している。
玄米ドリンクを琉球大と福島の醸造会社が開発
玄米発酵飲料「玄米オリザーノ」
 γ-オリザノールを豊富に含むのは玄米に限られる。だが、毎日食べたいと思っても、特有の食感や匂いが苦手という人は少なくない。

 そうした人向けに、玄米のγ-オリザノールを利用した食品の開発も進められている。

 益崎教授らの研究成果を実用化した、玄米発酵飲料「玄米オリザーノ」が販売されている。人を対象とした臨床試験も行い、食欲を抑制する効果があり、肥満やメタボの抑制する効果があることが確認された。

 「玄米オリザーノ」は2013~15年に琉球大学と福島県ハイテクプラザ、会津天宝が産官学共同研究で開発。

 科学技術振興機構(JST)が、東日本大震災での被災地域の企業を支援するために、産学官の共同研究を進めている事業の成果だ。

 福島の醸造会社である「会津天宝」が、コラボレーションにより商品化に成功し、昨年8月に発売した。
腸内細菌の改善も 善玉菌が増え、悪玉菌が減る
 臨床試験には沖縄県健康づくり財団が協力した。同財団で健診を受けた人で食生活の改善が必要なメタボリック症候群の人に、玄米発酵飲料と、それと比べるための飲料(白米の甘酒)をそれぞれ1ヵ月ずつ飲んでもらい、比較した。

 その結果、「玄米オリザーノ」の摂取後は、「間食の回数」と「高脂肪食への嗜好」が有意に減っており、ファストフードを好まなくなるなど変化があった。

 腸内細菌の構成の変化についても調べたところ、ドリンクの摂取によりメタボや肥満を抑制する善玉菌の比率が増え、肥満を促進する悪玉菌が減っていることも分かった。

 商品は会津産玄米を原料としており、砂糖を使わないノンアルコールタイプ。自然な甘さの中に歯応えのある玄米の粒が適度に混じり、飲み物と食べ物の中間のような食感だ。農林水産省の本年度「フード・アクション・ニッポン・アワード」で優秀賞を受けた。

 1日3食のうち、1食の白米ごはんを「玄米オリザーノ」180gに置き換えることが推奨されている。

 価格は5個セットで3,350円。注文すれば全国に送付してくれる。会津天宝のウェブサイトで購入できるほか、フリーダイヤルでも受け付けられている。

 問い合わせは、会津天宝〔電話 0120-340-142(平日午前8時半~午後5時)〕まで。

琉球大学医学部第二内科
玄米オリザーノ(会津天宝)
[Terahata]

「栄養」に関するニュース

2017年12月14日
「腸内環境」を整えアンチエイジング 腸内細菌の多様性が長寿の秘訣
2017年12月14日
「ビワの種」に天然の有害物質 「食べないで」と農水省が注意喚起
2017年12月13日
「糖尿病のクリスマスプレゼント」実施中 豪華商品と現金が当たります
2017年12月11日
女性は健康維持にバランスの良い食事や歯磨き習慣-中高年者縦断調査
2017年12月07日
米を中心とした日本型食生活が健康寿命を延ばす 食育健康サミット2017
2017年12月07日
糖尿病と肥満が80万人のがんの原因に 肥満が原因のがんは54万例
2017年12月07日
長野市が「ベジライフ宣言」で糖尿病対策 野菜から食べ30回噛む
2017年11月30日
【くるみpro更新情報】クリスマスプレゼント付き資料請求実施中!
2017年11月29日
食塩の摂取量を減らすと医療費を削減できる 「減塩」の効果は大きい
2017年11月29日
高カフェインの「エナジードリンク」で健康被害が 摂取の制限を検討

最新ニュース

2017年12月14日
科学的根拠に基づく「産業保健における復職ガイダンス2017」を公開
2017年12月14日
「腸内環境」を整えアンチエイジング 腸内細菌の多様性が長寿の秘訣
2017年12月14日
糖尿病リスクを減らすためには「運動を継続」することが必要
2017年12月14日
加熱式たばこも血管には有害 血管内皮機能が低下 「iQOS」で実験
2017年12月14日
「ビワの種」に天然の有害物質 「食べないで」と農水省が注意喚起
2017年12月14日
【健やか21】学校の管理下の災害 (平成29年版)の発行について
2017年12月13日
「糖尿病のクリスマスプレゼント」実施中 豪華商品と現金が当たります
2017年12月12日
未成年者のインフルエンザ罹患後異常行動に具体的な注意喚起を追加
2017年12月11日
女性は健康維持にバランスの良い食事や歯磨き習慣-中高年者縦断調査
2017年12月08日
【健やか21】不育症治療の助成について(Fuiku-Faboフイクラボ)
2017年12月07日
冬のウォーキングの効果を高める5つの方法 寒い冬には注意が必要
2017年12月07日
米を中心とした日本型食生活が健康寿命を延ばす 食育健康サミット2017
2017年12月07日
糖尿病と肥満が80万人のがんの原因に 肥満が原因のがんは54万例
2017年12月07日
長野市が「ベジライフ宣言」で糖尿病対策 野菜から食べ30回噛む
2017年12月06日
【HAMIQ】認知症の社会的処方箋/おもいやり災害食認証制度
2017年12月04日
【新連載】超高齢社会への提言「エイジング・リテラシー」(有料老人ホーム入居支援センター)
2017年12月02日
浮世絵風のポスターなどでインフルエンザ予防を呼びかけ(東京都)
2017年12月01日
【健やか21】思春期アンケート「高校生の性交経験と生活環境・保健指導」
2017年12月01日
「新たな自殺総合対策に向けて」へるすあっぷ21 12月号
2017年11月30日
「心が健康な人」を増やす・支えていくことが産業保健師ならではのメンタルヘルス事業の心得【産保PC第3回レポート】
2017年11月30日
【くるみpro更新情報】クリスマスプレゼント付き資料請求実施中!
2017年11月30日
ママから笑顔がきえるとき―文京学院大が産後うつ予防リーフレット作成
2017年11月29日
食塩の摂取量を減らすと医療費を削減できる 「減塩」の効果は大きい
2017年11月29日
「ウォーキング」で重要なのは継続 少し歩いただけで健康効果を得られる
2017年11月29日
高カフェインの「エナジードリンク」で健康被害が 摂取の制限を検討
2017年11月29日
「早食い」が原因で肥満やメタボに よく噛んで食べるための6つの対策
2017年11月29日
糖尿病の男性は「ED」(勃起不全)のリスクが高い EDは治療できる
2017年11月28日
【新連載】がん患者さんのアピアランス・サポート (みなとアピアランス・サポート相談室)
2017年11月27日
【健やか21】産後うつ予防リーフレット・動画公開(文京学院大学)
2017年11月27日
【保健師募集】研修制度充実・人財育成に力を入れている鶯谷健診センター
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 6,681 人(2017年12月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶