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男女雇用機会均等法設立30年 ~『働く女性の実情』を公表

 厚生労働省が取りまとめた『平成27年版 働く女性の実情』が、このほど公表された。男女雇用機会均等法設立後30年、という節目の年にあたり、さまざまな角度から働く女性の環境がどう変わったかを検証している。

 『働く女性の実情』は、政府や研究機関などの統計調査から、働く女性の状況などを分析した報告書で、昭和28年から毎年、公表されている。平成27年度版では、昭和60年の男女雇用機会均等法設立後30年の節目にあたる年として、当時の働く女性の実情と比べ、環境の変化などについて言及している。

"M字カーブ"は上方へシフト、窪みもゆるやかに
 昭和60年と平成27年で女性の年齢階級別労働力率を比べた結果では、いずれも、いわゆる"M字カーブ"を描いている。しかし平成27年のカーブは昭和60年に比べて大幅に上方へ移動しており、窪みも浅くなっているのが特徴だ。

 例えば昭和60年は「25~29歳」で大きく減少に転ずるのに対し、平成27年は逆に80.3%まで増加。全体で見ても、最も多い働き手の年代となっている。

 またM字カーブの底となる「30~34歳」では、昭和60年と平成27年を比べると20.6ポイントも上昇している。なお平成20年から26年の調査では、M字カーブの底は「35~39歳」であった。これは晩婚化や第一子の平均出産年齢の上昇などが要因として考えられる。

25歳から44歳女性の就業率は7割超、最も多いのは「医療・福祉」
 総務省の「労働力調査」から、昭和60年と平成27年の女性の就業者数を比べれば、450万人増加している。特に25歳から44歳の女性の就業率は、昭和60年の56.5%から上昇傾向にあり、平成26年には初めて7割を突破。平成27年は71.6%となっている。

 女性雇用者数を産業別に見ると、昭和60年に最多だったのは「サービス業」で、次いで「製造業」、「卸売・小売業・飲食店」の順だった。一方で平成27年は、「医療、福祉」が最も多く、次いで「卸売業、小売業」、「製造業」の順となっている。最も多い「医療、福祉」では雇用者に占める女性の割合が77.0%にも上った。

役職に就く女性の増加、男女間の賃金格差解消など働く"質"も改善
 同様に雇用形態を見ると、平成27年の女性雇用者は「正規の職員・従業員」(役員を除く)は1,043万人で、昭和60年に比べて49万人の増加。「非正規の職員・従業員」については1,345万人で、同875万人も大幅に増えた。非正規のうち最も多いのは「パート・アルバイト」で、一貫して増加を示している。

 一方、役職者に占める女性の割合では、昭和60年と平成27年を比べると、「係長級以上(部長級・課長級・係長級)」が2.5%から11.9%に上昇した。

 男女間の賃金格差を見てみると、男性を100.0とした場合の女性の所定内給与額は、昭和60年は59.6だったのに対し、平成27年は72.2となり格差は縮小している。

 このように30年間のうちに、働く女性を取り巻く状況は大きく変化している。労働力率の上昇や雇用者数の増加だけでなく、役職者の割合や賃金の男女間格差解消など、質的な面でも改善が見られるのは望ましい傾向である。

 一方で、就職を希望しながらも働き口のない女性の数は約300万人にのぼり、第一子の出産前後に約6割の女性が離職する、という現状もある。

 そのうえで『働く女性の実情』では、

・男女雇用機会均等法の制定から30年を経て女性活躍推進法が成立・施行し、女性活躍推進は新たなステージに入ったと言えるが、今後は、各企業の女性活躍推進法に基づく取組が実効あるものとなるよう支援等を進めていくとともに、男女雇用機会均等法等既存の法律についても着実な履行確保を図っていく必要がある

・特に、女性活躍推進法の成立により、女性の活躍推進に向けた動きはかつてないほど多くの分野で力強く進められているが、こうした活動が一過性のものでなく、継続的かつ新たなステージにふさわしく有意義に展開されることが重要な課題である

 などと結んでいる。

厚生労働省 報道発表「平成27年版 働く女性の実情」を公表します
[yoshioka]
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