ニュース

子どもの肥満予防に必要な条件は? 生活スタイル改善は早いほど良い

 朝食の欠食や、不規則な睡眠パターンが、子どもの肥満や過体重の増加の要因となっている。子どもの肥満の増加に生活スタイルや環境といった因子が大きく影響しており、生活スタイル改善の介入は早ければ早いほど良いことが明らかになった。
朝食を食べない子、就寝時間が不規則な子は肥満になりやすい
 子どもの肥満の増加の原因は高カロリーの食品の食べ過ぎだけではなく、生活スタイルや環境といった因子が大きく影響していることを、英国のユニバーシティ カレッジ ロンドン(UCL)の研究チームが明らかにした。

 「英国ミレニアムコホート研究」は、2000年に出生した約1万9,000人の子どもを追跡して調査している大規模研究だ。研究チームは、コホート研究に参加した2000年9月~2002年1月に生まれた1万9,244世帯の子ども健康状態や成長の記録を調査した。

 子どもの肥満は発育期・成長期に特有なものである可能性がある。したがって、成人の肥満治療で行われるような食事制限は、成長期の子どもには適用できない。そこで研究チームは、子どもの年齢ごとの肥満度の「変化のパターン」に着目し、心理的、社会的な影響についても調べた。

 具体的には、研究グループは、子どもが3、5、7、11歳時の身長と体重からBMI(体格指数)の変化のパターンを解析した。肥満や過体重ではなくBMIに「変化なし」と判定された子どもは83.8%、中等度の増加と判定された子どもは13.1%、過剰な増加と判定された子どもは2.5%だった。

 解析した結果、子どもが肥満や過体重になるリスクは、朝食を食べない子は食べている子に比べ、BMIの中等度の増加は1.66倍に、過剰な増加は1.76倍にそれぞれ上昇した。

 就寝時間が不規則な子の場合、決まった時間に寝る子に比べ、中等度のBMIの増加は1.22倍に、過剰な増加は1.55倍にそれぞれ上昇した。さらに、母親が妊娠中に喫煙していた場合、していない場合に比べて、中等度のBMIの増加は1.17倍に、過剰な増加は1.97倍にそれぞれ上昇した。

 高カロリーの清涼飲料やお菓子、テレビ視聴、スポーツへの参加は、不健康な体重増加の予測因子にならないことも判明した。
生活スタイル改善の介入は早ければ早いほど良い
 「高カロリーの食品の食べ過ぎだけが肥満や過体重の原因ではなく、睡眠パターンが不規則であったり、朝食を食べなかったりなど、生活スタイルの乱れが子どもの健やかな成長を妨げていることが示されました」と、UCL公衆衛生学部のイボンヌ ケリー教授は言う。

 子どもの睡眠パターンが不規則で、朝食を食べないと、食欲が亢進し、日中に高カロリーの食品を食べたくなり、結果として体重増加につながるおそれがある。

 母親が肥満や過体重であると、子どもも太りやすいことが知られている。これは、遺伝因子が影響しているだけでなく、肥満になりやすい生活スタイルが共通しているからだ。子どもの肥満を改善するには、親の生活習慣を改善する介入も必要になる。

 子どもの生活指導は、食事内容だけでなく、生活全般の要因に注意を向けて、BMIの増加につながりやすい習慣を改めることが重要だ。「このことは子どもだけでなく、成人にも当てはまることです」と、ケリー教授は言う。

 「肥満になりやすい生活スタイルや環境などの因子は、子どものうちに、あるいは母親の妊娠中に始まっている可能性があります。生活スタイル改善の介入は早ければ早いほど良く、若いうちに行動を起こして健康的な生活を身に付ければ、それが生涯にわたって影響をもたらします」と、ケリー教授は言う。

 また、朝食を抜いたり、睡眠パターンが不規則な子どもは、肥満や過体重になりやすいだけでなく、情緒が不安定で、幸福感を得にくく、自分の身体に対する満足度や自尊心を得にくい傾向があることも判明した。さらに肥満の子どもは、成長してからアルコールやたばこに手を出す割合が高かった。

 「不健康な生活スタイルはBMIの過剰な上昇に大きく影響しており、子どもにとって心理的にも社会的にも不健康な状態を招いてしまうおそれがあります。しかし、これらの因子は、健康的な生活をおくることで改善が可能です」と、ケリー教授は指摘している。

Skipping breakfast and not enough sleep can make children overweight(ユニバーシティ カレッジ ロンドン 2016年11月11日)
BMI Development and Early Adolescent Psychosocial Well-Being: UK Millennium Cohort Study(Pediatrics 2016年11月)
[Terahata]

「健診・検診」に関するニュース

2019年03月22日
2017年度 特定健診の実施率は53.1%、特定保健指導の終了者は19.5% 目標との隔たり埋まらず
2019年03月20日
運動は若さを保つための最善の策 40歳以降は筋肉を増やす運動が必要
2019年03月20日
糖尿病リスクはBMIが22以上から上昇 若い頃からの体重管理が重要 順天堂大学
2019年03月20日
保健指導と介護予防を一体的に実施 フレイル対策を強化 厚労省が方針
2019年03月20日
うつ病の発症原因は「仕事の不満足」 回復では「職場ストレス」が重要 職場でのヘルスマネジメント戦略
2019年03月20日
長時間労働が心筋梗塞リスクを1.6倍に上昇 日本人1.5万人を20年調査
2019年03月20日
歯周病がCOPDの引き金に 歯周病の人は発症リスクが4倍に上昇
2019年03月19日
地域保健・健康増進事業報告①~母子保健など「地域保健事業」の概要
2019年03月13日
「睡眠負債」は週末の寝だめでは解消できない 睡眠を改善するための6ヵ条
2019年03月13日
認知症リスクは糖尿病予備群の段階で上昇 体と心を活発に動かして予防

最新ニュース

2019年03月22日
2017年度 特定健診の実施率は53.1%、特定保健指導の終了者は19.5% 目標との隔たり埋まらず
2019年03月22日
【健やか21】春本番、自転車の思わぬ事故に注意! ~安全のために知っておきたいポイント~
2019年03月20日
運動は若さを保つための最善の策 40歳以降は筋肉を増やす運動が必要
2019年03月20日
糖尿病リスクはBMIが22以上から上昇 若い頃からの体重管理が重要 順天堂大学
2019年03月20日
保健指導と介護予防を一体的に実施 フレイル対策を強化 厚労省が方針
2019年03月20日
うつ病の発症原因は「仕事の不満足」 回復では「職場ストレス」が重要 職場でのヘルスマネジメント戦略
2019年03月20日
長時間労働が心筋梗塞リスクを1.6倍に上昇 日本人1.5万人を20年調査
2019年03月20日
歯周病がCOPDの引き金に 歯周病の人は発症リスクが4倍に上昇
2019年03月19日
地域保健・健康増進事業報告①~母子保健など「地域保健事業」の概要
2019年03月14日
【健やか21】募集開始!周産期メンタルヘルスと児童虐待予防セミナー
2019年03月14日
保健師の職業紹介番組を放映(テレビ神奈川、3/17)
2019年03月14日
「産業保健プロフェッショナルカンファレス」主催者変更のお知らせ
2019年03月13日
「睡眠負債」は週末の寝だめでは解消できない 睡眠を改善するための6ヵ条
2019年03月13日
認知症リスクは糖尿病予備群の段階で上昇 体と心を活発に動かして予防
2019年03月13日
【新連載】LGBTについて、学校保健分野・地域保健分野・産業保健分野で考える
2019年03月13日
994万人が高血圧 脂質異常症は221万人 糖尿病は過去最多の329万人 【2017年患者調査】
2019年03月13日
日本人妊婦で「静脈血栓塞栓症」が増えている 女性でも珍しいくない病気に エコチル調査
2019年03月13日
高齢者の多くが複数の病気を併発 医療費と介護費が増加 保健指導が必要
2019年03月12日
アルコールががんや生活習慣病を引き起こす「少酒の勧め」 動画を公開
2019年03月12日
【参加申込受付中】産業保健師会 2019年度 第1回研修会「産業保健師活動のあり方の本質に迫る―今どきの職場不適応の背景とその対応―」
2019年03月08日
睡眠に不満がある人は9割超―求められる十分な睡眠時間と質の高い眠り
2019年03月07日
【取材】多職種連携でも必要な「保健師の技術の可視化」を考える【平成30年度 日本保健師連絡協議会】
2019年03月07日
【健やか21】世界自閉症啓発デー2019(4/6東京) 参加申込み受付中
2019年03月06日
太っていなくても糖尿病やメタボに 日本人は少しの体脂肪増加や運動不足で異常が
2019年03月06日
糖質に着目した「1:1:1お弁当ダイエット法」 主食・主菜・副菜を最適に
2019年03月06日
大阪府が「健活10」を開始 健康寿命の延伸と健康格差の縮小が目標 1人ひとりの主体的な健康づくりを促す
2019年03月06日
認知症の発症を血液検査で予測 100%の的中率で判別に成功 長寿研
2019年03月06日
幼児の脳の発達に親の励ましが大きく影響 離婚は子のメンタルヘルスに影響
2019年03月06日
【書籍紹介】「増補新訂 医療機関における産業保健活動ハンドブック」※19年3月31日まで割引サービス中!
2019年03月05日
「どうする? 新入社員の健康支援」へるすあっぷ21 3月号
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 7,762 人(2018年12月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶