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緑色の葉物野菜を毎日食べると認知能力の衰えを抑えられる
2018年01月11日
年齢を重ねるにつれて認知能力は自然に衰えていくが、緑色の葉物野菜を毎日食べていると、記憶力と思考能力の低下を抑えられる可能性があるという調査結果を、米国のラッシュ大学医療センターが発表した。
葉物野菜を食べると認知能力の衰えを抑えられる
「ホウレンソウやキャベツ、レタスなどの葉菜類を毎日の食事に取り入れることが、脳の健康を促進するための効果的な方法となる可能性があります。先進国では社会の高齢化が進み、認知症が急激に増えています。認知症を予防するための効果的な戦略が求められています」と、ラッシュ大学医療センターのマーサ クレア モリス氏は言う。
研究では、緑色の葉物野菜を1日に1回以上食べている人は、ほとんど食べない人に比べ、記憶力と思考能力のテストで低下率が低く、認知能力では最大で11歳の差が生じることが明らかになった。
「ラッシュ大学・メモリ・エイジング・プロジェクト」は、退職した高齢者が住むシカゴ地区の公営住宅コミュニティで実施されている、生活スタイルと認知能力の関連を調べている大規模な研究だ。今回の調査は、このプロジェクトに参加している58~99歳の高齢者960人を対象に、平均4.7年間追跡して行われた。
葉物野菜を食べている人は脳の年齢が11歳若い
参加者は、食事内容に関するアンケート調査に回答し、ホウレンソウやレタス、ケールなどの葉物野菜を毎日どれだけ食べているかを申告した。同時に認知能力を評価するテストを毎年受けた。
研究チームは、葉物野菜の摂取量に応じて参加者を5つのグループに分け、もっとも多く食べた人(1日に150g以上)、ほとんど食べない人(1日に10g程度)の、認知能力の推移を比較した。
年齢を重ねるにつれ、参加者の認知能力は低下していく傾向がみられたが、葉物野菜をもっとも多く食べている人は、ほとんど食べない人に比べ、認知能力の低下が抑えられていた。葉物野菜を多く食べている人では、年数にすると11歳に相当する差が生じていた。
魚介類やアルコールの摂取、喫煙、高血圧、糖尿病、肥満、身体活動や認知活動など、脳の健康状態に影響するさまざまな因子を考慮しても、葉物野菜を食べることで認知能力の衰えを抑えられる傾向は明らかだった。
研究は米国神経科学アカデミーが発行している医学誌「Neurology」に発表された。
葉菜類を食べることと脳の老化の抑制に関連が
ホウレンソウやキャベツ、レタス、ケール、コラードグリーン、コマツナ、ハクサイ、ミズナ、チンゲンサイなどの葉物野菜には、ビタミンK(フィロキノン)、ビタミンE(α-トコフェロール)、ルテイン、β-カロチン、葉酸、フラボノイドの一種であるケンペロールなどの、抗酸化作用のある栄養素が豊富に含まれる。
認知症のひとつであるアルツハイマー症の原因は、加齢により脳の中にアミロイドβやタウといった不要なタンパクが蓄積することだと考えられている。葉物野菜に含まれるビタミンやポリフェノールなどの抗酸化作用によって、細胞が活性酸素から守られ、アミロイドβなどが蓄積し脳に広がるのを防げる可能性がある。これらの栄養素は、活性酸素によって引き起こされる慢性炎症を抑えるのにも効果的だ。
「緑色の葉菜類には体に有用な栄養素が多く含まれます。今回の研究では、どのようなメカニズムで脳の老化を抑えられるのか特定できていません。しかし、葉菜類を食べることと脳の老化の抑制に関連があることは明らかです」と、モリス氏は言う。
認知症の予防効果のある「マインド ダイエット」
認知症を予防するための食事スタイルは糖尿病や肥満にも効果的
「マインド ダイエット」では、▽葉菜類(キャベツ・ホウレンソウ・レタス・ケール・コマツナ・ハクサイなど)、▽根菜類(ニンジン・トマト・ブロッコリー・カブ・ゴボウなど)、▽豆類(大豆・インゲン・グリーンピースなど)、▽全粒穀物(小麦の全粒粉や玄米など)などを十分に食べることが勧められている。
今回の研究で、葉菜類を食べることが、高齢になっても認知能力が低下しないようにするために効果的であることが裏付けられた。
認知症を予防するための食事スタイルは、糖尿病や肥満を予防・改善するための食事療法と共通する部分が多い。糖尿病や高血圧、肥満などを改善することが、認知症の予防にも役立ちそうだ。
Daily Leafy Greens May Slow Cognitive Decline(ラッシュ大学 2017年12月20日)Nutrients and bioactives in green leafy vegetables and cognitive decline Prospective study(Neurology 2017年12月20日)
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