ニュース
「特定保健指導」を受けると医療費が2割安く 全ての年齢階級で有意差
2018年01月11日
40歳以上向けの「特定健診」を受診し、糖尿病など生活習慣病のリスクが高いと判定された人のうち、3ヵ月以上の「特定保健指導」を受けた人は、受けなかった人に比べ、医療費が2割安くなることが、全国健康保険協会(協会けんぽ)の約26万人の調査で判明した。
最大の保険者である協会けんぽの調査で、特定保健指導に効果があることが明らかになったが、実施率は2割以下だという。今後は医療費適正化のため指導強化が求められる。
最大の保険者である協会けんぽの調査で、特定保健指導に効果があることが明らかになったが、実施率は2割以下だという。今後は医療費適正化のため指導強化が求められる。
「保険者機能強化アクションプラン(第3期)」が進行中
「協会けんぽ」は、総人口の29%に相当する約3,800万人の加入者と、約200万の事業所からなる日本最大の医療保険者で、主に中小企業で働くサラリーマンとその家族の医療を保障している。
協会けんぽでは、3か年の中期的な計画である「保険者機能強化アクションプラン(第3期)」にもとづき、医療の質や効率性の向上、加入者の健康度を高めること、医療費の適正化の3つの目標を掲げ、保険者機能の強化に取り組んでいる。
調査では、2011年度~2014年度の4年間継続して協会に加入した40~72歳(2012年度末時点)の被保険者約570万人を対象に、2012年度健診保健指導データをもとに「保健指導利用者・未利用者(積極的・動機づけ)」「特定保健指導対象者・非対象者」「健診受診者・未受診者」に分類した。
レセプトデータは、2011~26年度の入院外レセプトおよび調剤レセプトのうち、糖尿病・脂質異常症・高血圧症関連の傷病名コードの記載があり、かつ、これらに関連する医薬品コードの記載があるレセプトを対象とし、各群の1人当たり入院外医療費の差を性・年齢階級・年度別に比較した。
特定保健指導対象の男性では7,001円の医療費の差が
その結果、積極的支援および動機づけ支援を受けた男女は、ほとんどの年齢階級で、未利用者より利用者の1人当たり医療費が低かった。
積極的支援の男性では全ての年齢階級で有意差がみられ、2014年度の全年齢階級計(40~64歳)の1人当たり医療費の差は、年齢調整後で約3,790円だった。積極的支援の女性でも同様の傾向がみられ、1人当たり医療費の差は、年齢調整後で約4,500円だった。


特定保健指導の実施率は2割以下 指導強化が求められる
積極的支援および動機づけ支援では、保健指導に参加することで生活習慣が改善し治療の必要性が低くなり、医療費の伸びが抑制されたと考えられる。健診受診者・未受診者では、未受診者は協会けんぽからの介入がほとんどないのに対して、受診者はリスク保有者へ保健指導の案内などの介入があるため、生活習慣などの改善のきっかけとなり医療費の伸びが抑制された。
特定保健指導に効果があることが明らかになったが、実施率は2割以下だという。今後は医療費適正化のため指導強化が求められる。
また、特定保健指導の対象者と非対象者では、対象者の1人当たり医療費が非対象者と比べて高く、特に若い年代で顕著なことから、協会けんぽでは「若い時から特定保健指導の対象者とならないよう自己管理を行うことも、医療費適正化の観点から重要」と述べている。
全国健康保険協会(協会けんぽ)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2022 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「特定保健指導」に関するニュース
- 2021年12月21日
- 特定健診・保健指導の効果を10年間のNDBで検証 体重や血糖値が減少し一定の効果 ただし体重減少は5年後には減弱
- 2021年12月21日
- 【子宮頸がん】ワクチン接種を受けられなかった女性へのキャッチアップが必要 子宮頸がん検診で異常率が上昇
- 2021年12月21日
- 肥満や糖尿病の人ではFGF21の抗肥満作用が低下 朝食抜き・毎日飲酒・喫煙といった生活スタイルが影響
- 2021年12月21日
- 【申込開始】今注目のナッジ理論、感染症に関する教材が新登場!遠隔指導ツールも新作追加! 保健指導・健康事業用「教材・備品カタログ2022年版」
- 2021年12月20日
- 牛乳を毎日コップ1杯飲んでいる女性は脳卒中のリスクが低下 牛乳に血圧を下げる効果が?
- 2021年12月20日
- 「住環境」は健康増進にも影響 「断熱と暖房」が血圧や住宅内での活動量に寄与 足元が暖かいことも大切
- 2021年12月13日
- 早食いは肥満や体重増加につながる ゆっくり味わってよく噛んで食べるとエネルギー消費量を増やせる
- 2021年12月13日
- 【新型コロナ】子供の心の実態調査 食事を食べられなくなる「神経性やせ症」の子供がコロナ禍で増加
- 2021年12月13日
- 【新型コロナ】ファイザーのワクチンの3回目接種はオミクロン株にも効く? 抗体価は半分に減るものの2回接種より25倍に増加
- 2021年12月13日
- 【新型コロナ】日本人はなぜ感染・死者数が少ない? 風邪でつくられた免疫が新型コロナにも有効に働いている可能性 理研
最新ニュース
- 2022年06月30日
- コロナ下での食育の取り組みなどを解説 食育推進のため啓発リーフレット作成 令和3年度「食育白書」を公表
- 2022年06月30日
- 令和3年の労働災害発生状況は死亡・死傷者共に増加 中期計画での目標達成は困難に
- 2022年06月27日
- ペットは健康に有用? ペットの飼い主の95%が「ストレス解消に役立つ」 脳の健康にも良い影響
- 2022年06月27日
- 東日本大震災後の高齢者のフレイルを調査 習慣的に運動をすることが低栄養リスクを下げる
- 2022年06月27日
- 日本人高齢者の認知機能は向上している 認知機能障害が減少 国立長寿医療研究センター
~保健指導・健康事業用 教材~
-
アイテム数は3,000以上! 保健指導マーケットは、健診・保健指導に役立つ教材・備品などを取り揃えたオンラインストアです。 保健指導マーケットへ