ニュース
肥満やメタボは女性にとっても深刻 若い頃に肥満だった女性は心筋梗塞や脳卒中のリスクが上昇 野菜を食べるとリスクは減少
2024年06月17日

肥満のある50歳未満の人が、肥満を解消しないで10年間生活していると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなることが、大規模な調査で明らかになった。
若い頃に過体重や肥満だった女性は、55歳までに脳卒中のリスクが高くなるという調査結果も発表された。
肥満や過体重を改善するために、野菜を食べることが重要であることが、日本人を対象とした大規模な調査で明らかになっている。
野菜をよく食べている女性は、心血管疾患のリスクが減少した。
若いうちから肥満や過体重に対策することが必要
肥満のある50歳未満の人が、肥満を解消しないで10年間生活していると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなることが、大規模な調査で明らかになった。詳細は、6月に開催された米国内分泌学会学術集会(ENDO 2024)で発表された。 「すべての年齢の人は、過体重や肥満があると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが上昇することが知られています」と、ブリガム アンド ウィメンズ病院およびハーバード大学で内分泌代謝や糖尿病の研究をしているアレクサンダー ターチンは言う。 「今回の研究で、とくに肥満のある65歳未満の男性と50歳未満の女性では、10年間に心筋梗塞や脳卒中のリスクが25~60%上昇することが示されました」。 「肥満や過体重に、若いうちから対策する必要があります。早ければ早いほど健康改善の効果を期待できます」としている。 研究グループは、看護師健康調査(NHS)と医療従事者追跡調査(HPFS)のデータを使用し、包括的な解析を行った。 10年間(1990~1999年)にBMI(体格指数)が25以上であることが1回以上確認された男性 2万7,239人、女性 10万9,259人を対象に、2020年まで約20年間追跡して調査した。対象者の調査開始時の平均年齢は48.6歳、BMIの平均は27.2だった。 このうち、6,862人が動脈硬化性の心血管疾患を、3,587人が2型糖尿病を発症し、1万2,048件の心血管イベントが発生したことが明らかになった。若い頃に肥満だった女性は年齢を重ねると脳卒中のリスクが上昇
肥満や過体重のもたらす健康への影響は、とくに男性で深刻で、女性では男性に比べて影響が少ないと思われがちだが、10代や若い頃に過体重や肥満だった女性は、やはり55歳までに脳卒中のリスクが高くなるという、気になる別の調査結果を米国心臓学会(AHA)が発表した。 AHAによると、虚血性脳卒中はもっとも多くみられるタイプの脳卒中で、脳に血液を供給する血管が閉塞して、脳に十分な血液と酸素が供給されなくなることで起こる。 フィンランドで実施された研究で、14歳の時点で太りすぎだった女性は、31歳までに体重を減らしても、年齢を重ねると血栓性の脳卒中のリスクが高くなることが示された。男性ではこうした傾向はみられなかった。 14歳の時点で肥満だった女性は、血栓性の脳卒中あるいは軽度の脳卒中を発症する可能性が87%高く、31歳の時点で肥満だった女性は、脳卒中を発症する可能性が167%高いことが分かった。 研究グループは、大規模調査である北フィンランド出生コホートに参加した1万491人を対象に調査した。うち5,185人が女性だった。調査は1966年に開始され、対象者は現在は50代になっている。 参加者の20人に1人が血栓による脳卒中、あるいは一過性脳虚血発作(TIA、ミニ脳卒中とも呼ばれる)を発症した。 「過体重や肥満は、たとえ一時的なものであったとしても、長期的に健康に大きな影響を与える可能性があります」と、オウル大学人口健康研究ユニットのウルスラ ミッコラ氏は言う。 「過体重や肥満のある人に保健指導を実施して、食事や運動などの健康的な生活スタイルを身につけてもらう必要があります」。 「とくに若い人は、肥満に対して偏見をもちやすい傾向がみられます。誤解や偏見を抱くことなく、生活改善に取り組んでもらうのが大切です」と、ミッコラ氏は付け加えている。肥満や過体重を改善するために何が必要?
野菜をよく食べている女性は心血管疾患のリスクが減少

野菜をよく食べている女性は死亡リスクが減少
女性の野菜摂取と全死亡・原因別死亡の関連
女性の野菜摂取と全死亡・原因別死亡の関連

出典:国立がん研究センター、2024年
Women with excess weight as a teen or young adult may have higher stroke risk by age 55 (米国心臓学会 2024年6月6日)
Overweight in Adolescence and Young Adulthood in Association With Adult Cerebrovascular Disease: The NFBC1966 Study (Stroke 2024年6月6日)
多目的コホート研究(JPHC Study) 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
Associations Between Changes in Fruit and Vegetable Consumption and Weight Change in Japanese Adults(European Journal of Nutrition 2020年4月6日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「特定保健指導」に関するニュース
- 2025年07月28日
- 日本の「インターバル速歩」が世界で話題に 早歩きとゆっくり歩きを交互に メンタルヘルスも改善
- 2025年07月28日
- 肥満と糖尿病への積極的な対策を呼びかけ 中国の成人男性の半数が肥満・過体重 体重を減らしてリスク軽減
- 2025年07月28日
- 1日7000歩のウォーキングが肥満・がん・認知症・うつ病のリスクを大幅減少 完璧じゃなくて良い理由
- 2025年07月28日
- 【妊産婦を支援】妊娠時に頼れる人の数が産後うつを軽減 妊婦を支える社会環境とメンタルヘルスを調査
- 2025年07月22日
- 【大人の食育】企業や食品事業者などの取り組み事例を紹介 官民の連携・協働も必要 大人の食育プラットフォームを立ち上げ
- 2025年07月22日
- 高齢者の社会参加を促すには「得より損」 ナッジを活用し関心を2倍に引き上げ 低コストで広く展開でき効果も高い 健康長寿医療センター
- 2025年07月18日
- 日本人労働者の3人に1人が仕事に影響する健康問題を経験 腰痛やメンタルヘルスなどが要因 働きながら生産性低下を防ぐ対策が必要
- 2025年07月18日
- 「サルコペニア」のリスクは40代から上昇 4つの方法で予防・改善 筋肉の減少を簡単に知る方法も
- 2025年07月14日
- 適度なアルコール摂取は健康的? 大量飲酒の習慣は悪影響をもたらす お酒との良い関係
- 2025年07月14日
- 暑い夏の運動は涼しい夕方や夜に ウォーキングなどの運動を夜に行うと睡眠の質は低下?