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「緑茶」を飲んでいる人は心臓病・脳卒中・認知症のリスクが低下 歯周病の予防・改善にも有用

 日本の緑茶に、糖尿病や肥満をはじめとする、さまざまな病気の予防・改善効果があることは、さまざまな研究で示されている。

 緑茶を毎日飲む人は、心臓病や脳卒中などで死亡するリスクが低い傾向があることが、9万人超を対象とした大規模な調査で示されている。

 緑茶などを飲む習慣は、脳の健康に良く、認知症の予防効果を期待できるという研究も発表されている。

 さらに緑茶でうがいをすると、歯周炎の原因となる細菌を減らせるという研究や、緑茶を飲む習慣のある高齢者は、歯が多く残っているという調査結果も発表された。

緑茶を飲んでいる人は心臓病や脳卒中のリスクが低下

 緑茶に、肥満・2型糖尿病・心臓病・脳卒中・認知症などの予防・改善効果があることは、世界のさまざまな研究で明らかにされている。

 緑茶を毎日飲む人では、心臓病や脳卒中などで死亡するリスクが低い傾向があることが、国立がん研究センターなどが実施している多目的コホート研究「JPHC研究」で示されている。

 研究グループは、日本に在住している40~69歳の男女9万914人を対象に、18.7年間追跡して調査した。

 その結果、緑茶を1日に3~4杯飲んでいたグループは、ほとんど飲まないグループに比べ、心臓病の死亡リスクは男性で26%、女性でも26%低下した。脳卒中などの死亡リスクも男性で29%、女性で14%低下した。

緑茶を飲む習慣には認知症の予防効果も

 緑茶やウーロン茶などを飲む習慣は、脳の健康にも良く、認知症の予防効果を期待できるという研究も発表されている。研究は、シンガポール国立大学が、英国のエセックス大学やケンブリッジ大学と共同で行ったもの。

 研究チームは2015~2018年に、36人の高齢者の脳を調べ、脳の各部の生理学的な活性を磁気共鳴画像(MRI)などの脳イメージングで解析。健康や生活習慣、心理的幸福に関する調査も行った。

 その結果、緑茶やウーロン茶を週に4回以上飲む習慣のある人は、加齢にともない増える脳組織の障害から保護されている可能性があることが示された。

 お茶の茶葉には多くの生理活性物質が含まれており、これらが抗炎症作用や抗酸化作用を働き、血管損傷や神経変性から脳を保護している可能性があるという。

 緑茶に含まれる栄養素のうち、数多くの生理作用が報告されているのが、渋味成分であるカテキン類だ。

 カテキンには抗酸化作用があり、とくに緑茶に多く含まれる「エピガロカテキンガレート(EGCG)」は、抗酸化力が強いと注目されている。緑茶には、グルタミン酸、テアニン、アルギニンなどの旨味成分となるアミノ酸も含まれている。

緑茶は歯周病の予防・改善にも有用

抹茶でうがいをすると歯周病の予防・改善に

 緑茶でうがいをすると、歯周炎の原因となる細菌を減らせるという研究を、米国微生物学会(ASM)が発表した。

 研究は、日本の国立感染症研究所や日本大学などによるもので、緑茶(抹茶)の抽出物が、歯周炎の原因菌の増殖を抑え、口腔の細胞への付着を減らす可能性があることが分かった。

 歯周病は、細菌のかたまりである「プラーク」(歯垢)にひそむ歯周病菌が、歯茎や歯を支える骨に炎症を起こすことで発症する。歯周病は、歯を失う原因の1位になっているだけでなく、糖尿病や心血管疾患、がん、リウマチなどとも関連しているという。

 研究グループはまず、唾液に含まれ、歯周炎を引き起こす原因菌であるポルフィロモナス ジンジバリスが増えるのを、抹茶が抑えることを実験で確かめた。

 さらに、歯周炎のある45人の患者を対象に臨床研究を実施し、抹茶でうがいをした人の唾液サンプル中で、この菌の数が大幅に減少することを確認した。

 研究グループは患者を、(1) 麦茶のうがい薬を投与するグループ、(2) 抹茶の抽出物から作ったうがい薬を投与するグループ、(3)炎症を抑える成分であるアズレンスルホン酸ナトリウムを含むうがい薬を投与するグループに、ランダムに割り付けた。

 その結果、抹茶のうがい薬を投与したグループは、歯周炎の原因菌が減ることが示された。「抹茶は、歯周炎の予防と治療に臨床応用できる可能性があります」と、研究者は述べている。

緑茶を飲む習慣のある人は残っている歯が多い

 緑茶を飲む習慣のある高齢者は、歯が多いという調査結果を、東北大学も発表している。2万4,147人の高齢者を対象に実施した調査で明らかになったもの。

 緑茶には、カテキンやフッ化物(フッ素)が含まれ、むし歯や歯周病を予防して歯の喪失を減らす可能性があるとしている。

 研究は、日本老年学的評価研究(JAGES)プロジェクトの一環として実施されたもので、研究グループは、日本の要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者を対象に調査を実施した。

 その結果、緑茶を飲む頻度が高い習慣と、現在の歯数が多いことのあいだに関連がみられた。緑茶を1日に4杯以上飲む高齢者は、飲まない高齢者に比べ、歯が約1.6本多く残っていた。

 さらに、1か月に10人以上の友人に会う高齢者は、友人に会わない高齢者に比べ、歯が約2.6本多く残っていた。

 日本では緑茶は、誰かに会ったときに飲まれることが多い。ソーシャルネットワークが豊かな人ほど、健康情報を得やすいなど、歯を失うリスクが低くなる可能性がこれまで報告されている。

 「緑茶を飲む頻度が高いことと現在歯数が多いことのあいだに関連がみられ、とくに1ヵ月に会う友人・知人の数が少ない高齢者は、歯を失うリスクが高いことが示されました」と、研究者は述べている。

 新型コロナの感染拡大により、友人・知人に会う機会が減った時期があり、とくにそうした人で緑茶の効果は期待できるとしている。

Association of green tea consumption with mortality due to all causes and major causes of death in a Japanese population: the Japan Public Health Center-based Prospective Study (JPHC Study) (Annals of Epidemiology 2015年7月)
Drinking tea may improve brain health(シンガポール国立大学 2019年9月12日)
Habitual tea drinking modulates brain efficiency: evidence from brain connectivity evaluation(Aging 2019年6月14日)
Matcha Mouthwash Inhibits Bacteria That Causes Periodontitis (米国微生物学会 2024年5月21日)
Multimodal inhibitory effect of matcha on Porphyromonas gingivalis (Microbiology Spectrum 2024年5月21日)
東北大学大学院歯学研究科 歯学イノベーションリエゾンセンター
Is the Association between Green Tea Consumption and the Number of Remaining Teeth Affected by Social Networks?: A Cross-Sectional Study from the Japan Gerontological Evaluation Study Project (International Journal of Environmental Research and Public Health 2020年3月20日)
[Terahata]
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