ニュース

乳製品の乳清タンパク質「ホエイプロテイン」が肥満や糖尿病のリスクを低下 食後の血糖上昇を抑制

 牛乳やヨーグルトなどの乳製品に含まれる乳清タンパク質の「ホエイプロテイン」に、肥満や2型糖尿病のリスクを低下する機能性があるという研究が発表された。
ホエイプロテインにさまざまな機能性が
 牛乳やヨーグルトなどの乳製品に含まれる乳清タンパク質の「ホエイプロテイン」は、乳酸菌発酵液のことで、ヨーグルトやチーズを作るときにできる副産物だ。

 ホエイプロテインにはさまざまな食品機能性があると注目されている。米国のカリフォルニア大学の研究によると、2型糖尿病患者が乳製品からホエイプロテインを摂取すると、食後の血糖値の上昇を抑えられるという。

 研究成果は「BMJ Open Diabetes Research & Care」に掲載された。
ホエイプロテインがGLP-1の分泌を刺激
 研究グループは、食事療法またはメトホルミン単剤療法を受けている2型糖尿病患者22人(年齢57.1歳)を対象に、二重盲検比較対照試験を行った。

 参加者を、ホエイプロテイン21gを朝食前と夕食前に摂取する群と、摂取しない群に分け、2週間続けてもらった。さらに、間隔をおいて両群の食事内容を変えて、さらに2週間続けてもらった。

 期間中に、持続血糖モニター(CGM)で、参加者の皮下のグルコース濃度を測定し、血糖の変動を調べた。

 その結果、食事前にホエイプロテインを摂取することで、インスリン分泌を刺激する消化管ホルモン(インクレチン)であるGLP-1の分泌が刺激され、食後の血糖値の上昇を抑えやすくなることが分かった。

 また、ホエイプロテインは胃から産生され食欲を増進させるホルモンである「グレリン」を抑制し、満腹感を得やすくなることも示された。中性脂肪値も改善し、肥満を改善しやすくなることも分かった。

 なお、ホエイプロテインが含まれるサプリメントでは、こうした効果を確認できなかった。
肥満や2型糖尿病の予防に役立つ可能性
 さらに、ホエイプロテインについての新たな知見を東北大学が発表した。研究は、東北大学未来科学技術共同研究センター野々垣勝則教授らによるもの。研究成果は科学誌「Scientific Reports」に発表された。

 マウスを用いた実験で、ホエイプロテインが、主に腸から分泌されるホルモンである「セロトニン」の分泌を抑制し、肝臓から分泌されるホルモンである「FGF21」の分泌を抑制することで、肥満や2型糖尿病の発症の予防に役立つ可能性があることが明らかになった。

 肝臓から分泌されるホルモンである「FGF21」は、血糖を下げるインスリンの感受性を高めるホルモンで、肥満や2型糖尿病の人では血中「FGF21」の濃度が増加することが知られている。

 東北大学の研究グループは今回の研究で、マウスに高脂肪食を与えると、肥満や2型糖尿病になる前に、早期から血中の「FGF21」の濃度が増加することを解明した。
インスリン抵抗性を改善し、高血糖を抑制
 また、主に腸から分泌されるホルモンである「セロトニン」の分泌を遺伝子工学的に抑制させたマウスでは、肝臓からの「FGF21」の分泌が低下することを確かめた。

 さらに、高脂肪食とともに乳清タンパク質のホエイプロテインをマウスに投与すると、高脂肪食による「セロトニン」と「FGF21」の分泌が抑えられ、インスリン抵抗性と高血糖が改善することを発見した。

 これらから、ホエイプロテインは、「セロトニン」分泌を抑制し、「FGF21」分泌を抑制することで、インスリン抵抗性を改善し、高血糖を抑制することが示唆された。
臨床試験が期待される
 牛乳やヨーグルトなどに含まれる乳清タンパク質であるホエイプロテインを摂取することで、不健康な食事が原因で発症する2型糖尿病を予防・改善できる可能性がある。

 また、「FGF21」は肥満や2型糖尿病の発症を促す食習慣を反映するバイオマーカーとしての役割が期待されるという。

 ホエイプロテインのついての研究はまだ結論が出ていないが、その機能性に対する期待は大きい。今後さらに研究が発展することが期待されている。

マウスに高脂肪食を与えると、肥満や2型糖尿病になる前に、
早期から血中の「FGF21」の濃度が増加する

出典:東北大学、2020年

Large Whey Protein Breakfast May Help Manage Type 2 Diabetes(米国内分泌学会 2016年4月2日)
Glucose-lowering effect of whey protein depends upon clinical characteristics of patients with type 2 diabetes(BMJ Open Diabetes Research & Care 2017年9月1日)
東北大学未来科学技術共同研究センター
Whey protein isolate inhibits hepatic FGF21 production, which precedes weight gain, hyperinsulinemia and hyperglycemia in mice fed a high-fat diet(Scientific Reports 2020年9月25日)
[Terahata]

「健診・検診」に関するニュース

2021年01月28日
【オピニオン新連載】行動科学に基づいた保健指導スキルアップ~対象者の行動変容を促すには?~
2021年01月26日
【新型コロナ】接触確認アプリ「COCOA」がコロナ禍の心理的ストレスを減らす? 企業従業員の心の健康をどう守るか
2021年01月26日
スマホの運動アプリで1日の歩数を2000歩増やせる 新型コロナをきっかけに、運動への関心は世界中で拡大
2021年01月26日
「脂肪肝」が手遅れになる前にスマホで早期発見 病気と認識してきちんと対策 「脂肪肝プロジェクト」を始動
2021年01月26日
人工知能(AI)を活用して大腸がんを高精度に発見 医師とAIが一体となり、がん検査の見逃しをなくす
2021年01月25日
「内臓脂肪」と「腸内細菌」の関係を解明 肥満の人で足りない菌とは? 腸内細菌のバランスが肥満やメタボに影響
2021年01月25日
コレステロール高値で高尿酸血症のリスクが上昇 メタボリックシンドロームと高尿酸血症の関連に新たな知見
2021年01月19日
【新型コロナ】「自然」の豊かな環境でストレスを解消 心の元気を保つために「行動の活性化」を
2021年01月18日
「和食」が健康にもたらすメリットは多い 5割が「健康に良い」、8割以上は「和食が好き」
2021年01月18日
冬の「ヒートショック」を防ぐ6つの対策 急激な温度変化は体にとって負担 血圧変動や脱水に注意
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 10,484 人(2021年02月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 2.7%
  • 保健師 44.8%
  • 看護師 10.8%
  • 管理栄養士・栄養士 19.8%
  • その他 22%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶