ニュース

【社会生活基本調査】男性の家事・育児などの時間は過去最長 でも女性はその4倍に 「男性中心型社会」からの脱却が必要

 総務省の2021年度「社会生活基本調査」で、男性の暮らしは変わりつつあり、家事・育児などにあてる時間は過去最長の1時間54分となったことが明らかになった。

 しかし、女性の家事関連時間は7時間28分で、男性の3.9倍以上に上る。男性の家事・育児の参画時間が増えているものの、女性に比べるとかなり短いことが浮き彫りになった。
 総務省は、2021年度「社会生活基本調査」の結果を公表した。調査は、国民の暮らしぶりを5年ごとに調べているもので、その成果は、高齢社会対策、少子化対策、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進、男女共同参画社会の形成など、社会生活に関する施策に役立てられる。

 今回は、2021年10月に実施し、全国の約7,600調査区の10歳以上の世帯員約19万人を対象とした。

男性の家事・育児の時間は1時間54分に増加 でも女性はその3.9倍以上

 内閣府は、男女共同参画基本計画に「男性中心型労働慣行の変革」を組み込み、男性の家事・育児などへの参画の重要性について啓発している。

 男性も家事・育児を行うことは、子供にも良い影響をあたえるとして、育児休業を取得したいと考えている男性は増えている。しかし、日本は諸外国に比べ、男性の家事・育児の参画時間がまだまだ短い。

 今回の調査でも、男性の暮らしは変わりつつあり、家事・育児などにあてる時間は増えているものの、それでも女性の家事・育児などの時間に比べるとかなり短いことが浮き彫りになった。

 6歳未満の子供がいる世帯では、週全体の男性の家事関連時間は、5年前の調査に比べて31分増え、1時間54分となった。1976年の調査開始以来、もっとも長くなった。

 しかし、女性の家事関連時間は6分減ったものの、7時間28分となり、男性の3.9倍以上に上ることも明らかになった。

6歳未満の子供をもつ男性・女性の家事関連時間の推移(2001年~2021年)

6歳未満の子供をもつ男性・女性の家事・育児の時間の推移(2001年~2021年)

出典:2021年度「社会生活基本調査」

男性の家事への参画は少し増加 なおも男女で分担の偏りが

 家事関連時間は、家事や育児のほか、介護や看護、買い物なども含まれる。全年代では、男性が5年前に比べて7分増の51分、女性が4分減の3時間24分だった。

 家事や育児に限ってみると、6歳未満の子供がいる世帯で、週全体の男性の家事時間は13分増えて30分。育児時間は16分増えて1時間5分となり、はじめて1時間を超えた。一方、女性は家事時間が9分減り2時間58分に、育児時間は9分増え3時間54分になった。

 このように、男性の家事への参画が少し増えた分、調理済み食品や時短家電などの普及もあり、女性は家事時間が減っている傾向がみられる。女性はその分、育児に力を入れている可能性がある。

 家事・育児の分担の偏りは、少子化の要因のひとつであり、女性の社会進出をはばむ壁にもなっている。男性は仕事、女性は家庭という、「男性中心型社会」からの脱却が求められているが、数字のうえでは男性と女性の差はなおも大きい。

 10月には、男性が育休をより柔軟にとりやすくする「産後パパ育休」が創設される。男性の家事・育児などへの参画の良いきっかけにしたい。

コロナ禍でテレワークを実施した人は6.7%

 その他、仕事時間は5年前に比べて男女ともに減った。男性は5年前に比べ22分減って6時間27分、女性は5分減って4時間42分だった。男性の仕事時間は女性より1時間45分長い。

 働いている人の仕事時間を雇用形態別にみると、「正規の職員・従業員」は26分減り6時間43分、「正規の職員・従業員以外」は14分減り4時間5分となった。

 コロナ禍でテレワーク(在宅勤務)を実施した人は全体の6.7%だった。テレワークをしていた人は、していない人に比べ、通勤・通学時間が1時間3分短くなった。一方、睡眠は18分、趣味・娯楽の時間は16分、仕事の時間は13分、それぞれ長くなった。

コロナ禍で「旅行・行楽」を経験した人は大幅減少

 また、コロナ禍により家で過ごす時間が長くなったことが、さまざまに影響していることも浮き彫りになった。

 20年前から減少傾向にあった1日の睡眠時間は、14分増の7時間54分だった。休養・くつろぎの時間も、20分増加の1時間57分になった。

 一方、過去1年間に「旅行・行楽」を経験した人は49.5%で、5年前から24ポイント減と大幅に減少した。自由時間での行動も、カラオケに行ったという人の割合は17.2ポイント減の13.5%に、遊園地や動植物園、水族館は14.8ポイント減の19.0%になった。

 スマートフォンなどを含めたゲームを楽しんだ人は7.1ポイント増の42.9%に、スマホなどでの音楽鑑賞は4.5ポイント増の53.5%になった。

スポーツ・運動をしている人も減少 若い世代の減少が目立つ

 スポーツ・運動をしている人の割合は66.5%で、5年前より2.3ポイント減った。男性が69.9%(3.6ポイント減)、女性が63.3%(1.1ポイント減)。 とくに、25~29歳で4.1ポイント減、35~39歳で4.3ポイント減となり、若い世代の減少が目立つ。

 スポーツの種類別で行動者率をみると、「ウォーキング・軽い体操」が3.0ポイント増の44.3%、「サイクリング」が0.3ポイント増の8.2%となった一方で、「器具を使ったトレーニング」「ジョギング・マラソン」「登山・ハイキング」「水泳」など、ほとんどのスポーツで数値は低下している。

 その他の生活行動についてみると、「学習・自己啓発・訓練」の行動者率は39.6%で、5年前より2.7ポイント増となり、70~74歳を除くすべての年齢階級で上昇している。

 男女別では、男性は「パソコンなどの情報処理」の行動者率が20.1%ともっとも高く、女性は「家政・家事」の行動者率が17.7%ともっとも高かった。

男女の行動の種類別生活時間(2016年、2021年)
仕事時間は減少傾向

出典:2021年度「社会生活基本調査」

令和3年社会生活基本調査 (総務省統計局)
内閣府男女共同参画局
[Terahata]
side_メルマガバナー

「特定保健指導」に関するニュース

2025年02月25日
【国際女性デー】女性と男性はストレスに対する反応が違う メンタルヘルス対策では性差も考慮したアプローチを
2025年02月25日
【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
2025年02月25日
ストレスは「脂肪肝」のリスクを高める 肥満やメタボとも関連 孤独や社会的孤立も高リスク
2025年02月25日
緑茶を飲むと脂肪肝リスクが軽減 緑茶が脂肪燃焼を高める? 茶カテキンは新型コロナの予防にも役立つ可能性が
2025年02月17日
働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
2025年02月17日
肥満やメタボの人に「不規則な生活」はなぜNG? 概日リズムが乱れて食べすぎに 太陽光を浴びて体内時計をリセット
2025年02月17日
中年期にウォーキングなどの運動を習慣にして認知症を予防 運動を50歳前にはじめると脳の健康を高められる
2025年02月17日
高齢になっても働き続けるのは心身の健康に良いと多くの人が実感 高齢者のウェルビーイングを高める施策
2025年02月12日
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より
2025年02月10日
【Web講演会を公開】毎年2月は「全国生活習慣病予防月間」
2025年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶