ニュース

運動を続ければ肌が若返る 20歳の肌を保つことも可能

 年齢とともに気になる肌の衰え。個人差はあるが、40歳を超えると肌のくすみ、シミ、シワ、たるみなどが気になってくる。しかし、「運動を続けていれば、肌を健康的に若く保てる」ことが研究で明らかになった。運動のアンチエイジング効果は絶大で、年齢が進んでから運動を始めても、肌の衰えを回復できるという。
運動習慣のある人は20~30歳の肌をキープ
 この研究は、カナダのマクマスター大学のマーク ターノポルスキー教授(小児科学)らによるもの。米国医師会が主催したスポーツ医学会年次集会で発表された。

 研究チームは、まずマウスによる実験を行った。マウスを2つのグループに分け、回転ホイールのあるケージと、ないケージに入れて、どのような変化が起こるかを観察した。

 すると、ホイールを使い運動をしたマウスは健康で、毛もふさふさしており変色も少なかった。一方、運動をしなかったマウスの多くは肥満になり、毛が抜けたり変色が目立つようになった。

 研究チームは、マウスの実験をヒントにして、次に20~84歳の男女29人を対象に、3ヵ月におよぶ実験を行った。

 参加者の半数に中程度から活発な運動を週に180分以上行ってもらい、残りの半数には運動を週に60分未満に制限した。

 運動の内容は、活発なウォーキングや自転車こぎなどの有酸素運動を、1回30分週に6回行うというものだった。最大心拍数の65%以上を維持するよう、運動の強度を調整した。

 そして参加者の肌の違いを比較するため、紫外線の影響の少ないお尻の皮膚をサンプルとして採取し、生体組織検査を行った。

 皮膚の状態は年齢によって変わっていく。高齢の参加者の多くは、研究の開始時には表皮層が厚くなっており、真皮層は薄くなっていた。

 しかし、運動を続けた人は、男女ともに角質層はより健康的になり、真皮層は厚くなり、みずみずしい肌を保っていることが判明した。効果的に運動を行っていた人では、年齢が65歳以上であっても、肌は20~30歳の人に近い状態になっていた。一方、運動をあまりしなかった参加者は、肌の状態に変化はなかった。

65歳過ぎから運動をはじめてもアンチエイジング効果を得られる
 皮膚は、「表皮層」、「真皮層」、「皮下組織」の大きく3層に分かれており、うち90%以上を真皮層が占めている。表皮層の基底では絶えず細胞が分裂しており、新しく生まれた細胞は上へ押し上げられる。

 古くなった細胞は「角質層」に押し上げられて、最後にはアカとなってはがれ落ちていく。このサイクルがスムーズであれば、肌は常に健康で、ハリのあるみずみずしい状態を保つことができる。

 角質層が不健康であると、肌の透明感が失われる。また、真皮層が薄くなると、肌の弾力が失われてシワやたるみの原因となる。

 運動を続けた人の肌は明らかに若返っていた。「研究結果を誇大に宣伝しているわけではないが、顕微鏡で見ると、運動習慣のある人の肌は違っていました」と、ターノポルスキー教授は言う。

 最後の実験として、運動をしなかった65歳以上の被験者に運動をはじめてもらい、再び皮膚をサンプルとして採取し生体組織検査を行った。

 3ヵ月後、彼らの皮膚の表皮層と真皮層ともに肌年齢が若返っていた。この実験で、老齢になってから運動を始めても、肌の若返り効果が期待できることが示された。

 運動が肌の老化を食い止める仕組みは不明だが、研究者は筋肉が分泌する「マイオカイン」と呼ばれる物質が関与していると考えている。今回の研究では、運動をしたあとで「IL-15」を呼ばれるマイオカインの血中濃度が上昇していることが判明した。

 女性にとって基礎化粧品やメイクアップなどに費用がかかるは悩みの種だが、「ウォーキングにはお金はかかりません。運動によって健康になるだけでなく、肌も若返ります」と、ターノポルスキー教授は述べている。

Why the fountain of youth might taste very salty(マクマスター大学 2014年4月22日)

[Terahata]
side_メルマガバナー

「禁煙」に関するニュース

2023年08月07日
【がん予防の経済効果】 がんのリスク要因を減らして1兆円超の経済的負担を軽減 生活スタイルや環境の改善が重要
2023年06月26日
「高齢社会白書」2023年版を発表 高齢者の社会参加が健康や生きがいを生み出す 各地の取組みも紹介 内閣府
2023年06月26日
職場のストレスを早期発見 従業員のキーボードやマウスの操作からストレスを判定 職場の環境改善につなげる
2023年06月19日
運動をする習慣がストレスによる高血圧を防ぐ 運動習慣が脳の炎症反応を抑制 メカニズムを解明
2023年06月06日
「受動喫煙」の対策強化は十分に知られていない 非喫煙者の7割は「知らない」 国立がん研究センターが意識調査
2023年06月05日
高齢者は働き続けた方が健康的? 仕事を続けると心臓病リスクはむしろ高いという意外な結果に
2023年05月29日
肥満やメタボは心にも傷跡を残す 肥満の人はメンタル不調になりやすい 保健指導では心理面にも配慮
2023年05月22日
30代や40代で高血圧になると70代になって認知症リスクが上昇 若いうちから「健康への投資」を
2023年05月18日
さんぽセンター利用の5割以上「健診結果の措置に関する説明力が向上」
-『令和4年度産業保健活動総合支援事業アウトカム調査報告書』-
2023年05月15日
【新型コロナ】肥満やメタボが増加しがん検診の受診率も低下 「健康意識は高まった」との指摘も
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶