ニュース

乳がん予防でも食事が大切 乳がんリスクを効果的に下げる方法

 乳がんは、米国では年間に約23万人が発症する深刻な病気だ。日本でも年間に約5万人が乳がんと診断されており、女性のがんの第1位になっている。ほとんどの女性にとって、食生活を見直し、健康的な食事をとることが、乳がんの予防につながる。

 乳がんの危険度を下げるために効果的な方法が、いくつか分かっている。そのひとつは肥満の解消だ。肥満は閉経後の女性では乳がん発症リスクを確実に高める。肥満は、がん以外でも、さまざまな生活習慣病の原因のひとつだ。日常生活で太りすぎないように気をつけたい。
肥満は乳がんの危険性を高める 体重を5%減らし対策
 肥満の目安として体格指数(BMI)が使われることが多い。BMIは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」という式で求められる。日本ではBMIが25以上であると、肥満と判定される。閉経後の女性では、BMIが高いと乳がんの発症が増えることが、多くの調査で確かめられている。

 米国で約120万人の成人男女が参加した「がん予防研究II(Cancer Prevention Study II)」が行われている。米国がん学会のディレクターであるミア・ガウデット博士らは、研究に参加した女性約3万人のデータを分析した。

 その結果、ウエストサイズが10cm増えるごとに、乳がんの発症率は13%ずつ上昇することが判明した。また、BMIが1ポイント増えるごとに、乳がんの発症率は4%ずつ上昇していた。

 乳がんは、女性ホルモンであるエストロゲンの影響を受けて増殖する。閉経後は、卵巣からのエストロゲンの分泌は少なくなるが、副腎で分泌されるホルモンが、脂肪細胞でエストロゲンに変換される。そのため、脂肪細胞の多い肥満の女性の体内では、やせた女性よりも多くエストロゲンが作られる。

 乳がんは、内臓脂肪がたまりウエストサイズが大きくなる「りんご体型」の女性では、乳がんや心臓病、2型糖尿病などの発症が増える。今回の研究では、体型に関わらず、BMIが高くなると乳がんの発症が増えることが分かった。

 「BMIが30を超えている女性は、エストロゲンが多くなっている可能性が高く、乳がんを発症する危険性が上昇しています。過体重や肥満の人は、体重の5~10%を減らすことで、がんになる危険性を下げることができます」と、ガウデット博士はアドバイスしている。

飽和脂肪酸を摂りすぎない 脂身の多い肉に注意
 脂身の多い肉(ばら肉、鶏皮など)やチーズ、バターなどに多く含まれる「飽和脂肪酸」を食べ過ぎると、乳がんの発症は増える。飽和脂肪酸は加工食品にも多く含まれる。これらの食品を食べ過ぎないように、注意した方が良い。

 ミラノにある国立がん研究所のサビナ シエリ氏らは、欧州10ヵ国の20~70歳の女性約37万を、平均11.5年間追跡して調査した。飽和脂肪酸をもっとも多く摂取していた女性(1日に47.5g)では、もっとも少なかった女性(15.4g)に比べ、乳がんの発症率が28%高かった。

 飽和脂肪酸は、体内に摂取されるとエストロゲン受容体と結合し、乳がん細胞が増える原因になる。「食事で摂取する飽和脂肪酸の量が、総カロリーの10%を超えないようにすることをお勧めします」と、シエリ氏は話す。1日の摂取カロリーが2,000kcalの女性では、飽和脂肪酸を200kcal未満に抑えることが必要だという。

大豆食品を食べると乳がん発症リスクが低下
 大豆に含まれる「イソフラボン」という成分は、女性ホルモンであるエストロゲンによく似た構造をしている。乳がんはエストロゲンの作用で活発に増殖するので、「大豆イソフラボンを多く取ることで乳がん発症リスクが高くなるのではないか」という心配がよく聞かれる。

 実際にはエストロゲンは、豆腐や納豆、みそ汁などに多く含まれる。これらの食品を多く食べると、乳がんが増えるという研究結果はない。むしろ、乳がんの発症が減ることが確かめられている。

 そこで、国立がん研究センターなどを中心に行われている大規模研究「JPHC研究」では、欧米と日本の食習慣の違いに着目し、大豆食品の摂取が乳がん発症リスクを低下させる可能性について調べた。

 日本人女性を対象にした研究では、毎日みそ汁を「3杯以上」取る人は「1杯以下」しか取らない人に比べ、乳がん発症リスクが約4割低くなることが分かった。また、大豆食品を毎日食べる女性では、乳がん発症リスクが約2割低くなっていた。

 日本人女性でも乳がん発症率が急速に高くなっているのは、食生活の西洋化が影響していると考えられている。大豆食品は、良質のタンパク質源であり、カルシウムの供給源としても優れている。日々の食事の中で上手に取り入れたい食品だ。

魚の脂肪酸を摂取すると乳がんのリスクが低下
 マグロ、サンマ、サバ、イワシなどの魚に含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸(n-3脂肪酸)の摂取量が増えると、乳がんリスクが低下することが、中国の浙江大学の研究で明らかになった。

 研究チームは、88万人以上を対象とした21件の乳がんに関する大規模研究を扱った論文を解析した。

 その結果、n-3脂肪酸を多く摂っていた女性では、乳がんの発症率が14%低下していた。もっともリスクが低下したのはアジア女性であり、これはふだんの摂取量が欧米人に比べて多いためであろうとしている。1日のn-3脂肪酸の摂取量が0.1g増加するごとに、乳がんリスクは5%低下することも判明した。これは脂肪の多い魚を1週間に1~2食分食べることに相当する。

 日本で行われた大規模研究「JACC研究」でも同様な結果が出ている。研究チームは、全国の40~79歳の男女約12万人を対象に、魚の摂取と乳がんに関して調査した。その結果、魚からn-3脂肪酸を多く摂っていた女性では、乳がんの発症率が半分に低下していた。

 日本では、伝統的な和食を取り入れた食事スタイルが減りつつあり、魚の摂取量も減少傾向にある。がんや糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を予防するためにも、魚を食事に取り入れたいものだ。

Body Mass Index associated with breast cancer, regardless of body shape(米国がん学会 2014年4月16日)
Consuming a high-fat diet is associated with increased risk of certain types of BC(国立がん研究所 2014年4月9日)

[Terahata]

「がん」に関するニュース

2017年10月18日
脳の健康を保つための「ライフ シンプル 7」 認知症は予防できる
2017年10月04日
10月は「乳がん啓発月間」 定期的なマンモグラフィ検診は効果的
2017年09月27日
日本の糖尿病有病者は1000万人超 予備群は減少 国民健康・栄養調査
2017年09月27日
AI(人工知能)が自治体の保健指導を提案 医療費減へ 筑波大など共同開発
2017年09月14日
「職域におけるがん検診に対するガイドライン」 精度管理が課題
2017年09月07日
がん経験者の年収は20%減少 医療費と生活費が心配 サポートが必要
2017年08月31日
福岡市の「健康先進都市戦略」 人生100年を見据えた新戦略「福岡100」
2017年08月22日
認知症の3分の1は予防できる 予防するための4つの生活スタイル
2017年08月21日
【健康啓発4コマ漫画】サンプル公開中「クーラー病」「痛風リスク」
2017年08月21日
9月は健康増進普及月間 ~生活習慣改善を啓発

最新ニュース

2017年10月19日
【追加募集決定!】「糖をはかる日」クッキングセミナー
2017年10月19日
賞金5万円「全国生活習慣病予防月間2018」川柳とイラストを募集
2017年10月18日
「買物弱者」問題は深刻 700万人に増加 対策事業の半数以上が赤字
2017年10月18日
脳の健康を保つための「ライフ シンプル 7」 認知症は予防できる
2017年10月18日
結婚生活が安定すると男性の肥満や健康状態は改善 夫婦仲が健康に影響
2017年10月18日
心・脳血管疾患に注意 3人に1人が「発症前に知っていたら」と後悔
2017年10月18日
1回の採血で「4年以内の糖尿病発症リスク」を判定 アミノ酸バランスに着目
2017年10月18日
在宅介護高齢者の4人に1人が睡眠薬を使用 ケアマネジャー「見直し必要」
2017年10月17日
【アンケート協力のお願い】第3期特定健診・特定保健指導の改正内容について(保健指導従事者実態調査)
2017年10月17日
【生活習慣病予防月間2018】インスタグラムキャンペーン 「少食ごはん」 募集中!
2017年10月16日
【HAMIQ】医療機関・介護機関の皆様へ~会員募集中~
2017年10月13日
【連載更新】高齢者の外出、移動の問題を考える No.3
2017年10月12日
30代後半女性の体力が最低に 高齢者は過去最高 体力・運動能力調査
2017年10月12日
「薬剤耐性」(AMR)問題を知ろう AMR対策アクションプランで啓発を開始
2017年10月12日
【健やか21】孫育てのススメ(祖父母手帳)の発行(鳥取県)
2017年10月12日
禁煙治療のアプリを開発 空白期間をフォロー 日本初の治験を開始
2017年10月12日
妊娠中うつ症状の発症に食事パターンが影響 「日本型」では発症が少ない
2017年10月11日
厚労省が過労死等防止対策白書を公表~現状や調査研究結果を報告
2017年10月06日
「血糖値スパイク」を食事と運動で改善 「糖をはかる日」講演会(1)
2017年10月06日
「血糖値スパイク」を薬物療法で改善 「糖をはかる日」講演会(2)
2017年10月06日
【健やか21】0歳児身長が伸びやすい季節は夏(育児ビッグデータ解析より)
2017年10月05日
【連載更新】心とからだにかかわる専門職の人材育成/スーパー売り場での気づきから開業保健師へ
2017年10月04日
10月は「乳がん啓発月間」 定期的なマンモグラフィ検診は効果的
2017年10月03日
妻が肥満だと夫は糖尿病になりやすい 家族対象の保健指導が効果的
2017年10月03日
「低カロリー食」で老化を防げて寿命も延びる 腹八分目で若返ろう
2017年10月03日
うつ病のリスクは魚を食べると減少 「n-3系脂肪酸」の予防効果
2017年10月03日
医療費抑制 27%が「患者の負担増」に理解 65歳以上でも3割 健保連調査
2017年10月03日
スニーカー通勤でウォーキング スポーツ庁「FUN+WALK PROJECT」
2017年10月03日
「AMR対策いきまぁーす!」―厚労省がガンダムとコラボし啓発活動を実施
2017年10月02日
【患者さん向け】「糖をはかる日」クッキングセミナー2017 参加者募集開始!!
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 6,501 人(2017年10月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶