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睡眠不足は脳の老化を早める 睡眠の時間と質を高める工夫が必要
2014年08月14日

睡眠時間が短く、質が低下していると、脳の認知機能の低下につながるという研究が発表された。高齢者で増えている認知症を防ぐために、睡眠の時間と質を改善することが必要となる。
年齢とともに睡眠は変化する。高齢者では一般的に睡眠が浅くなり、中途覚醒や早朝覚醒が増える。睡眠の障害を感じている人の割合は、全体の平均では5人に1人程度だが、高齢者では3人に1人に増加するという調査結果が発表されている。 睡眠障害の主な症状は、「夜中に何度も目覚める」、「布団に入ってはいるが目覚めている時間が長い」など。睡眠は生活スタイルを改善するだけで、質を高めることができる。睡眠の質を改善するための対策が必要だ。 睡眠時間が短いと、アルツハイマー病などの認知症の発症が増えることが知られている。アジア人を対象に行われた調査によると、睡眠時間が1時間短いと、認知機能は0.67%低下するという。
睡眠時間が短いと脳が縮んでいく
シンガポール国立大学医科大学院のジュン ロー氏らは、睡眠時間が短い高齢者では脳の老化が早いという研究結果を発表した。
研究チームは、55歳以上の健康な中国系シンガポール人66人(平均年齢67歳)を対象に、睡眠と認知機能の関連を調べる研究を行った。2005年から研究をはじめ、2年ごとに脳や認知機能の検査、睡眠時間と睡眠の質についてのアンケートなどを行った。
被験者にMRI(核磁気共鳴画像)検査も行った。MRI検査を行うと、脳出血・脳梗塞・脳腫瘍などの病気を発見できるのに加え、脳の中の構造や老化の程度を調べることができる。
その結果、睡眠時間が1時間短いと、脳内にできる隙間が1年ごとに0.59%拡大し、脳が縮んでいくことが判明した。さらに、認知機能は1年ごとに0.67%低下することが明らかになった。
「睡眠時間が短いと、脳の老化や認知機能の低下に影響することが分かりました。認知機能の低下は、アルツハイマー病などの認知症の発症にもつながります」と、ロー氏は述べている。
睡眠の質が認知能力の低下に影響
認知脳機能の低下には、睡眠の時間だけでなく、質も影響するという研究を、米カリフォルニア太平洋医療センター研究所が発表した。
研究チームは、2,822人の男性(平均76歳)を対象に、腕時計型の活動量計を用いて、平均5晩にわたって睡眠データを収集した。さらに、参加者に認知機能を評価するテストも行った。
その結果、睡眠の質が低いと、実行機能が有意に低下するリスクが40?50%高まることが判明した。実行機能とは、計画、意思決定、間違いの修正、問題解決、抽象的思考などの能力のことだ。
「歳をとると、認知能力の低下が起こりやすいのですが、睡眠の質が影響することが明らかになりました。認知機能の低下を防ぐためには、質の高い睡眠を確保することが大切です」と、研究者は述べている。
睡眠に必要な時間は平均すると7時間ほど。睡眠と健康の関連を調査している専門家によれば、十分な睡眠時間を保ち、質を高めるために、次の生活スタイルが役立つという。

Poor sleep quality linked to cognitive decline in older men(米国睡眠医学会 2014年3月31日)
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