ニュース

睡眠不足は脳の老化を早める 睡眠の時間と質を高める工夫が必要

 睡眠時間が短く、質が低下していると、脳の認知機能の低下につながるという研究が発表された。高齢者で増えている認知症を防ぐために、睡眠の時間と質を改善することが必要となる。

 年齢とともに睡眠は変化する。高齢者では一般的に睡眠が浅くなり、中途覚醒や早朝覚醒が増える。睡眠の障害を感じている人の割合は、全体の平均では5人に1人程度だが、高齢者では3人に1人に増加するという調査結果が発表されている。

 睡眠障害の主な症状は、「夜中に何度も目覚める」、「布団に入ってはいるが目覚めている時間が長い」など。睡眠は生活スタイルを改善するだけで、質を高めることができる。睡眠の質を改善するための対策が必要だ。

 睡眠時間が短いと、アルツハイマー病などの認知症の発症が増えることが知られている。アジア人を対象に行われた調査によると、睡眠時間が1時間短いと、認知機能は0.67%低下するという。

睡眠時間が短いと脳が縮んでいく
 シンガポール国立大学医科大学院のジュン ロー氏らは、睡眠時間が短い高齢者では脳の老化が早いという研究結果を発表した。

 研究チームは、55歳以上の健康な中国系シンガポール人66人(平均年齢67歳)を対象に、睡眠と認知機能の関連を調べる研究を行った。2005年から研究をはじめ、2年ごとに脳や認知機能の検査、睡眠時間と睡眠の質についてのアンケートなどを行った。

 被験者にMRI(核磁気共鳴画像)検査も行った。MRI検査を行うと、脳出血・脳梗塞・脳腫瘍などの病気を発見できるのに加え、脳の中の構造や老化の程度を調べることができる。

 その結果、睡眠時間が1時間短いと、脳内にできる隙間が1年ごとに0.59%拡大し、脳が縮んでいくことが判明した。さらに、認知機能は1年ごとに0.67%低下することが明らかになった。

 「睡眠時間が短いと、脳の老化や認知機能の低下に影響することが分かりました。認知機能の低下は、アルツハイマー病などの認知症の発症にもつながります」と、ロー氏は述べている。

睡眠の質が認知能力の低下に影響
 認知脳機能の低下には、睡眠の時間だけでなく、質も影響するという研究を、米カリフォルニア太平洋医療センター研究所が発表した。

 研究チームは、2,822人の男性(平均76歳)を対象に、腕時計型の活動量計を用いて、平均5晩にわたって睡眠データを収集した。さらに、参加者に認知機能を評価するテストも行った。

 その結果、睡眠の質が低いと、実行機能が有意に低下するリスクが40?50%高まることが判明した。実行機能とは、計画、意思決定、間違いの修正、問題解決、抽象的思考などの能力のことだ。

 「歳をとると、認知能力の低下が起こりやすいのですが、睡眠の質が影響することが明らかになりました。認知機能の低下を防ぐためには、質の高い睡眠を確保することが大切です」と、研究者は述べている。

 睡眠に必要な時間は平均すると7時間ほど。睡眠と健康の関連を調査している専門家によれば、十分な睡眠時間を保ち、質を高めるために、次の生活スタイルが役立つという。

Short sleep, aging brain(シンガポール国立大学医科大学院 2014年7月2日)
Poor sleep quality linked to cognitive decline in older men(米国睡眠医学会 2014年3月31日)
[Terahata]

「メンタルヘルス」に関するニュース

2019年01月22日
認知機能の低下を評価するための血液バイオマーカーを発見 認知症を早期発見して対策 筑波大学
2019年01月16日
慢性腎臓病(CKD)対策 透析を防ぐために「睡眠」の改善が必要 大阪大
2019年01月16日
産後うつと関連して対児愛着が悪くなる 母親を早期支援し「ボンディング障害」を予防
2019年01月15日
アルコール依存症の飲酒量を低減する薬が登場 飲酒の1~2時間前に服用
2019年01月08日
がん終末期患者の3割が「苦痛あり」 介護など家族の負担も大きい 国立がん研究センター調査
2018年12月26日
連休の夜更かし朝寝坊が体調不良の原因? 朝型生活でメタボや糖尿病のリスクを低下
2018年12月26日
認知症の発症を予想する新たなマーカーを発見 久山町研究の成果 九州大学
2018年12月19日
肥満や病気の予防を「まちづくり」から推進 健康になるための「都市デザイン」とは 千葉大と竹中工務店
2018年12月12日
うつ病を早期支援するのための社員向け研修プログラムを開発 職場のメンタルヘルス不調を早期発見・介入 九州大学など
2018年12月12日
保健指導にインセンティブを 世界の1億人の運動量を増やす「Vitality」の戦略

最新ニュース

2019年01月22日
座ったままの時間を減らして運動を 運動がアンチエイジングの最良の手段に
2019年01月22日
「食物繊維」が糖尿病や心臓病のリスクを減らす インフルエンザの予防にも有用
2019年01月22日
腸内細菌がつくるアミノ酸が腎臓を保護 なぜ「発酵食品」は健康に良いのか
2019年01月22日
認知機能の低下を評価するための血液バイオマーカーを発見 認知症を早期発見して対策 筑波大学
2019年01月22日
「宿泊型健康指導プログラム」は効果的 特定保健指導の要支援者の体重・腹囲・コレステロールが改善
2019年01月18日
健康について何でも相談できる「かかりつけ医」を検索できるサイトを公開
2019年01月18日
【健やか21】2/11(月・祝日)シンポジウム「周産期からの虐待予防」
2019年01月16日
慢性腎臓病(CKD)対策 透析を防ぐために「睡眠」の改善が必要 大阪大
2019年01月16日
産後うつと関連して対児愛着が悪くなる 母親を早期支援し「ボンディング障害」を予防
2019年01月15日
糖尿病腎症の重症化予防 保健師・管理栄養士・薬剤師が連携 先進的な取組みを紹介 厚労省
2019年01月15日
乳がん手術の革新的な診断技術を開発 迅速・簡易な検査で「乳がんの取り残しなし」
2019年01月15日
アルコール依存症の飲酒量を低減する薬が登場 飲酒の1~2時間前に服用
2019年01月10日
【先着順申込み受付中!】 2/6 市民公開講演会 全国生活習慣病予防月間2019
2019年01月10日
【健やか21】ピアサポーター養成講座受講生の募集について(難病のこども支援全国ネットワーク)
2019年01月09日
「働き方改革と健康経営」へるすあっぷ21 1月号
2019年01月09日
【産保PC第7回(2018年度 第3回)レポート】職場巡視~ありのままの現場を見られる産業保健師になる~
2019年01月08日
高齢者の肥満症のガイドラインを公開 認知症やADL低下の観点を付加 日本老年医学会
2019年01月08日
大人のがん教育を始めよう がん患者の就労問題に取り組む企業を支援 がん対策推進企業アクション
2019年01月08日
がん終末期患者の3割が「苦痛あり」 介護など家族の負担も大きい 国立がん研究センター調査
2019年01月08日
「冷え性」を克服するための6つの改善策 足の冷えに動脈硬化が隠れていることも
2019年01月07日
保健指導リソースガイド 2018年に読まれた記事ランキング・ベスト20
2019年01月04日
妊娠~子育て期にだれもが切れ目ない支援を受けられるように―成育基本法が成立
2019年01月04日
厚労省が医療的ケア児と家族を支えるサービスの事例紹介の報告書を作成
2019年01月03日
IT導入で「障がい者雇用の可能性を広げる」期待高まる―野村総研調査
2018年12月26日
連休の夜更かし朝寝坊が体調不良の原因? 朝型生活でメタボや糖尿病のリスクを低下
2018年12月26日
認知症の発症を予想する新たなマーカーを発見 久山町研究の成果 九州大学
2018年12月26日
がん患者のための情報サイトを公開 就労や生活上の課題などの情報が中心
2018年12月26日
学生時代の運動歴が将来の健康を左右? 大学時代のスポーツ経験が影響
2018年12月26日
慢性腎臓病(CKD)患者はBMIが高値だと生命予後が良好 2万6,000人を調査
2018年12月21日
【健やか21】「アドバンス助産師1万2,000人に」日本助産評価機構が新たに992人認証
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 7,762 人(2018年12月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶