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ひとり暮らし高齢者が陥りやすい「孤食」「メニューの偏り」「不規則化」

 ひとり暮らし高齢者の45%は食事の「栄養バランスが欠如している」と感じており、食事の回数や時間も不規則になりがちであるという調査結果が発表された。ひとり暮らしの高齢者は惣菜や弁当の利用頻度が高いことも判明した。
1人暮らしの高齢者のほとんどが孤食 "楽しみながらの食事"が少ない傾向
 日本能率協会総合研究所は、高齢者の食生活に関するアンケート調査を行った。調査は今年9月にインターネットで行い、60~79歳の高齢者500人が回答した。調査では、対象者を(1)夫婦のみ、(2)子供家族と同居、(3)1人暮らしの3タイプに分け、ふだんの食事スタイルについて聞いた。

 その結果、食事の栄養バランスについて尋ねた質問では、子供家族と同居している高齢者では8割以上が「栄養バランスがとれている」と感じているのに対し、1人暮らしの高齢者では55%に留まった。「栄養バランスが欠如している」と感じている割合は1人暮らしでは45%に上り、家族と同居している高齢者の3倍に上ることが明らかになった。
 また、1人暮らしの高齢者は、家族と同居している世帯よりも普段の食生活で不足している栄養素が多くみられた。特に家族と同居している高齢者との差が大きいのは「タンパク質」「食物繊維」「鉄分」「カリウム」「カルシウム」などだった。1人暮らしをしている20代の若者と比べ、「カリウム」以外は不足している栄養素が共通することが判明した。

 食事の「栄養バランスが欠如している」と感じている1人暮らしの高齢者にその理由を尋ねたところ、「1人暮らしだから」(80%)、「毎回きちんと料理を作るのが面倒だから」(56%)、「いろいろなメニューを作るのが面倒だから」(51%)という回答が多かった。

 1日の食事回数は、家族と同居する高齢者は93%が「1日3食」であったが、1人暮らしの高齢者では82%に低下し、「1日2食以下」が18%に増えた。また、食事時間についても、家族と同居する高齢の2-3割は「きちんと決めている」のに対し、1人暮らしの高齢者ではその割合は14%に低下した。

 1週間に自宅で手作り料理を食べる合計回数は、家族と同居の高齢者は「週に10回以上」が9割以上を占めるのに対して、1人暮らし高齢者は70%と大きな差がみられた。手作り料理の回数と反比例するように、1人暮らし高齢者の惣菜や弁当の利用頻度は高く、「週に2回以上」で比較すると家族と同居の高齢者は25%に対して、1人暮らし高齢者では49%と2倍に上った。また、男性1人暮らし高齢者の42%がコンビニで弁当や総菜を購入していることが明らかになった。

 最近市場が拡大している食品や飲料の「宅配サービス」について、高齢者の48%が「利用したい」と回答し、利用したいアイテムは60歳代では「牛乳・乳製品」(67%)がもっとも多く、「野菜・果実」(47%)が続いた。1人暮らし高齢者を中心に、不足していると感じている「カルシウム」「タンパク質」などを補おうと意識していることがうかがえる。

 「1人暮らしの高齢者のほとんどは孤食をしており、誰かのために作る、家族と一緒に食べるといった"楽しみながらの食事"が家族と同居している高齢者よりも少ないのではないか。その結果、食事を作ることが面倒に感じ、同じようなメニューが続き、食事の回数が減ることになり、食に対する関心が家族と同居している高齢者と比較すると希薄になっている可能性がある」と、同研究所はまとめている。

日本能率協会総合研究所
[Terahata]
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