ニュース

夫や妻との別れで脳卒中リスクが上昇 配偶者を失うと生活習慣が悪化

 離婚や死別などで配偶者を失った人は、脳卒中のリスクが高まることが、45~74歳までの男女5万人を対象とした調査で明らかになった。「配偶者を失うとストレスが増え、飲酒量が増えるなど生活が乱れるおそれがある」と研究者は述べている。
離婚や死別により脳卒中リスクは上昇
 離婚や死別などにより脳卒中の発症リスクが1.26倍増加することが、日本人約5万人を対象とした研究で明らかになった。特に脳出血については強い関係がみられ、脳出血リスク男性で1.48倍に、女性で1.35倍に上昇するという。

 「JPHC研究」は日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている多目的コホート研究。今回の研究は、大阪大学大学院社会医学講座公衆衛生学、同大学グローバルコラボレーションセンターなどのなどの研究チームがまとめたもの。

 婚姻状況は健康に影響を与える重要な要因であり、一般に既婚者は非婚者(離別・死別)に比べ健康状態が良いことが知られている。また、婚姻状況の変化は循環器疾患の発症リスクを上昇させるが、脳卒中発症リスクとの関連などについて詳しくは分かっていなかった。

 そこで研究チームは、既婚から非婚への婚姻状況の変化が、その後の脳卒中発症のリスクにどのような影響を与えるかを脳卒中タイプ別に分析し、その関連が居住形態や仕事の有無によって変化するかどうかを検討した。

 全国9ヵ所(岩手、秋田、長野、沖縄、茨城、新潟、高知、長崎)の9保健所管内に住む、調査時点(1990年と1993年)で既婚の40?69歳の男女4万9,788人(男性 2万4,162人、女性 2万5,626)を対象に、平均15年間追跡し、研究開始5年前に配偶者と同居していたことを条件に、既婚(配偶者と同居)から非婚(配偶者との別居)への変化について調べた。

 15年間の追跡期間中に2,134人の脳卒中発症が確認された。調査開始時期に婚姻状況変化がある人ほど、脳卒中を発症リスクが高い傾向があり、リスクは全脳卒中では男性1.26倍、女性1.26倍、脳出血性脳卒中では男性1.48倍、女性1.35倍にそれぞれ上昇した。
人をとりまく社会環境にも考慮する必要がある
 婚姻状況の変化が脳卒中リスクを上昇させる理由として、配偶者を失うことで生活習慣や精神状態の変化している可能性が考えられる。過去の研究では、配偶者を失うと飲酒量が増えたり、野菜や果物の摂取が減ったりといった変化があることが分かっている。「心理的ストレスレベルが上昇し、生活を楽しめなくなる傾向にある。このような婚姻状況の変化により起こるさまざまな変化が脳卒中の発症リスクを上昇させているのではないか」と、研究者は述べている。

 調査では、居住形態の違いによる影響も分析した。「婚姻状況が変化せず子供と同居なし」と比べた脳卒中の発症リスクは、「離婚して子供と同居なし」では男性1.10倍、女性1.15倍と有意差はなかったが、「離婚して子供と同居あり」は男性1.44倍、女性1.45倍と男女ともに有意に上昇した。親としての役割を持つことが配偶者との離別による影響を加重している可能性が示唆された。

 一方、親との同居による影響では、性差が見られた。「婚姻状況が変化せず親と同居なし」比べた脳卒中の発症リスクは、「離婚して親と同居あり」では、男性の0.96倍に対し女性では1.33倍と有意に高かった。また、「離婚して親と同居なし」の男性では1.25倍と有意に高かったことから、男性では親との同居が脳卒中リスクの軽減に影響している可能性がある。

 就労の有無による影響については、男性では無職例が少ないので女性のみの結果となった。就労しており離婚経験のない女性に比べた脳卒中の発症リスクは、就労中の離婚経験者では1.14と有意差はなかったが、無職の離婚経験者では2.98と有意に高かった。
 今回の結果で居住形態や就労が脳卒中発症リスクに影響を与えていることが判明し、それらの要因には性差があることも分かった。脳卒中リスクは「離婚して子供と同居している男女」や、「離婚して親と同居している女性」、「離婚して無職の女性」で特に高く、居住形態や就労の有無によって影響には性差がみられた。「脳卒中発症のリスクの高い人を把握するためには、人をとりまく社会環境にも考慮する必要がある」と研究者は述べている。

多目的コホート研究(JPHC Study)(国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 予防研究グループ)
Marital Transition and Risk of Stroke: How Living Arrangement and Employment Status Modify Associations(Stroke 2016年3月1日)
[Terahata]

「健診・検診」に関するニュース

2017年10月18日
「買物弱者」問題は深刻 700万人に増加 対策事業の半数以上が赤字
2017年10月18日
脳の健康を保つための「ライフ シンプル 7」 認知症は予防できる
2017年10月18日
結婚生活が安定すると男性の肥満や健康状態は改善 夫婦仲が健康に影響
2017年10月18日
心・脳血管疾患に注意 3人に1人が「発症前に知っていたら」と後悔
2017年10月18日
1回の採血で「4年以内の糖尿病発症リスク」を判定 アミノ酸バランスに着目
2017年10月18日
在宅介護高齢者の4人に1人が睡眠薬を使用 ケアマネジャー「見直し必要」
2017年10月17日
【アンケート協力のお願い】第3期特定健診・特定保健指導の改正内容について(保健指導従事者実態調査)
2017年10月12日
30代後半女性の体力が最低に 高齢者は過去最高 体力・運動能力調査
2017年10月12日
「薬剤耐性」(AMR)問題を知ろう AMR対策アクションプランで啓発を開始
2017年10月12日
禁煙治療のアプリを開発 空白期間をフォロー 日本初の治験を開始

最新ニュース

2017年10月18日
「買物弱者」問題は深刻 700万人に増加 対策事業の半数以上が赤字
2017年10月18日
脳の健康を保つための「ライフ シンプル 7」 認知症は予防できる
2017年10月18日
結婚生活が安定すると男性の肥満や健康状態は改善 夫婦仲が健康に影響
2017年10月18日
心・脳血管疾患に注意 3人に1人が「発症前に知っていたら」と後悔
2017年10月18日
1回の採血で「4年以内の糖尿病発症リスク」を判定 アミノ酸バランスに着目
2017年10月18日
在宅介護高齢者の4人に1人が睡眠薬を使用 ケアマネジャー「見直し必要」
2017年10月17日
【アンケート協力のお願い】第3期特定健診・特定保健指導の改正内容について(保健指導従事者実態調査)
2017年10月17日
【生活習慣病予防月間2018】インスタグラムキャンペーン 「少食ごはん」 募集中!
2017年10月16日
【HAMIQ】医療機関・介護機関の皆様へ~会員募集中~
2017年10月13日
【連載更新】高齢者の外出、移動の問題を考える No.3
2017年10月12日
30代後半女性の体力が最低に 高齢者は過去最高 体力・運動能力調査
2017年10月12日
「薬剤耐性」(AMR)問題を知ろう AMR対策アクションプランで啓発を開始
2017年10月12日
【健やか21】孫育てのススメ(祖父母手帳)の発行(鳥取県)
2017年10月12日
禁煙治療のアプリを開発 空白期間をフォロー 日本初の治験を開始
2017年10月12日
妊娠中うつ症状の発症に食事パターンが影響 「日本型」では発症が少ない
2017年10月11日
厚労省が過労死等防止対策白書を公表~現状や調査研究結果を報告
2017年10月06日
「血糖値スパイク」を食事と運動で改善 「糖をはかる日」講演会(1)
2017年10月06日
「血糖値スパイク」を薬物療法で改善 「糖をはかる日」講演会(2)
2017年10月06日
【健やか21】0歳児身長が伸びやすい季節は夏(育児ビッグデータ解析より)
2017年10月05日
【連載更新】心とからだにかかわる専門職の人材育成/スーパー売り場での気づきから開業保健師へ
2017年10月04日
10月は「乳がん啓発月間」 定期的なマンモグラフィ検診は効果的
2017年10月03日
妻が肥満だと夫は糖尿病になりやすい 家族対象の保健指導が効果的
2017年10月03日
「低カロリー食」で老化を防げて寿命も延びる 腹八分目で若返ろう
2017年10月03日
うつ病のリスクは魚を食べると減少 「n-3系脂肪酸」の予防効果
2017年10月03日
医療費抑制 27%が「患者の負担増」に理解 65歳以上でも3割 健保連調査
2017年10月03日
スニーカー通勤でウォーキング スポーツ庁「FUN+WALK PROJECT」
2017年10月03日
「AMR対策いきまぁーす!」―厚労省がガンダムとコラボし啓発活動を実施
2017年10月02日
【患者さん向け】「糖をはかる日」クッキングセミナー2017 参加者募集開始!!
2017年10月02日
【専門職向け】プルーン健康啓発サンプル・資料の受付開始しました
2017年10月01日
「第3期特定健診・特定保健指導」へるすあっぷ21 10月号
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 6,501 人(2017年10月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶