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世界の肥満人口は6億4100万人に増加 今後10年で5人に1人が肥満に

 世界の186ヵ国を対象とした、肥満度をはかるためのBMI(体格指数)の最新の調査によると、世界の肥満人口は6億4,100万人(男性 2億6,600万人、女性 3億7,500万人)に増加した。
 「肥満は2型糖尿病や高血圧、心臓病などの疾患を引き起こします。有効な対策をしないと、各国の医療体制の崩壊を招く要因となります」と研究者は指摘している。
男性の10人に1人以上、女性の7人に1人以上が肥満
 調査は、英国のインペリアル カレッジ ロンドンと世界保健機関(WHO)の研究チームが、世界の700人以上の研究者の協力を得て、1,698件の調査研究を解析。結果は医学誌「ランセット」に発表された。

 それによると世界の肥満人口は1975年から40年間に急速に増えており、肥満人口は6億4,100万人(男性 2億6,600万人、女性 3億7,500万人)に達した。肥満の割合は、男性は3倍以上の11%に、女性は2倍以上の15%に上昇した。

 「有効な対策を施さないと、2025年までに男性の18%、女性の21%が肥満になると予測しています」と、インペリアル カレッジ ロンドンのマジッド エザティ教授は言う。

 BMIは身長(m)と体重(kg)をもとに算出し、WHOの基準によると25を超えると「過体重」、30を超えると「肥満」と判定される。

 研究チームによると、世界の人々の平均体重は1975年から10年間で1.5kg増えた。BMI(体格指数)の平均値は、男性では1975年に21.7だったのが、2014年には24.2に増加した。女性では1975年に22.1だったのが、2014年には24.4に増加した。

 肥満が目立って増えている国は、米国、英国、カナダ、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランドなどだ。高所得の国の中でも米国は男女ともBMIがきわだって高いことが判明した。

 チェコ共和国、ベルギー、フランス、スイス、シンガポール、日本などの国では肥満の増加は比較的抑えられており、40年間にわたり肥満は目立って増えていないことが判明した。
日本でも男性の29%、女性21%がBMI25以上の「肥満」
 日本の比較的収入の高い層の男女が、世界でもっともBMI(体格指数)が低いという。ただし、日本肥満学会の判定ではBMIが25以上が「肥満」とされ、男性の28.7%、女性の21.3%が該当しており、いずれも1975年に比べ肥満の割合が増えている。

 肥満や過体重はかつては先進国に限った問題だったが、最近の20年間で低所得の途上国にも拡大している。インドや東アフリカ、バングラデシュなどの低栄養が問題になっている一部の国でも、地域によっても肥満が増えているという。

 肥満の増加は、2型糖尿病、高血圧、心臓病、がんなどの発症を増やす要因となる。肥満の中でも、歩行や呼吸などの日常での基本動作に障害があらわれる病的な肥満の割合は5,500万人に上り、男性の1%、女性の2%に相当する。

 過体重や肥満の増加にともない、高血圧の治療に使う降圧薬や、糖尿病の治療に使う血糖降下薬の需要も増えている。肥満は医療費の伸びを上回って増加しており、各国の政府の財政を圧迫している。

 「高カロリーで高塩分の食事を減らし、野菜や果物などのより健康的な食品の流通を増やす対策や、運動習慣のある人を増やす保健指導が必要とされています」と、エザティ教授は指摘している。

World's obese population hits 640 million, according to largest ever study(インペリアル カレッジ ロンドン 2016年3月31日)
Trends in adult body-mass index in 200 countries from 1975 to 2014: a pooled analysis of 1698 population-based measurement studies with 19?2 million participants(ランセット 2016年4月2日)
[Terahata]
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