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特定健診に「認知機能」の検査をプラス 尼崎市と循環器病研究センター
2016年04月20日
兵庫県尼崎市は、国立循環器病研究センターと包括提携を締結し、今年度から特定健診時に認知機能検査を実施することを明らかにした。
循環器病を抑制すれば、認知症も減少できる
尼崎市と国立循環器病研究センターが、特定健診時に認知機能検査を実施し、認知症予防に役立てるための協定を締結した。尼崎市によると、自治体が特定健診の際、認知機能を検査するのは全国初という。
尼崎市は、兵庫県の東南部に位置し東は大阪府と接する人口45万人の都市。保健医療政策の一環として2008年~2012年に実施した「ヘルスアップ尼崎戦略事業」で、特定健診による心血管リスク管理を重点的に行い、虚血性心疾患や脳梗塞など循環器病による死亡率を低減させることに成功している。
海外の研究である米国フラミンガム研究、英国CFAS研究、フィンランドFINGER研究などで、住民を対象に心血管リスク管理の重点化をはかると、脳卒中や虚血性心疾患だけでなく、認知症も減少することが報告されている。
つまり、循環器病を抑制する試みには、認知症も減少させる波及効果があると考えられている。日本でも循環器病と認知症が増加しており、尼崎市と国立循環器病研究センターの包括協定の締結は全国から関心をもたれている。
協定では、40歳以上の特定健診受診者のうち、希望者に30項目の認知機能検査を実施。健診のデータは認知症と生活習慣病との関連を調べるセンターとの共同研究に活用する。
市はセンターから技術的支援や専門的アドバイスを受けるほか、センター職員による市民向け講演会なども開催する。
稲村和美市長は協定締結式で「両機関が医療・研究・教育に関わる交流などを促進する包括提携を結ぶことは意義深い。尼崎市をモデルに、認知症の予防と健康寿命の延伸の取り組みが全国に広がることを望んでいる」と述べている。
尼崎市国立循環器病研究センター
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