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がん5年相対生存率が62.1%に改善 早期のがん診断が生存率を向上
2016.07.27
 国立がん研究センターの研究班は、「地域がん登録」データを活用してがんの5年相対生存率を算出し、報告書を公表した。5年相対生存率は前回比3.5ポイント増の62.1%に改善した。
がん5年相対生存率は男性59.1%、女性66.0%といずれも上昇
 「5年相対生存率」は、あるがんと診断された場合に、治療で5年後に何%生存しているかを示す指標。多くのがんでは、5年間生存したらそのがんはおおむね治癒したと考えられており、がんの研究では必ず用いられる数値だ。100%に近いほど治療で生命を救えるがん、0%に近いほど生命を救い難いがんであることを意味する。

 地域がん登録は、都道府県のがん対策を目的に1950年代より一部の県で開始され、2012年にはじめて47全都道府県の登録データが揃った。今回の集計対象診断年である2006~2008年では、前回集計の7県から東北から九州までの21県に大幅に増加し、対象も64万4,407症例に広がった。

 その結果、全部位5年相対生存率は62.1%で、前回比3.5ポイント増であることが明らかになった。男性は59.1%(3.7ポイント増)、女性は66.0%(3.1ポイント増)といずれも上昇した。

 部位別5年相対生存率について、男性では、70~100%と比較的高い群に、前立腺、皮膚、甲状腺、膀胱、喉頭、結腸、腎・尿路(膀胱除く)が含まれている。一方で、0~39%と低い群は、白血病、多発性骨髄腫、食道、肝および肝内胆管、脳・中枢神経系、肺、胆のう・胆管、膵臓だった。

 女性では、高い群が甲状腺、皮膚、乳房、子宮体部、喉頭、子宮頸部、直腸で、低い群は、脳・中枢神経系、多発性骨髄腫、肝および肝内胆管、胆のう・胆管、膵臓となっている。
早期にがんの診断された場合に生存率が良好
 多くの部位で早期に診断された場合に生存率が良好であることが分かった。臨床進行度別生存率では、どの部位でも一様に臨床進行度が高くなるにつれ生存率が低下することも明らかになった。

 年齢階級別生存率では、おおむね、加齢とともに生存率が低くなる傾向がみられたが、若年者より高齢者の生存率が高い部位や、年齢と生存率との相関がはっきりと見られない部位もあった。

 ただし、2006~2008年の罹患状況をふまえると、前立腺がんや乳がんなど予後のよいがんが増えたことなどの影響も考えられ、部位別、進行度別の詳細な分析なしに治療法の改善などが影響しているとはいえないと、研究班は述べている。

 調査は、国立がん研究センターがん対策情報センターを中心とする厚生労働科学研究費補助金「都道府県がん登録データの全国集計と既存がん統計の資料の活用によるがん及びがん診療動向把握の研究」研究班によるもの。
がんの生存率は良くなっているのか? がん検診が普及が影響
 昔と比べがんの生存率は良くなっているのだろうか? 2003~2005年診断症例の生存率は58.6%だったので、今回の62.1%との差をみると改善している。

 その理由として、がん検診が普及してきたことでがんの早期発見が増え、従来は進行がんで発見され5年生存できなかった人が、早期に見つかり5年以上生存したり治癒したりしているという理由がある。

 さらには、前立腺がんや乳がんなど生存率の良いがんが増えたこと(部位構成の変化、罹患年齢構成の変化)などの影響も考えられる。

 男性の前立腺がん、女性の乳がんはこの15年で増えており、これらの部位のがんの生存率は他のがんと比べて良好で、前立腺がんは97.5%、乳がんは91.1%だ(2006-2008年診断例の5年相対生存率)。

 ただし、国立がん研究センターは「2006~2008年の罹患状況をふまえると、部位別、進行度別の詳細な分析なしに治療法の改善などが影響しているとはいえない」と述べている。

 つまり、生存率の良いがんが増えたため、全体的に生存率が上がっていると考えられる。がんの生存率が良くなっている、すなわち治療が改善していると言えるかどうかは検討が必要だ。

がん情報サービス(国立がん研究センターがん対策情報センター)

全国がん罹患モニタリング集計 2006-2008年生存率報告
 地域がん登録によるがん生存率の最新データおよび過去データと合わせた推移表などをダウンロードできる。

最新がん統計(がん情報サービス)
 一般向けに各種がん統計の最新データを紹介している。8月上旬更新予定。
(Terahata)
©2017 日本医療・健康情報研究所. 掲載記事・図表の無断転用を禁じます。

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