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10年前に比べて母乳育児の割合が増加 ~乳幼児栄養調査結果
2016年08月26日
厚生労働省はこのほど、平成27年9月に実施した「乳幼児栄養調査」の結果(概要版)を取りまとめ、公表した。前回調査の10年前に比べて、授乳期の栄養方法で「母乳栄養」の割合が増加していたのは一つのポイント。一方で、保護者が朝食を食べるか、食べないかが子どもの朝食習慣に影響していたり、暮らしの「ゆとりあり」「ゆとりなし」によって子どもの主要な食物の摂取頻度に違いが見られたりするなど、気になるデータもあった。
「乳幼児栄養調査」は全国の乳幼児の栄養方法や食事の状況などの実態を把握するため、昭和60年から10年ごとに実施している。今回の調査は4回目で、無作為に選ばれた6歳未満の子どものいる世帯(平成27年5月31日現在)が対象。
第1部 乳幼児の栄養方法や食事に関する状況
授乳期の栄養方法について尋ねた項目では、「母乳栄養」と答えた人の割合が、生後1か月で51.3%、生後3ヶ月で54.7%と、いずれも過去4回の調査の中で最も高くなった。「混合栄養」も含めると生後1か月で96.5%、生後3ヶ月で89.8%となり、大半が母乳育児に取り組んでいることが分かる。特に生後1年未満で「働いていた」保護者で生後3ヶ月時の栄養方法を「母乳栄養」と回答した割合が、10年前の調査に比べて22.6ポイントも大幅に増加していた。
母乳育児に関する出産施設での支援状況についても、「出産後30分以内に母乳を飲ませた」、「出産直後から母子同室だった」、「赤ちゃんが欲しがる時はいつでも母乳を飲ませた」という各質問について、いずれも10年前に比べて割合が増加。出産施設での支援があった場合の方が、そうでない者に比べて母乳栄養の割合は高くなった。
一方、授乳について困ったことは「母乳が足りているかどうかわからない」(40.7%)、「母乳が不足気味」(20.4%)、「授乳が負担・大変」(20.0%)の順に多かった。
離乳食については、開始時期を「6か月」と回答した割合が44.9%と最も高く、10年前の調査では「5か月」の回答が一番多かったことから1か月、遅くなっていることが分かる。また離乳食の完了時期も「13~15か月」の回答が最も多く、10年前の「12か月」に比べて遅くなっていた。
第2部 乳幼児の生活習慣や健康状態に関する状況
生活習慣については、子どもの就寝時刻は平日、休日とも「午後9時台」と回答した割合が最も多かったが、午後10時以降も平日で約20%、休日では約27%もいた。午後10時以降に就寝する子どもの割合は、保護者の就寝時刻が遅くなるにつれて増加する傾向にあり、保護者の就寝時刻が「深夜1時以降」と回答した場合が一番、多かった。
朝食習慣を見てみると、毎日、朝食を「必ず食べる」と回答した子どもの割合は93.3%だった。一方で、保護者が朝食を「ほとんど食べない」「全く食べない」と回答した場合は、朝食を食べる子どもの割合は8割を切り、親の習慣が影響していることも明らかになった。
むし歯と間食の与え方について見ると、「むし歯なし」の場合は「時間を決めてあげることが多い」、「甘いものは少なくしている」、「間食でも栄養に注意している」といった回答が多かった。逆に「むし歯あり」の場合は、「欲しがるときにあげることが多い」、「甘い飲み物やお菓子に偏ってしまう」、「特に気をつけていない」の回答が高い割合を示した。
第3部 食物アレルギーや社会経済的要因に関する状況
これまでに、食事が原因と思われるアレルギー症状を起こしたことがある子どもの割合は14.8%。このうち87.8%が医療機関を受診し、「食物アレルギー」と医師に判断された子どもは76.1%だった。また食物アレルギーの原因(と思われる)食物を食べないよう除去・制限した人の割合は、過去の経験者も含めると23.6%。そのうち約4割は医師の指示ではなく実施しており、「インターネットや育児雑誌、書籍などからの情報」や家族、友人からの情報などを頼りにしていた人も多かった。
社会経済的要因として0~6歳児の保護者に「経済的な暮らし向き」はどうか尋ねたところ、「ゆとりあり」と回答したのは29.3%、「ゆとりなし」は37.5%。同様に「生活の中の時間的なゆとり」は、「ゆとりあり」が31.1%、「ゆとりなし」が47.1%。
しかし「総合的な暮らし」については、「ゆとりあり」が41.4%、「ゆとりなし」が21.1%となり、経済的な暮らしや時間的なゆとりについて厳しい、と回答した人が多いものの、総合的には「ゆとりあり」と答えた人が多かったことになる。
一方、社会経済的要因別に、主要な食物の摂取頻度をみると、経済的な暮らし向きが「ゆとりあり」の場合は魚、大豆・大豆製品、野菜、果物の摂取頻度が高い傾向が見られた。半面、「ゆとりなし」では菓子(菓子パンを含む)、インスタントラーメンやカップ麺の摂取頻度が高くなり、子どもの栄養状況に経済的な格差が少なからず影響している様子も明らかになった。
平成27年度 乳幼児栄養調査結果の概要(厚生労働省)
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