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厚労省 子ども虐待による死亡事例等の検証結果等を公表(第12次報告)

 厚生労働省はこのほど、「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」(第12次報告)を公表した。平成26年4月1日から平成27年3月31日までの1年間の死亡事例、64例・71人などを対象に検証・分析を行っている。

 平成16年10月、子ども虐待による死亡事例などを分析・検証し、明らかになった問題点や課題から具体的な対応策の提言を行うことを目的として、社会保障審議会児童部会に「児童虐待要保護事例の検証に関する専門委員会」が設置された。報告は同委員会によって、これまで11次にわたってとりまとめられ、今回で12次となる。

 具体的には平成26年4月1日から平成27年3月31日までの間の死亡事例について分析・検証を実施。さらに地方公共団体で行われた検証についても分析し、具体的な改善策を提言している。また平成28年6月に出された、児童福祉法等の改正法についても触れながら、検証内容や提言をまとめた。

 報告書によると、死亡事例のうち、心中以外の虐待死事例は43例で44人に上った。うち0歳が27人と最も高い割合を占め、さらに月齢0ヶ月が15人を占めている。

 虐待の類型としては「身体的虐待」が24人で最も多かった。ネグレストも15人と例年以上に高い割合を示した。ネグレストの内訳をみると、「遺棄」が10人と最も多かった(複数回答)。これは第11次報告の2人に比べて大幅な増加。また心理的虐待による死亡事例が、初めて発生している。

 心中以外の虐待死における主たる加害者は「実母」が28人と最も多く、「実父」は3人だった。実母の抱える問題として、「望まない妊娠/計画していない妊婦」が24人、「妊婦健診未受診」が18人と高い割合を示した。

 加害の動機は「不明」を除くと、「子どもの存在の拒否・否定」が14人と最も多く、次いで「保護を怠ったことによる死亡」が5人、「しつけのつもり」が4人であった。

 重症の事例は10例、10人で、死亡事例と同様に0歳の割合が8人で最も多かった。

 報告書では、検証対象事例のうち特徴的で、特に重大であると考えられる4件の死亡事例について、都道府県や市町村、および関係機関にヒアリング調査を実施した結果を掲載している。さらに特集として「施設入所等の経験のある子どもの死亡事例」も検証を加えた。

 最後に課題と提言として、地方公共団体へは0ヶ月児の事例発生数が例年以上に高かったことから、妊娠期からの支援を必要とする養育者の早期把握と、切れ目ない支援の強化が必要、だとした。また加害者となった養育者の中に、精神疾患のある事例が複数含まれていたため、情報収集を緊密に行い、適切な支援を行っていくことも求められた。さらに学齢期以降の子どもへの支援のため、学校などと連携する必要があることなどにも言及している。

厚生労働省 子ども虐待による死亡事例等の検証結果等を公表(第12次報告)
[yoshioka]
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