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受動喫煙による肺がんリスク JTの見解に国がんが真っ向から反論

 国立がん研究センターは、受動喫煙による日本人の肺がんリスクを「ほぼ確実」から「確実」に引き上げたことをめぐり、日本たばこ産業(JT)が「肺がんと喫煙との因果関係を結論付けるものではない」とコメントしたことに対して、「全く異なる見解」と厳しく反論した。
受動喫煙は「迷惑」や「気配り、思いやり」の問題ではない
 国立がん研究センターは8月に、科学的根拠にもとづき、受動喫煙による日本人の肺がんリスクは「ほぼ確実」から「確実」と評価。受動喫煙の防止を「努力目標」から「明確な目標」と提示した。

 これに対し、日本たばこ産業(JT)は8月に、「受動喫煙と肺がんリスクの関連性は明確ではない」とする反論を発表。

 このJTの反論に対して、国立がん研究センターは「JTのコメントは、国立がん研究センターが行った科学的アプローチに対し十分な理解がなされておらず、その結果として、受動喫煙の害を軽く考える結論に至っていると考えられます。これは、当センターとは全く異なる見解です」と反論し、ウェブサイトで改めて見解を示した。

 「受動喫煙による疾病リスクが明確に示された以上、たばこの煙にさらされることは、人々の健康に危害を与えることと、社会全体に強く認識されるべきです。決して『迷惑』や『気配り、思いやり』の問題ではありません」と、厳しく反論した。

 「日本においても、受動喫煙による健康被害を防ぐため、公共の場および職場での屋内全面禁煙の法制化など、たばこ規制枠組条約で推奨されている受動喫煙防止策を実施することが必要です」と強調している。
メタアナリシスは信頼度が高い研究
 JTはコメントで「受動喫煙の疾病リスクについては」「科学的に説得力のある形で結論付けられていないものと認識している」と述べているが、これに対し国立がん研究センターは厳しく反論している。

 「複数の研究を統合して解析する手法は『メタアナリシス』と呼ばれる。メタアナリシスは、医学研究の中で最も信頼度が高いもののひとつとして位置づけられている。その理由は、個々の研究では対象者の偏りや不足、調整されていない要因などの影響で結果が不安定になるが、複数の研究を統合することでより確かな結果が得られるからである」(国立がん研究センター)。

 JTの「今回の選択された9つの疫学研究は研究時期や条件も異なり、いずれの研究においても統計学的に有意ではない結果を統合したもの」という見解に対しても、真っ向から反論している。

 「今回国立がん研究センターが報告したメタアナリシスでは、研究時期や条件が異なる複数の研究で、1件を除いてすべて受動喫煙と肺がんとの関連を示す結果が得られており、このことがむしろ、受動喫煙と肺がんとの関連の確かさを示している」(国立がん研究センター)。
公共の場や職場を屋内全面禁煙に
 厚生労働省の研究班は今年5月の「世界禁煙デー」に合わせて、日本の受動喫煙による死亡者数は年間約1万5,000人に上るという推計を発表した。死亡者のうち約1万人が女性で、男女ともに受動喫煙による死亡の原因疾患としては脳卒中が5割を占めるという。

 世界では49ヵ国で公共の場所を屋内全面禁煙とすることが法制化されており、職場に加えてレストランや居酒屋、バーを禁煙化することで、急性心筋梗塞が15%、その他の心疾患が39%減少するという報告がある。

 国立がん研究センターが報告したメタアナリシスでは、受動喫煙を「ほぼ毎日」受けた群の肺がんリスクは1.06倍に上昇し、受動喫煙を「1日3時間以上」を受けた群の肺がん死亡リスクは男性で5.29倍、女性で1.12倍と報告されており、受動喫煙の曝露量が多いほどリスクが大きいことが示されている。

 このメタアナリシスでは、受動喫煙の害が過大評価となるのを避けるため、1つの論文に複数の相対リスクが報告されている場合、中程度のレベルの値を選んでいるという。

 世界保健機関(WHO)の下部組織である国際がん研究機関(IARC)は、2004年の報告書で環境たばこ煙について「ヒトに対して発がん性がある」と判定している。さらに、米国公衆衛生総監報告書は、2006年に受動喫煙と肺がんとの関連について「科学的証拠は、因果関係を推定するのに十分である」と判定している。

受動喫煙と肺がんに関するJTコメントへの見解(国立がん研究センター 2016年9月28日)
[Terahata]

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